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私たちは馬車に揺られて王城に向かいました。
御者席に狭そうに座るマンサールと団長(?)さんは項垂れています。
ですが、何より可哀想なのはその二人に挟まれて仕事をしなければならない御者の方ではないでしょうか。
項垂れて暗い雰囲気の男性二人に囲まれていますし、向こうの方が立場が上でしょうから文句も言えませんしねぇ。
何より両側とも騎士様ですので体格も良い方ですものね、場所に限りのある御者席では狭すぎるでしょう。
馬を操って貰わないといけませんのに、御者の方が一番縮こまっています。
フォルクスの方を見ますと可哀想なものを見る瞳でマンサールと団長(?)さんを、同情するような瞳で御者の方を見ています。
これはさすがにどうにかしませんと。
「クリスティーナ」
「はい?どうされましたか、エリアンティーヌ様」
「私もフォルクスも気にしてませんから、マンサールと団長(?)さんを許してあげてくださいな」
「うん、僕も気にしてないから」
「ですが」
「とても」
「とても?」
「とても、可哀想ですわ…………御者の方が」
「「「「「え?」」」」」
あら?
馬車の中と外からきょとんとした、戸惑ったような声がしましたわね。
それも同時に。
私、何かおかしな事を言いましたでしょうか?
フォルクスまで不思議そうに私を見てますわね、おかしいですわね。
私はおかしな事は言ってないと思うのですが、言っているのでしょうか?
「体格の良い男性二人に囲まれて縮こまっていますよ。馬を操るなんて大変なお仕事の最中ですのに。ましてや相手は騎士様ですので何も言えませんよね?」
「そ、そうですね……そうでしょうが…………」
「ですので、お二人を許して差し上げて。馬車の中に入って貰いましょう、ね?お願いしますわ」
「僕からもお願いします」
私の考えが分かったのか、フォルクスが援護してくださいました。
クリスティーナは本当にフォルクスの事を気にいっています。
ですので、フォルクスのお願いに弱いのです。
まぁ、私にもしっかりと仕えてくださり、昔から知られていますので、私のお願いにもわりと弱いところがありますね。
ですので、私とフォルクスの二人からのお願いにクリスティーナが現在、頭を悩ませています。
今まで私とフォルクスが組んでお願いしたことをクリスティーナが断ったことは一度もありません。
ですので、ちょっと自惚れているところがあります。
クリスティーナならお願いを断らないと。
そして、それは実際に……。
「っっ!…………はぁ~、分かりました。ヴォルと大伯父様を許します…………エリアンティーヌ様のお願いですからね!仕方なくです!仕方なくですが、許してあげます」
「「クリス」」
「ですので、さっさと馬車の中に入って来てください!」
「御者さん、一度お止めになってくださいな。マンサールたちが馬車の中に入りましたら再度向かって下さいまし」
「は、はい!」
クリスティーナのお許しが出ましたので私は御者の方にお願いして一度馬車を止めてもらいました。
まぁ、急に馬車が止まりましたので護衛の騎士様たちがちょっと慌てましたが、マンサールと団長(?)さんが乗り込むのを見て納得されました。
ついでに騎士様たちの中では驚かれる方や苦笑される方もいました。
後方にいた侍女や従者たちの馬車からもその様子は確認されていたようでして全員が苦笑されていました。
「エリアンティーヌ様、フォルクス君、申し訳ありませんでした」
「いや、本当に申し訳ありませんでした。エリアンティーヌ様、フォルクス君」
「いえ、私は気にしませんね」
「ぼ、僕もです」
「「ありがとうございます。クリスも」」
「すまない」
「悪かった」
「はぁ~。エリアンティーヌ様やフォルクス坊ちゃまの頼みでなければ許しませんでしたよ。まったく」
「「はい」」
マンサールと団長(?)さんが馬車の中に入って私たちの真向かいに座りました。
御者の方が扉を閉める際にホッとした表情をしたのを私は見てしまいました。
やはり、色々気まずかったのですね、ご苦労様でした。
マンサールたちは馬車に乗りましたらすぐに私とフォルクスに頭を下げてくださいました。
そして、クリスティーナにも謝っていました。
その際にクリスティーナはあんな風に申してますが、本人もどこかホッとしたように苦笑しています。
ですので、クリスティーナはあの人たちを許すタイミングを計りかねていたのではないかと私は思っていました。
お二人もクリスティーナに許して貰えてホッとしています。
そして、馬車は再度王城に向かって動き始めました。
心なしか操られている馬の方も足取りが良くなっているような気がします、気のせいでしょうか?
御者の方に余裕が出たからでしょうか?
