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第一章
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「まぁ、次は皆が気にしているだろう奴隷たちに関して話そう」
「はい」
「何、ドワーフ族と獣人族に人族の者たちは建築関係で必要だから手に入れてきた。人族の者は借金奴隷なので、借金完済後は仕事の出来次第で我が家で継続雇用か、紹介かを決めるつもりだ」
「分かりました」
「ドワーフ族と獣人族に関しては戦敗奴隷なので我が家専属だ。まぁ、分かっていると思うが奴隷とか関係なく我が家の使用人だ。そのつもりで対応してくれ」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
「うん」
彼らのような奴隷という身分では下に見られる事が多くある。
まともな対応をされないことが主らしい。
俺としてはそんなのを気にしないであげたい。
戦敗奴隷なんかは返品がない限り、一生をその主人に仕えなければならない。
不当な扱いはしてほしくない。
借金奴隷は借金を完済すれば普通の生活に戻れるが、戦敗奴隷は一生を奴隷として生きなければならない。
あとは主人がどういう立ち位置にするかで決まる。
だから、俺としては彼らは同じ使用人として生きて欲しい。
「主人よ、聞きたいことがある」
「なんだい?」
挙手をして俺に質問してきたのはエルフ族の負傷戦敗奴隷だった。
「私や竜人族に魔族の彼らをどうして引き取ったのですか?」
「うん?」
「正直に言いますと私たちは殆ど何も出来ません。こんな身体ですし」
「…………ああ」
「分かっています。私たちぐらいになれば殆ど価値がありませんし、行き先など一択でしたでしょう。ですが、あの方も貴方も私たちを引き取りました。どういう思惑があるのかちゃんと知っておきたいと思うのです。そういう目的で引き取られたようには思えませんので」
「そうだな」
エルフ族の負傷戦敗奴隷はまっすぐに俺を見ていた。
竜人族と魔族の負傷戦敗奴隷の方を見ると同じ顔をしている。
なんというか、本当に不思議なんだろうなぁと言う顔をしている。
確かに彼の言うようにザマスが引き取られなかったらそういう場所に送られていた可能性は大きい……と言うより確実だろう。
ザマスとしてはそれを回避するために引き取ったのだから。
多少値段に釣り合わなくても。
彼らが余計に不思議に思っているのは俺が彼らを引き取った……つまり、奴隷として購入していないからだろう。
まぁ、うちの使用人にするつもりだからなんだけどな。
「まぁ、不思議か。簡単に言うと俺にはお前たちのその欠損部を治す手立てがあるからだ」
「「「「「「「「「なっ?!」」」」」」」」」
「…………」
エルフ族と竜人族の負傷戦敗奴隷をはじめとした殆どの者たちが驚いていた。
魔族の負傷戦敗奴隷は俺の手立てを知っているので黙ったままだ。
我が家の使用人たちも知らないから驚いているよな。
知っているのは執事のバルトと俺の護衛兼補佐のエルツたちだけだ。
まぁ、完全な詳細はラルクを除いたペットたちしか知らないんだけどな。
ラルクには流石に教えられない。
信じてないわけではないが、情報漏洩は怖いからな。
まだあれで子供だし、いつポロリとなるか分からないからな。
「そ、そんなことが」
「出来るんだよ。だから、俺としては君たちは購入ではなく引き取り……つまり、保護対象だな。我が家の使用人として働いて貰う。うちはわりと力があるから大抵の者を退けることが出来る。それにこれは知人からの頼みだからな」
「「「…………」」」
三人とも、俺の言う知人がザマスだってことは分かっているようだ。
そう、ザンザビール商会としてみれば格安での販売でも良かったはずだ。
むしろ、その方が少しでも利益になるからだ。
だが、ザマスは引き取り……つまり、保護をして欲しいと頼んできたのだ。
それに答えなくては知人として失礼だろう。
「では、私たちの身体は……」
「完全に治せる。だが、多少時間がかかるし、副作用で治りきるまで深い眠りに入る」
「そう、ですか」
「ああ、そのための薬ももう用意している。あとはこの話の後に皆の自室を割り振り、治療に入るだけだ」
「「「はい」」」
どこか信じきれないと言う顔をしているが仕方ないだろうな。
だけど、じい様の薬は本当に欠損部も治してしまうのだ。
まぁ、いわゆる『完全回復薬』だからな。
個人の状態に合わせた優れものだ。
万人向けの『完全回復薬』とは比べ物にならない。
副作用と言ったが深く眠らすことで欠損部を修復する際に感じる痛みや違和感などを失くしてくれる為のモノなので副作用とも言い難いがな。
