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告発
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しおりを挟む昼過ぎに自分のマンションについて母子手帳を眺めた。
妊娠は、涼の部屋を出て行った後このマンションに住みだしてから、生理が来ていないことに気付き、一番近くて評判が良い仲垣産婦人科に行き妊娠がわかった。
涼の店の駐車場で吐いてしまったのは、悪阻だったんだと思う。
涼は、私との子供を・・・・喜んでくれるのだろうか。
その反応が怖くて、やっぱり言えないでいる私。
「はぁ・・・。」
暫く座り込み色々考え、直ぐに立ち上がってキッチンに行った。
そして、冷蔵庫を開けた。
よし・・・。
保冷バックに色々入れて、また部屋を出た。
何処へ???
それは、あまりにも皆が・・・涼が熱出してるってうるさいから。
いつもとは違う方向に行くバスに乗り、あの人が居る北谷に向かった。
バスを降りてマンションまでの道のり、久々に歩いた。
ちょっと懐かしく・・・恋しく思える北谷の街。
少し先に見える涼がいる大きなマンション。
この街中では一番綺麗で大きなマンション・・・・・。
私・・・あそこに住んでたんだ。
マンション前には見慣れたコンビニがある。
良く行ったコンビニ・・・。
アイスを良く買った。
コンビニの前の横断歩道を渡ると、大きなマンションの入口。
大きなロータリーがあって・・・入口には警備員が立ってる。
今私が住んでいるマンションとは大違いだな・・・。
エントランスで暗証番号を入力すると扉が開いた。
中に入ると綺麗なロビー。
その奥にあるエレベーターで最上階に向かった。
あっ!・・・そうだ、私鍵持ってない。
もし開いて無かったら・・・帰ればいいか。
最上階に到着し、綺麗な廊下を歩くと・・・蒼ちゃんの部屋からテレビの音。
涼の部屋の前に立って・・・・・ドアノブを握ると、・・・・・ガチャ・・・・っと、扉が開いた。
相変わらず開けっ放し。
靴を脱ぎ部屋に上がるが、中からは全く音がしない。
カーテンは閉めてあり、電気もついておらず暗いまま。
いないのかな・・・。
寝室の扉をゆっくり開けると、モソモソと布団が動いていた。
荷物を下に置いて、静かにそーっと部屋に入った。
ゆっくり近づき覗き込んで見ると、そこには今まで見たことがない・・・汗をかいて辛そうな涼の姿。
ベットの脇には市販の風邪薬とペットボトルの水。
風邪なのかな?
私は手を伸ばし、涼のおでこを触った。
うわっ・・・あっつ・・・・・。
これ、熱何度あるのかな。
直ぐにリビングに戻って、棚の引き出しに入っていた体温計を出しまた涼の方に戻って・・・・涼の布団を少し捲って・・・Tシャツのすき間から手を入れて体温計を挟ませた。
すると、涼の目が薄っすら・・・開いたの。
「・・・ゆう・・・」
そう言って頑張って手を出そうとするから・・・私はそのまま手を握った。
ピピピピッと体温計が鳴り、
「ちょっと・・・ごめんね・・・」
そう言って体温計を取り出すと・・・・。
『39.4』
うわ・・・・・。
これヤバいじゃん。
何で病院行かないの?
もぉー・・・・・・。
直ぐに・・涼の携帯から・・大和の番号を探して・・・・電話をした。
「もしもし??」
『あ、もしもし??・・・結城ちゃん??』
「はい・・・・・あのぉ・・・往診って・・・やってましたっけ??」
剛君が、大和君往診もしてるって・・・言ってたような・・・・。
『してるよー・・・!もしかして涼??』
「・・そうなの・・・熱が・・39.4あって・・・・」
『んーーー・・じゃぁー今休憩中だから行くよ、10分くらい・・・待ってて、直ぐに行くよ』
「いつもごめんなさい・・・お願いします・・・」
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