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小さな可能性
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しおりを挟む―一樹side
・・・・・・・・・・・。
凄い・・・・・。
声を上げて飛び跳ねて・・・喜びたいくらいだった・・・・。
大和の親父さんは丁寧に紙に書いてちゃんと説明をしてくれた。
「抗がん剤治療は、半年間・・・・副作用は様々。脱毛、吐き気、浮腫み、後は人によっては味覚障害とかね・・・。吐き気はね、吐き気止めの薬がとても優れているんだけど・・・効き方も人それぞれ。」
そう・・・か・・・・。
髪抜けちゃうんだよな。
美佳は、
「大丈夫です・・・・私、大丈夫・・・・」
そう言った。
「抗がん剤を投与する日から入院してもらって、様子を見たいって思うんだけど・・・??どうかな?」
抗がん剤治療は3週間に1度。
先生の話によると、最初の1週間が一番辛くなるから3日間から1週間入院して様子を見ていこうとの事。
美佳はまだ信じられないみたいで、手を震わせて俺と先生を交互に見てきた。
俺は美佳の震えた手を握って、
「お願いします・・・・・・・」
―美佳side
病院を出たのは12時過ぎ。
病院の駐車場に向かって2人で歩いていると、一樹は私の手をグッと自分の方に寄せて笑った。
「なんか・・・・・夢じゃないよねってさっきからずっとフワフワしてるー・・・」
一樹はそう言って私の顔を覗き込んだ。
・・・・・・・//////////////
「私・・・・治療できるんだね・・・・・」
信じられない。
半年前は、絶望のその先にいた私。
もう生きれないんだって・・・毎日泣いて暮らしてた。
「これからまた大変だけどー・・・俺が傍に居るから」
一樹・・・・・///////////
まだこれからだよね。
私達、これから始まるんだよね・・・・・・。
「私頑張る・・・・・・・」
そう言うと、一樹は私の頭を自分の胸に抱きよせた。
「俺も一緒に頑張るよ、だから何でも言ってね」
私、この半年間・・・・・。
自分の命の重みを実感したの。
普段、そんなこと考えたことなかったけど・・・・。
初めて自分の死について考えた。
そして、私には・・・一緒に生きたい人がいることにも気づけた。
ずっと泣いてばかりだったけど、今日からは・・・・。
泣かないで笑って過ごしたい。
一樹の腕にしがみついて、
「ケーキ買って帰ろう??みんなで食べよう・・・・」
私がそう言うと、一樹も笑って・・・・。
「よっし!!!今夜は俺が美味しいご飯作るぞーーー!!!!!」
私と一樹は北谷迄の帰り道約束通り豚丼を食べに連れて行ってくれた。その帰りにケーキを買って・・・・優樹を迎えに行って・・・。
3人で帰った。
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