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第二章

14、馬車制作工房④

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「では、この感じで制作をしていく方向にしてもいいですか?」
「そうですね。多少の変更は可能ですか?」
「はい、可能ですよ」
 馬車の図面はよくゲームや漫画なんかでも出てくるような幌馬車なので、入り口が布を巻き上げるようになっている。できればここは扉がいい。ここが空間魔法の空間の出入り口になるから。
 御者席側も同じ造りなのでこれも出来れば丈夫な感じにしたい。ガイたち全員かなりの速度が出るらしい。それに対応できる感じがいいし、屋根となる部分も気になる。
「内側はこのまま荷物が置けて人が座る場所があればいいのですが入口は扉の方がいいです。そこが空間魔法の空間の出入り口になるので」
「なるほど」
「あと御者の席への出入り口ももう少し見た目的に丈夫の方が。うちの魔獣たち結構速度出るらしいので」
「確かにそうですね。全速力を出されると戸締り的な意味では心配になりますよね」
「はい。それに伴って屋根の方のも。それと先ほどの話に出たファイアスパイダーの糸・クーリシアの繭・マルシスの毛も使って下さい」
「分かりました」
 俺が気になる点等を言うとランビーさんが赤ペンで変更部分を書き始めた。
 俺の希望通りに出入口は木の板になった。実は木の部分にも塗る特殊薬液は耐風圧効果があるらしい。それに加えて木の部分に塗る特殊薬液の耐性は幌の部分と同等の効果が出るようにするらしい。
 まぁ、そうしないと幌は大丈夫だけど土台がダメになるって事態が起こるらしい。ついでに標準で耐腐効果は付けるようになっているらしい。腐りにくいのは助かる。
「では、このように整えておきます。土台や幌の部分の色はどういたしますか?」
「あ、それは任せます」
「うん、僕たちが考えるより専門の人がした方がいいの出来ると思いますし」
「分かりました。冒険者チームとしての馬車になるんですよね?」
「はい」
「チーム名等の記入はどうしますか?」
「あ、土台の部分とかに入れて貰った方がいいですよね」
「え?そう?」
「ああ、マコトの言うとおりだ。チーム名やロゴを入れておくことで盗まれ難くなるし、盗まれても特定しやすい」
「特殊薬液を塗る前に入れるので何があっても落ちませんので」
「なら、入れて貰おうよ」
「ああ。うちのチーム名『ブルーローズ』って言います。字としてはこんな感じで、俺の故郷で咲く花なので絵としてはこんな感じの花です」
 絵に関してはちょっと自信がある。昔から絵を描くことが好きだったのでいろんな絵を描いてきた。バラなんかは従妹に頼まれてよく描いたもんだ……従妹の書く同人誌に。
 それはおいとくとして描いたのは真ん中にバラで左右のツタが模様になった感じだ。そのツタは両サイドの端が上に上がっており、その半枠の中に『ブルーローズ』って書いた。本当は英語とかで綴り字にするとカッコいいんだけどなぁ。綴り字は知られていないから仕方ないよな、読めないと意味ないし。
「文字の色は?」
「できれば青系で、『ブルー』っていうのは青って意味なので」
「分かりました。模様に合わせて全体のバランスがよくなうように仕上げておきます」
「お願いします」
 うん、ここまで決まれば後は予算の話だな!
 ん?なんか前にも言ったような気が?……まぁ、良いか。
「それではすべての合計ですが、持ち込みなしで3840000Mミールになります。そこから持ち込み頂いた素材分を引いていきます。もちろんすべて必要分に足しいていることが条件です。グラシルもしくはビャクシルの木で1420000Mミール、バラモスの繭で1000000Mミール、フォレンスバンパーの皮で420000Mミールを引かせていただきます」
「つまり、その素材を全て揃えると1000000Mミールの支払いになるのか」
「そうです。これは原材料をお教えできない特殊薬液の部分と技術料になります」
「なるほど。ファイアスパイダーの糸やクーリシアの繭にマルシスの毛を持ってきた場合はどうなるんですか?」
「そうなりますとファイアスパイダーの糸は500000Mミールです。クーリシアの繭は300000Mミールでマルシスの毛はともに200000Mミールとなります」
「そうなると最終的に残るのは900000Mミール
「はい。5人用で両サイド取り出し可能の屋根つきの2タイプの馬車ですので」
「分かりました。それでお願いします」
「はい」
 これで馬車は何とかなったかな。
 馬車とかは高い買い物だから仕方ないんだよ。これぐらいの出費どうにかしてこその冒険者だろ……って思っておこう。
 それにこれは簡単な最低限の馬車ではなく、俺がこだわってしまった『ブルーローズ』専用の馬車なんだから。
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