島人物語~secret続編

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別れ

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―成田里香side




昨日、里香と若菜は沖縄市にある小さなアパートの部屋で声を潜めて話をした。

「ねぇ・・・、もう限界だと思う・・・。」
若菜は泣きそうになりながら言った。
「うん・・・私もそう思う・・・。」
私と若菜は毎日怯えていた。

何故かって?

それは、私と若菜は宮里昌也という男からお金を貰っていたから。

でも、その詐欺行為が・・・ただのお遊びではなく色々な人を巻き込んで、傷つけていることを実感したのは1週間前。

1週間前・・・・私と若菜は、アパート近くにあるスーパーに買い物に行った。
その時、見てしまった。

涼さんの恋人である、結城さんを・・・・。

初めて結城さんを見たのは、私と若菜が涼さんの店を訪ねていって
『妊娠した』
と、涼さんに言った日。
偶然結城さんがお店に入ってきて・・・呆然としていた。
あの時、正直・・・・。

胸が苦しかった。

その日以来結城さんを見ることはなかったから・・・もしかして、マジで別れちゃったの?って・・・そう思った。


そして先週、スーパーで結城さんが一人で買い物をしているのを見た。
少し膨らんだお腹を気にしながらレジでお金を払って、エコバックに牛乳とか調味料とか・・お米とか・・・。
重そうな物を持ってスーパーを出て行った。

私たちは、思わず・・・。
声をかけた・・・。

気付かれるかも・・・とも思ったが、重そうに大きなエコバックを両手に持つ彼女を・・・放っておけなかった。

「あの・・、大丈夫???持とうか?」
最初に声をかけたのは若菜。

そう言うと結城さんは私達には全く気付かず、
「ありがとうございます・・慣れなくてー・・・・・マンション、直ぐそこなんです・・・」
私と若菜は夫々荷物を持ち、結城さんのお腹をじっと見つめた。

「あの・・・今、何カ月????」
私が聞くと、結城さんは嬉しそうに嬉しそうに笑って
「4カ月なんです。」
そう言ったの。

結城さんが住んでいるマンションは、北谷の大きな綺麗なマンションとは全然違くて、小さくて古いマンション。
私達は部屋の前まで荷物を持っていき・・・結城さんがお茶を出すと言ってきたが・・・流石にそれは断って逃げるようにしてマンションを出た。


若菜はそれを思い出して、膨らんでもいない自分のお腹を触って・・・・。
「でも私、怖くて涼さんに会えない」
そう言った。

涼さんも怖いけど、もっと怖いのは・・・・昌也さん。
涼さんから膨大なお金を貰えば事が終わると思ってた・・・が、昌也さんは更に要求してきた。


1時間前に涼さんから若菜に電話があって、話がしたいと言われた。
若菜と私は、涼さんに頭を下げて謝り・・・昌也さんから逃げよう。
そう決め荷物をまとめ、アパートを出ようとした・・・その時、昌也さんの仲間がアパートの周りをウロウロしているのが見えた。

私は直接昌也さんにもその仲間にも会っていないため、バレない。
でも若菜は顔を見られているから・・・直ぐに気付かれる。

そう思い、様子を見て・・・奴等が居なくなった隙に若菜にはタクシーに乗って先に那覇空港に逃げてもらった。

私は涼さんと待ち合わせをした浦添のカフェに向かった。

そして、
「あの・・・、本当にごめんなさい。若菜の妊娠は・・・嘘なんです。」
怒られる・・・きっと・・・殴られるかも。
そう思った・・・。
ビクビクしながら両手を下で握った。

でも・・・、涼さんは・・・。
「何でそんなウソついた?あの日、ホテルで声かけてきたのもたまたまじゃないよな?」
静かに冷静に聞かれた。
でも、その方が怖かった。

「実は、若菜が・・・7月くらいに昌也さんと知り合って・・・私は会ったことが無いから顔は知られていないんですけど・・・・」
「昌也?」
「はい・・・。若菜が言うには・・・涼さんにハニートラップ仕掛けて、恋人と別れさせろって・・・やり方は任せるからって言われたらしいんです」

昌也さん、今はその存在がすごく怖い。
若菜しか会ったことがないその男。

涼さんをハメれば報酬50万くれるって・・・そう言われたらしい。
若菜はバカだから、友達と二人でやるから倍頂戴ってそう言ったとか・・・。

で、どうしようかって考えてて・・・チョコチョコ北谷をうろついてたわけ。
あの台風の日、私と若菜はヒルトン近くのファミレスでお茶してた。
天気が荒れてるからアパートに帰れないよねって言ってたら・・・涼さんの車が大通りを走って行ったのが見えた。

