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1、兄と弟の気持ち
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VRMMO技術が発達したこの日本で『インフィニティ』と言うVRMMOゲームのオープンβが終了し、正式オープンした。
このゲームのうりは一部を現実とリンクさせたことだ。
引き篭もりが社会問題になったこの日本においてこれは国が決めた救済システムだ。
この『インフィニティ』の世界をもう一つの現実とすることだ。
現実のお金と『インフィニティ』でのお金を共通にすることや職業を認めることなどの社会対応システムのことだ。
もちろん、現実の体の健康維持のために一定時間ゲーム内活動時間の間隔を開けるシステムも入れている。自らの健康維持がゲームにも反映するので廃人も健康維持を心掛けるようにもなったと言うデータも取られた。
国推奨のゲームとして多くの企業や団体が関わったオンラインゲームとなった。
ここにもそれを始めようとしている少年・笹原秋良。
秋良は夕食後珍しく家族全員がいるのでリビングに呼び、自分のノートPCでそのゲームの紹介ムービーを見せた。
『史上初!国推奨のオンラインゲームが誕生!多くの企業や団体が関わったことによって可能となった高速演算による寸分の誤差のないアバターの動きや世界観、AI搭載により人と変わりないNPCやモンスター。数多な職業やスキル。個人同盟を開き仲間たちと行動するのも、個人で動くのもあり、己の判断が未来を切り開く!この世界での一部は現実世界でも適用。さぁ、専用のヘッドギアを用意して新たな世界に飛び込もう!』
ムービーを見終わった家族はもう一度秋良の方を見た。
秋良は真剣な顔をして家族、両親と兄・雪兎を見た。
両親は秋良を見て優しい顔をしているが雪兎はどうでも良さそうに明後日の方を見ていた。
「このゲームがしたいのか?」
「うん」
「ヘッドギアが欲しいの?」
「いや、ヘッドギアは小遣いで買ったからいいんだ。いいんだけど」
「何か問題があるのか?」
「年齢、こいつは15だから20歳以上の保護者同伴じゃないと入れないんだよ、このゲーム」
「そうなんだ」
秋良の方は見てないも雪兎は秋良の言いたいことがわかり付け加えた。
秋良はその上で雪兎の方を見た。
2人の視線が合うことは滅多にない、と言うのも雪兎は秋良のことが好きではないのだ。
雪兎は秋良が生まれるまでずっと両親にほっとかれ、この家で1人でいることが多かった。
それに秋良を溺愛している両親は秋良を優先し、何かと雪兎に強制してくるのだ。
そんな両親や秋良のことを雪兎がよく思えるはずもなく、雪兎は極力関わらないように避けている。
「協力してあげたいけど、お母さんたち仕事があるからねぇ」
「ああ……そうだ、雪兎、お前が保護者として一緒にやってあげなさい」
「はぁ?」
「それがいいわ。あなた、在宅仕事で時間があるじゃない。秋良に協力してあげなさい」
「断る」
「なんだと?可愛い弟の頼みが聞けないのか!」
「なんで俺がこいつのお守りをしないといけないんだ。それにあんたたちよく俺にそんなこと言えるな。ほっとかれた俺が愛されている弟の頼みを聞きたいと思うわけないだろう。寝言は寝て言え、俺は部屋に戻る」
「雪兎!」
「秋良、お母さんたちが雪兎に言っておくから」
「いいよ、兄さんの言いたいことは分かるから」
「秋良」
「湊と一緒にやるから、玲兄にでも頼むよ」
「そうね、玲一君にはお母さんたちからも頼んどこうかしら?」
「いいよ、1人で言える」
秋良はそう言うと自室に向かった。
秋良の部屋の隣は雪兎の部屋だ。
雪兎の部屋の扉に掛かった侵入禁止の札がいつも以上に強く秋良を拒んでいるように感じた。
本当は秋良は優秀な雪兎のことが好きだ。
どんなに自分に冷たくても最後は見捨てないでいてくれる雪兎のことを秋良は慕っている。
本当は普通の兄弟のように接したいのだが、両親がいると雪兎は嫌がる。
秋良からしたら両親より雪兎と仲よくしていたいのだ。
でも、そんなこと言えない。
それは両親に『愛されたかった』雪兎の神経を逆撫でするようなことだからだ。
秋良は扉に手を当てて聞こえてないだろうと分かっていながら雪兎に話しかけた。
「ごめん、兄さん。嫌な思いさせて……でも、俺、兄さんと一緒にやりたかったんだ。湊と一緒にやるから……迷惑かけて、本当にごめん」
「……………」
「お休み、兄さん。仕事頑張りすぎないでね」
「……………」
何も返事が返ってこなかったが秋良はそのまま自室に戻った。
秋良が自室に入った後雪兎の部屋の扉が開いた。
「……湊と一緒にってことは保護者は玲かよ。はぁ、結局お守りするのか……まぁ、仕方ないか、『弟』なんだもんな」
雪兎は諦めたようにため息をついた。
雪兎には全部聞こえていた、だからわざと扉を開けなかったのだ。
素直になれない自分が雪兎は両親と同じぐらい嫌いだ。
雪兎は秋良のことが『好きではない』だが『嫌いなわけでもない』のだ。
雪兎は幼馴染の玲一がいたから『友情』は分かるが『愛情』をもらっていないので分からない。
ましてや疑問と悔しさと憎しみに近い感情しか両親に感じたことしかないので『愛情』を知らない。
知らないから愛されたくても、愛したくても、分からない、表現ができない。
