家族と婚約者に冷遇された令嬢は……でした

桜月雪兎

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私たちは日が暮れだしたところで今日の旅程を終えました。
私たちは既にサルベージル王国最東端の港町・アクラシアに着いたのです。
王都からアクラシアまで馬車で旅をしても半月はかかります。

サルベージル王国はこの西大陸でとても大きな国々の一つとされています。
西大陸にはサルベージル王国以外にもルーフェント教法皇国、タラザイル王国、エルドラグ小国、ベルミスト王国、ドワング王国、マザリア帝国、ナータリス共和国、ウィザード連邦国となっています。

この中でも大国とされているのが東のサルベージル王国、南のウィザード連邦国、西のマザリア帝国の三大大国です。
サルベージル王国は横に大きな国で、マザリア帝国は縦に大きな国で、ウィザード連邦国は完全に南で他の両国に接している国になっています。

その上でサルベージル王国は殆んどナータリス共和国で海側を占めてるので唯一の海路となるのはこの港町であるアクラシアのみです。
そのためにこのアクラシアは大きな発展を遂げています。
ドラゴニス王国に行ける唯一の海路です。
王都は中央の位置ではなく、やや南西の方に寄っていますので、王都から最東端のアクラシアまで半月はかかる計算なんです。
ですが、竜だと1日程で着いてしまいますのね。
まぁ、景色も分からないほどのスピードですので頷けますが。

このアクラシアはサルベージル王国で唯一海路での貿易を行う場所であり、ドラゴニス王国に最も近い町ですので、ドラゴニス王国に向かう客が集まる場所でもあるようです。
なので、殆んどの人がこの町で休憩をとるそうで、町自体も大きいですし、数多くの宿があります。

ドラゴニス王国から近いのもあり、馬舎だけでなく、竜たちの休むための竜舎も用意されているようですし、併設の大きな宿まであります。
事前に予約がなされていたようで、貸しきり状態でした。
まぁ、人数多いですからそうなりますよね。

では、その反対に隣大陸の東大陸は以前も話したようにお母様や私たちの祖国であるドラゴニス王国のみしかありません。
東大陸全土を統一した大陸統一王国として名を馳せていると学びました。
多くの種族や文化などが入り交じりながらも国として大陸統一を果たした王国ですので、広大で自然豊かな場所が多く、竜に限らず、数多の動物がいるとの事です。

私が知っているのはその程度です。
なので、事前情報として私とフォルクスは宿のお部屋に着くとマンサール様にお願いしまして、ドラゴニス王国の事を私とフォルクスは教えて貰うことなしました。

「では、お願いします。マンサール様」
「お願いします!」
「知的好奇心が強いのは良いのですが、ちゃんと休んで頂いた方が良いのですが」
「ええ、休みますし、ちょっと観光もしてみたいと思いますが、少しでも知っておきませんと」
「ヴォル、エリアンティーヌ様はこういう方よ。素直に教えた方が良いですわ」
「分かりました」

マンサール様は苦笑されながらも教えてくださいました。

「ドラゴニス王国と言うより東大陸には昔14の国々がありました。一千年以上昔になりますが、現在の王都ドラムは元々ドラム王国でした。ドラムは東大陸全土を統一することを目指したのです」
「何故ですか?」
「竜です。東大陸全土に棲息する竜を自然な状態で手中に納めようとしました。その結果が今の王家ですね。王家や公爵家は様々な種族の方が産まれます。親と別の種族であるのも普通なんです」
「普通ですか?」
「ええ、話し合いの結果であっても、戦争の結果であっても、ドラム王国はその国の王家の血を入れてきました。大元の王家を取り込んだ後は点在する数多の種族の血も入れて、東大陸の統一を納めたのです。そして、ドラム王家は血の流失をしませんように王子・王女の嫁ぎ先を公爵家のみと定めたようです」
「そうなのですね。では、東大陸が統一されたのを気に国名を変え、今までの国々の名前を都市名と変えたのですね」
「はい。そして、数多の血を入れたことで王家や公爵家では親と違う種族の子が出来るのが普通となってしまいました。いわゆる、隔世遺伝ですね。そして、統一してから今まで大きな内乱等が起きたとの話はありません。このような経緯で現在のドラゴニス王国になったのです」
「そうなのですね。マンサール様、お教え頂きありがとうございます」
「ありがとうございました!」

ドラゴニス王国が統一王国として出来上がったのは竜の存在が大きいのですね。
さすが、竜騎士発祥の国です。
自然な状態のままで竜たちの生活圏を把握し、手中に納めるなんて。
よく考えついましたねと思います。
そして、今まで大きな内乱が無いと言うのも凄いことですね。