涼さんの車は高級車だったから直ぐに分かったの。

その車が行く方向を見てると、ヒルトンに入っていくのが見えて、私たちは凄い風の中ヒルトンに向かい、涼さん達への接触を試みた。

私と若菜は常備していた睡眠導入剤を二人が席を外した時に、ミネラルウォーターに混ぜ・・・。

2人はタイミングよく直ぐにそのミネラルウォーターを飲んでくれて・・・直ぐに爆睡。
その後服を脱がせ、涼さんをベットに運び自分らも裸になった。

それで、上手くいったと思い報告したら、
昌也さんから
『マジでセックスしてこい!』
『その写真撮って証拠残せっ』
って、凄い怒鳴られた・・・・。

それは流石に出来ないと断ると、脅しが始まった。
毎日掛かってくる昌也さんからの電話。
街中を歩いていると昌也さんの仲間がウロウロ・・・。
もう限界だって思った。

「・・・昌也から逃げたいの???・・・・」
「今、2人で住んでるアパートもバレてないけどそのうちバレそうだし・・・だからもう沖縄出ようって言ってるんですが・・・行き場もなくて・・・・」
涼さんを騙したのに、私は涼さんをハメたのに・・・涼さんの前で泣いてしまった。
だって、涼さんも怖いけど・・・昌也さんとは全然違うの。
本当にごめんなさい。



―涼side


もしかしたら・・・また騙されてるかもって思った。
でも、成田里香は足をガクガク震わせて泣きながら話をした。

それは嘘をついているとは思えない雰囲気だった。

「元々、出身は何処?」
俺が聞くと、挙動不審に周りを見ながら涙を拭いて・・・・。
「リゾバでこっち来たんです・・・。元は千葉で・・・。」
「千葉に帰るのか?」
そう言うと首を横に振って・・・・。
「分かりません・・・私も若菜も身寄りが無いから千葉帰っても家もないし・・・・とりあえず若菜は先に那覇空港に逃げて私を待ってます。でも、その先はまだ決めてないです・・・・・・」
「昌也に・・・会ったらヤバいんだろ?」
俺がそう言うと里香は何度も頷いた・・。
「昌也さんから何度も電話鳴って、留守電とか凄くて・・・もう逃げれないかもって・・・捕まったら・・・何をされるか分からないし、前から・・・へましたら仲間内のはけ口にしてやるからなって・・・言われてたから・・・・・」

アイツが言いそうなことだな。

こうやって、リゾバとかに来た外部の子を捕まえ囲って従わせる。
昔からそういうやり方をしてる・・・昌也。


「あのさぁー・・・騙された俺がこんなん言うの納得いかないんだけど・・・・」
結城の事が1番なのは変わらない。
でももし、結城が隣に居たら・・・・アイツも同じことを言うと思う。

スマホを出し、ある人物に電話を掛けた。

『あー・・・涼ーー????どうしたのー???』
直ぐに電話に出てくれたのは、石垣時代からの幼馴染・・・神谷祐介。
「あー・・ごめんな、あのさぁー・・・お前の家の住み込みバイトってまだ募集してる?」
そう言うと、
『してるしてるー!オバアが最近腰痛めてさー・・・人足りないんだよ。』
「家畜の世話と農業だよな?」
『そうそう、牧場の売店とかもできる人がいいかなー・・・』
成田里香の方を見て、
「農家と牧場、働ける?」
そう言うと、成田里香は何度も頷いてまた泣いた。
俺はまた電話で、
「OK、20代の若い女の子2人・・・成田里香と佐藤若菜って子今日石垣に行かせるから・・・・・着いたら電話させるから迎えに行ってやって?」
『ぇええっ???今日ーーー??』
祐介はゲタゲタ笑ってたが承諾してくれた。

電話を切り、成田里香の顔を見て・・・・。
財布に入っていた金10万を差し出した。
「俺と淳の幼馴染の神谷祐介って・・・石垣で結構デカい牧場と畑やってるんだ。住み込みで食事もついてる・・・凄くいい家族でオバァ強烈だけど・・・良い人だから」
成田里香はボロボロ涙を流して俺を見た。

「俺の車に乗せられないから、ここからタクシーで直ぐに空港行け・・・祐介の電話番号書いておくから石垣着いたら電話しな・・・・」



俺ってどこまでお人好しなんだろうな。




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