だからこそ雪兎は諦めていた、誰かに愛されることを、誰かを愛することを。
「玲ならどうにかできるだろう」
雪兎は残りの仕事をするために自室に戻った。
このゲームのうりは一部を現実とリンクさせたことだ。
引き篭もりが社会問題になったこの日本においてこれは国が決めた救済システムだ。
この『インフィニティ』の世界をもう一つの現実とすることだ。
現実のお金と『インフィニティ』でのお金を共通にすることや職業を認めることなどの社会対応システムのことだ。
もちろん、現実の体の健康維持のために一定時間ゲーム内活動時間の間隔を開けるシステムも入れている。自らの健康維持がゲームにも反映するので廃人も健康維持を心掛けるようにもなったと言うデータも取られた。
国推奨のゲームとして多くの企業や団体が関わったオンラインゲームとなった。
ここにもそれを始めようとしている少年・笹原秋良。
秋良は夕食後珍しく家族全員がいるのでリビングに呼び、自分のノートPCでそのゲームの紹介ムービーを見せた。
『史上初!国推奨のオンラインゲームが誕生!多くの企業や団体が関わったことによって可能となった高速演算による寸分の誤差のないアバターの動きや世界観、AI搭載により人と変わりないNPCやモンスター。数多な職業やスキル。個人同盟を開き仲間たちと行動するのも、個人で動くのもあり、己の判断が未来を切り開く!この世界での一部は現実世界でも適用。さぁ、専用のヘッドギアを用意して新たな世界に飛び込もう!』
ムービーを見終わった家族はもう一度秋良の方を見た。
秋良は真剣な顔をして家族、両親と兄・雪兎を見た。
両親は秋良を見て優しい顔をしているが雪兎はどうでも良さそうに明後日の方を見ていた。
「このゲームがしたいのか?」
「うん」
「ヘッドギアが欲しいの?」
「いや、ヘッドギアは小遣いで買ったからいいんだ。いいんだけど」
「何か問題があるのか?」
「年齢、こいつは15だから20歳以上の保護者同伴じゃないと入れないんだよ、このゲーム」
「そうなんだ」
秋良の方は見てないも雪兎は秋良の言いたいことがわかり付け加えた。
秋良はその上で雪兎の方を見た。
2人の視線が合うことは滅多にない、と言うのも雪兎は秋良のことが好きではないのだ。
雪兎は秋良が生まれるまでずっと両親にほっとかれ、この家で1人でいることが多かった。
それに秋良を溺愛している両親は秋良を優先し、何かと雪兎に強制してくるのだ。
そんな両親や秋良のことを雪兎がよく思えるはずもなく、雪兎は極力関わらないように避けている。
「協力してあげたいけど、お母さんたち仕事があるからねぇ」
「ああ……そうだ、雪兎、お前が保護者として一緒にやってあげなさい」
「はぁ?」
「それがいいわ。あなた、在宅仕事で時間があるじゃない。秋良に協力してあげなさい」
「断る」
「なんだと?可愛い弟の頼みが聞けないのか!」
「なんで俺がこいつのお守りをしないといけないんだ。それにあんたたちよく俺にそんなこと言えるな。ほっとかれた俺が愛されている弟の頼みを聞きたいと思うわけないだろう。寝言は寝て言え、俺は部屋に戻る」
「雪兎!」
「秋良、お母さんたちが雪兎に言っておくから」
「いいよ、兄さんの言いたいことは分かるから」
「秋良」
「湊と一緒にやるから、玲兄にでも頼むよ」
「そうね、玲一君にはお母さんたちからも頼んどこうかしら?」
「いいよ、1人で言える」
秋良はそう言うと自室に向かった。
秋良の部屋の隣は雪兎の部屋だ。
雪兎の部屋の扉に掛かった侵入禁止の札がいつも以上に強く秋良を拒んでいるように感じた。
本当は秋良は優秀な雪兎のことが好きだ。
どんなに自分に冷たくても最後は見捨てないでいてくれる雪兎のことを秋良は慕っている。
本当は普通の兄弟のように接したいのだが、両親がいると雪兎は嫌がる。
秋良からしたら両親より雪兎と仲よくしていたいのだ。
でも、そんなこと言えない。
それは両親に『愛されたかった』雪兎の神経を逆撫でするようなことだからだ。
秋良は扉に手を当てて聞こえてないだろうと分かっていながら雪兎に話しかけた。
「ごめん、兄さん。嫌な思いさせて……でも、俺、兄さんと一緒にやりたかったんだ。湊と一緒にやるから……迷惑かけて、本当にごめん」
「……………」
「お休み、兄さん。仕事頑張りすぎないでね」
「……………」
何も返事が返ってこなかったが秋良はそのまま自室に戻った。
秋良が自室に入った後雪兎の部屋の扉が開いた。
「……湊と一緒にってことは保護者は玲かよ。はぁ、結局お守りするのか……まぁ、仕方ないか、『弟』なんだもんな」
雪兎は諦めたようにため息をついた。
雪兎には全部聞こえていた、だからわざと扉を開けなかったのだ。
素直になれない自分が雪兎は両親と同じぐらい嫌いだ。
雪兎は秋良のことが『好きではない』だが『嫌いなわけでもない』のだ。
雪兎は幼馴染の玲一がいたから『友情』は分かるが『愛情』をもらっていないので分からない。
ましてや疑問と悔しさと憎しみに近い感情しか両親に感じたことしかないので『愛情』を知らない。
知らないから愛されたくても、愛したくても、分からない、表現ができない。
だからこそ雪兎は諦めていた、誰かに愛されることを、誰かを愛することを。
「玲ならどうにかできるだろう」
雪兎は残りの仕事をするために自室に戻った。
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