私たちは話を聞いた後、夕食も含めて、マンサール様と数名の護衛をつけてアクラシアの観光も始めました。
私やフォルクスははじめてみる港の町にはしゃいでいました。

間近で見る茜から紫音色に暮れていく大空と海の素晴らしさ。
活気付く屋台通りの人の多さ。
美味しそうな臭いで人々の食欲を刺激する食べ物たち。
店には渡来品なども売っているようでなかなか見ることのなかったきれいな宝飾品もありました。

「凄いですね、見たこともないような物が沢山あります」
「ですね!お姉様!」
「エリアンティーヌ様、もう少し先にお食事をするレストランがありますよ」
「そうなんですね、楽しみですわ」
「僕も楽しみです!」

クリスティーナの言うように、少し歩いた先にレストランがありました。
そこで出たお料理もとても良かったです。
新鮮な魚介類を使ったフルコースでした。

魚介類を使ったサラダ、甲殻類の出汁を効かせたビスク、旬の魚のムニエル、お肉料理も近くで捕れる魔獣のロースト、デザートは隣国で人気のあるチョコレートを使ったケーキでした。

どれも美味しかったです。
ここでないと食べれないものばかりでした。
と言うのも使われている魚介類は新鮮さを保って運搬出来る範囲が狭いからです。

ああ、こういう時に竜で運搬できたらその日の内に新鮮な魚介類が王都でも手に入るようになるのでしょうね。
そういう意味でも竜が我が国で繁殖してくれると嬉しいのですね。

「私たちの王命や密命には将来的にこういうことにまで発展させたかったのですね」
「エリアンティーヌ様?」
「お姉様?どういう事ですか?」
「ふふふ、こんな美味しい料理が王都でも食べれたら良かったと言うことですよ」
「確かに食べてみたかったです。お祖父様にも食べさせてあげたいです」
「そうですね」

優しいフォルクス、貴方の言うようにお祖父様にも食べさせてあげたいですね。
ドラゴニス王国で落ち着いたらお祖父様をお呼びしましょう。
そして、一緒に美味しい物や楽しい事をして過ごしましょうね。

そのためにも私たちはドラゴニス王国で生活していけるようになりませんとね。
この後は宝飾品のお店に入って、様々な物を見せて頂きました。

私はそんな中でも乳白色のパールを使ったブローチを見つけました。
パールを使っていますがデザイン的には男性用ですね。
竜がその手にパールを持っているようなデザインです。
私はそれをフォルクスの胸に当ててみました。

やっぱり、似合いますね。
男の子はこういうのも良いのでしょうね。
私はそれを購入して、フォルクスにプレゼントしてあげました。

「お姉様、良いのですか?」
「ええ、貴方のプレデビュタントお祝いです。ちゃんとお祝いをしてあげれてませんからね」
「っ!ありがとうございます、お姉様!大事にします!!」
「はい」

やはり、私の弟は可愛いですね。
あらあら、よく見ると向こうの方でマンサール様はクリスティーナにネックレスをプレゼントしたようですね。

他の護衛の方も交代で宝飾品を見ていますね。
頬を染めている方もいますのでドラゴニス王国に婚約者でも残した来たのでしょうか?

ああ、竜騎士の方はマンサール様以外は定期的に人員を入れ替えたりしていたみたいですね。
たまに見学に行きますと母国に帰って結婚したという話や婚約したという話も侍女や従者たちから聞いていましたね。
母国に残る方も多くいたみたいですね。
わりとこちらに来られている方々は若い方が多いようですしね。
私は数名の方が宝飾品を購入したのを微笑ましく見ていました。
そして、私たちは宿に戻り、休むことにしました。

「エリアンティーヌ様、フォルクス君」
「はい!」
「はい、何でしょうか?マンサール様」
「明日、朝食後にここを立ちます。そうすればすぐにでもドラゴニス王国に到着します」
「はい」
「明日の昼過ぎには王都ドラムです。その後、国王陛下たちとの謁見となります。すでに連絡は行っていますので、国王陛下たちは早くエリアンティーヌ様に会いたいと仰られていました」
「そうなんですね、嬉しいです」

私はちゃんと歓迎していただけるようです。
少しホッとしました。
そんな私にクリスティーナやマンサール様は苦笑していました。

そして、マンサール様は少し真剣な表情になりました。
何かありましたでしょうか?

「エリアンティーヌ様」
「はい?」
「ドラゴニス王国に入ればエリアンティーヌ様は王族です。この国では目を瞑りましたが、私のことはマンサール卿、もしくはマンサールとお呼びください」
「あ!そ、そうですわね。マンサール…卿」
「はい。すぐには難しいのは理解していますが努力だけはお願いします」
「はい」

ああ、そうでした。
いまだに実感が無いのであれでしたが、ここから先は私はドラゴニス王国の王族の一人になるのですね。
気を付けませんと。











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