まぁ、何にしても良かったです。
王城の敷地内にある駐竜場ですが、広さもかなりのものでしたが、距離もあるようです。
確かに竜たちが飛び立ったり、降り立ったりするための場所ですものね。
王城からもそれなりに距離が必要ですよね。
それこそ、馬車で移動するほどには。
まぁ、途中に騎士様たちの詰め所や訓練場に寮なんかもありましたので、軍の拠点としての役割をまとめているのでしょうね。
あ、今のは馬車の中でマンサールが私とフォルクスのために説明してくださった事です。
団長(?)さんはクリスティーナを怒らさないためか、黙っています。
何か言おうものならクリスティーナに睨まれていますので。
何を気にしているのでしょうか、クリスティーナは。
と言うより、団長(?)さんはクリスティーナにとても弱いのですね。
御者席に狭そうに座るマンサールと団長(?)さんは項垂れています。
ですが、何より可哀想なのはその二人に挟まれて仕事をしなければならない御者の方ではないでしょうか。
項垂れて暗い雰囲気の男性二人に囲まれていますし、向こうの方が立場が上でしょうから文句も言えませんしねぇ。
何より両側とも騎士様ですので体格も良い方ですものね、場所に限りのある御者席では狭すぎるでしょう。
馬を操って貰わないといけませんのに、御者の方が一番縮こまっています。
フォルクスの方を見ますと可哀想なものを見る瞳でマンサールと団長(?)さんを、同情するような瞳で御者の方を見ています。
これはさすがにどうにかしませんと。
「クリスティーナ」
「はい?どうされましたか、エリアンティーヌ様」
「私もフォルクスも気にしてませんから、マンサールと団長(?)さんを許してあげてくださいな」
「うん、僕も気にしてないから」
「ですが」
「とても」
「とても?」
「とても、可哀想ですわ…………御者の方が」
「「「「「え?」」」」」
あら?
馬車の中と外からきょとんとした、戸惑ったような声がしましたわね。
それも同時に。
私、何かおかしな事を言いましたでしょうか?
フォルクスまで不思議そうに私を見てますわね、おかしいですわね。
私はおかしな事は言ってないと思うのですが、言っているのでしょうか?
「体格の良い男性二人に囲まれて縮こまっていますよ。馬を操るなんて大変なお仕事の最中ですのに。ましてや相手は騎士様ですので何も言えませんよね?」
「そ、そうですね……そうでしょうが…………」
「ですので、お二人を許して差し上げて。馬車の中に入って貰いましょう、ね?お願いしますわ」
「僕からもお願いします」
私の考えが分かったのか、フォルクスが援護してくださいました。
クリスティーナは本当にフォルクスの事を気にいっています。
ですので、フォルクスのお願いに弱いのです。
まぁ、私にもしっかりと仕えてくださり、昔から知られていますので、私のお願いにもわりと弱いところがありますね。
ですので、私とフォルクスの二人からのお願いにクリスティーナが現在、頭を悩ませています。
今まで私とフォルクスが組んでお願いしたことをクリスティーナが断ったことは一度もありません。
ですので、ちょっと自惚れているところがあります。
クリスティーナならお願いを断らないと。
そして、それは実際に……。
「っっ!…………はぁ~、分かりました。ヴォルと大伯父様を許します…………エリアンティーヌ様のお願いですからね!仕方なくです!仕方なくですが、許してあげます」
「「クリス」」
「ですので、さっさと馬車の中に入って来てください!」
「御者さん、一度お止めになってくださいな。マンサールたちが馬車の中に入りましたら再度向かって下さいまし」
「は、はい!」
クリスティーナのお許しが出ましたので私は御者の方にお願いして一度馬車を止めてもらいました。
まぁ、急に馬車が止まりましたので護衛の騎士様たちがちょっと慌てましたが、マンサールと団長(?)さんが乗り込むのを見て納得されました。
ついでに騎士様たちの中では驚かれる方や苦笑される方もいました。
後方にいた侍女や従者たちの馬車からもその様子は確認されていたようでして全員が苦笑されていました。
「エリアンティーヌ様、フォルクス君、申し訳ありませんでした」
「いや、本当に申し訳ありませんでした。エリアンティーヌ様、フォルクス君」
「いえ、私は気にしませんね」
「ぼ、僕もです」
「「ありがとうございます。クリスも」」
「すまない」
「悪かった」
「はぁ~。エリアンティーヌ様やフォルクス坊ちゃまの頼みでなければ許しませんでしたよ。まったく」
「「はい」」
マンサールと団長(?)さんが馬車の中に入って私たちの真向かいに座りました。
御者の方が扉を閉める際にホッとした表情をしたのを私は見てしまいました。
やはり、色々気まずかったのですね、ご苦労様でした。
マンサールたちは馬車に乗りましたらすぐに私とフォルクスに頭を下げてくださいました。
そして、クリスティーナにも謝っていました。
その際にクリスティーナはあんな風に申してますが、本人もどこかホッとしたように苦笑しています。
ですので、クリスティーナはあの人たちを許すタイミングを計りかねていたのではないかと私は思っていました。
お二人もクリスティーナに許して貰えてホッとしています。
そして、馬車は再度王城に向かって動き始めました。
心なしか操られている馬の方も足取りが良くなっているような気がします、気のせいでしょうか?
御者の方に余裕が出たからでしょうか?
まぁ、何にしても良かったです。
王城の敷地内にある駐竜場ですが、広さもかなりのものでしたが、距離もあるようです。
確かに竜たちが飛び立ったり、降り立ったりするための場所ですものね。
王城からもそれなりに距離が必要ですよね。
それこそ、馬車で移動するほどには。
まぁ、途中に騎士様たちの詰め所や訓練場に寮なんかもありましたので、軍の拠点としての役割をまとめているのでしょうね。
あ、今のは馬車の中でマンサールが私とフォルクスのために説明してくださった事です。
団長(?)さんはクリスティーナを怒らさないためか、黙っています。
何か言おうものならクリスティーナに睨まれていますので。
何を気にしているのでしょうか、クリスティーナは。
と言うより、団長(?)さんはクリスティーナにとても弱いのですね。
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