最後にオベロンとティターニアから貰った種や苗に借りた妖精たちの説明をしよう。
そうしたらやっと彼らの治療に入れるからな。
「はい」
「何、ドワーフ族と獣人族に人族の者たちは建築関係で必要だから手に入れてきた。人族の者は借金奴隷なので、借金完済後は仕事の出来次第で我が家で継続雇用か、紹介かを決めるつもりだ」
「分かりました」
「ドワーフ族と獣人族に関しては戦敗奴隷なので我が家専属だ。まぁ、分かっていると思うが奴隷とか関係なく我が家の使用人だ。そのつもりで対応してくれ」
「「「「「「「「はい」」」」」」」」
「うん」
彼らのような奴隷という身分では下に見られる事が多くある。
まともな対応をされないことが主らしい。
俺としてはそんなのを気にしないであげたい。
戦敗奴隷なんかは返品がない限り、一生をその主人に仕えなければならない。
不当な扱いはしてほしくない。
借金奴隷は借金を完済すれば普通の生活に戻れるが、戦敗奴隷は一生を奴隷として生きなければならない。
あとは主人がどういう立ち位置にするかで決まる。
だから、俺としては彼らは同じ使用人として生きて欲しい。
「主人よ、聞きたいことがある」
「なんだい?」
挙手をして俺に質問してきたのはエルフ族の負傷戦敗奴隷だった。
「私や竜人族に魔族の彼らをどうして引き取ったのですか?」
「うん?」
「正直に言いますと私たちは殆ど何も出来ません。こんな身体ですし」
「…………ああ」
「分かっています。私たちぐらいになれば殆ど価値がありませんし、行き先など一択でしたでしょう。ですが、あの方も貴方も私たちを引き取りました。どういう思惑があるのかちゃんと知っておきたいと思うのです。そういう目的で引き取られたようには思えませんので」
「そうだな」
エルフ族の負傷戦敗奴隷はまっすぐに俺を見ていた。
竜人族と魔族の負傷戦敗奴隷の方を見ると同じ顔をしている。
なんというか、本当に不思議なんだろうなぁと言う顔をしている。
確かに彼の言うようにザマスが引き取られなかったらそういう場所に送られていた可能性は大きい……と言うより確実だろう。
ザマスとしてはそれを回避するために引き取ったのだから。
多少値段に釣り合わなくても。
彼らが余計に不思議に思っているのは俺が彼らを引き取った……つまり、奴隷として購入していないからだろう。
まぁ、うちの使用人にするつもりだからなんだけどな。
「まぁ、不思議か。簡単に言うと俺にはお前たちのその欠損部を治す手立てがあるからだ」
「「「「「「「「「なっ?!」」」」」」」」」
「…………」
エルフ族と竜人族の負傷戦敗奴隷をはじめとした殆どの者たちが驚いていた。
魔族の負傷戦敗奴隷は俺の手立てを知っているので黙ったままだ。
我が家の使用人たちも知らないから驚いているよな。
知っているのは執事のバルトと俺の護衛兼補佐のエルツたちだけだ。
まぁ、完全な詳細はラルクを除いたペットたちしか知らないんだけどな。
ラルクには流石に教えられない。
信じてないわけではないが、情報漏洩は怖いからな。
まだあれで子供だし、いつポロリとなるか分からないからな。
「そ、そんなことが」
「出来るんだよ。だから、俺としては君たちは購入ではなく引き取り……つまり、保護対象だな。我が家の使用人として働いて貰う。うちはわりと力があるから大抵の者を退けることが出来る。それにこれは知人からの頼みだからな」
「「「…………」」」
三人とも、俺の言う知人がザマスだってことは分かっているようだ。
そう、ザンザビール商会としてみれば格安での販売でも良かったはずだ。
むしろ、その方が少しでも利益になるからだ。
だが、ザマスは引き取り……つまり、保護をして欲しいと頼んできたのだ。
それに答えなくては知人として失礼だろう。
「では、私たちの身体は……」
「完全に治せる。だが、多少時間がかかるし、副作用で治りきるまで深い眠りに入る」
「そう、ですか」
「ああ、そのための薬ももう用意している。あとはこの話の後に皆の自室を割り振り、治療に入るだけだ」
「「「はい」」」
どこか信じきれないと言う顔をしているが仕方ないだろうな。
だけど、じい様の薬は本当に欠損部も治してしまうのだ。
まぁ、いわゆる『完全回復薬』だからな。
個人の状態に合わせた優れものだ。
万人向けの『完全回復薬』とは比べ物にならない。
副作用と言ったが深く眠らすことで欠損部を修復する際に感じる痛みや違和感などを失くしてくれる為のモノなので副作用とも言い難いがな。
最後にオベロンとティターニアから貰った種や苗に借りた妖精たちの説明をしよう。
そうしたらやっと彼らの治療に入れるからな。
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