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2、幼馴染兄弟
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次の日、秋良はいつも通り幼馴染の源内湊と一緒に通学している。
その道中、昨晩の話をした。
「結局、ダメだったのかぁ」
「うん」
「まぁ、雪兄はおじさんたちのこと嫌いだもんな。向こうから言われたらまず無理だろうな」
「うん、でも、父さんたちにもゲームをする許可もらわないとって思って」
「それが裏目に出たと」
「うん」
「まぁ、うちの兄貴なら一緒にやってくれるだろうよ。なにせ、オープンβの時からやってるんだし」
「そうだね、学校が終わったら着替えなどを持って泊まりに行くよ」
「そうだな、今日は金曜だし、明日学校ないもんな」
「うん!」
秋良は学校が終わると急いで家に帰り、泊まる準備をしていた。
そうしているとノックされ、振り向くと雪兎が扉の所に寄りかかっていて、秋良は驚いた。
「兄さん」
「どこか行くのか?」
「うん、湊の所に泊まろうと思って、玲兄に保護者を頼もうと思ってるんだ」
「そうか」
「うん」
秋良は珍しく自分の所に来てくれた雪兎に嬉しくなった。
基本的に秋良は雪兎と関われるだけで嬉しいのだ。
あまり一緒にいてくれなくてもそれが雪兎の不器用な『親愛』の証だと秋良は思っている。
そのため、そんなことを周りに言うとブラコンだと言われるが秋良は気にしていない、むしろ秋良自身もそうだと思っている。
「なんだ、玲やおばさんたちに迷惑かけるなよ」
「うん」
「あと、これを持っていけ」
「何、これ?」
「玲に渡せば分かる」
「分かった」
「じゃあな、あいつらにはお前から連絡しとけよ」
「うん、分かった。行ってきます」
「…………ああ」
雪兎は秋良に紙を渡した。
そこにはランダムな英数字が記されているだけで秋良にはよく分からなかったが、雪兎が玲一に渡せと言うので無くさないようにチャックポケットにしまった。
話が終わると雪兎は自室に戻った。
秋良は嬉しそうに荷物を用意し終わると仕事中の両親に湊の所に日曜の夕方まで泊まるとメールをした。
秋良は元気よく家を出て行った。
雪兎はそれを自室から見ていた。
「どうせ、こっちに連れて来るんだろう。玲」
雪兎はそう独り言を呟いて机に向かい、あるサイトを開いた。
***
源内家は笹原家の右隣の家だ。
両親同士が学生時代からの友人同士であるため子供達も仲がいい……と言うのもあるが雪兎を放置しまくっていた2人を見かねて、雪兎の面倒を見ていた。
そうは言っても食事を共にするぐらいだったので、雪兎は感謝はしているが『愛情』を知らない子どもだった。
そして、4人がそのことに気づいた時にはすでに取り返しのつかないところまで来ていた。
玲一だけが雪兎の安らぎになっている。
「お邪魔します」
「秋君、いらっしゃい……雪君は?」
「家にいます」
「そう、やっぱり雪君は許してくれそうにない?」
「うん」
「そう、仕方ないわよね、そうしたのは私たちなんだから」
「いや…」
「いいのよ、どうしようもないことですもの。せめてあなたたち兄弟だけでも仲良くなれたらって言うのは、虫のいい話よね」
「……うん」
「ああ、ごめんなさいね。玲も湊も上にいるわよ」
「はい」
「ゲームもいいけど、ちゃんと宿題やご飯も食べに降りて来るのよ」
「はーい」
「うん、いい返事!」
迎えてくれた湊の母親は寂しそうに雪兎の話をした。
源内家は雪兎に対して負い目がある、一緒にいながら雪兎の心に寄り添ってあげれなかったからだ。
秋良はこの源内家の両親のように自分の両親も雪兎を思っていたらもうちょっと変わったのではないかといつも思っている。
変な雰囲気になっているのに気づいて湊の母親は一つ手を叩いて話を変えた。
秋良はそれを受け入れ、元気よく室内に入っていった。
秋良が湊の部屋に入るとすでに玲一も一緒にいてパソコンにヘッドギアの準備をしていた。
「よう、きたな」
「うん、玲兄よろしく」
「おう。それにしてもお前らがこのゲームをするとはな」
「兄貴はオープンβの時からやっているんだよな」
「まぁな。雪のヤツ、やっぱり断ったんだな」
「うん、仕方ないよ……あ、兄さんからこれを玲兄に渡せって」
「お?なんだろうな」
秋良は雪兎から預かっていた紙を玲一に渡した。
玲一はそれを広げて中を見て苦笑した。
「相変わらず不器用なやつだなぁ」
「それなんなんだ?兄貴」
「すぐにわかる。それはそうと、秋のヘッドギアの準備はできたのか?」
「ああ」
すでに三つのヘッドギアの準備が出来ていた。
このヘッドギアはバイクのフルフェイスヘルメットの形で、音声を拾うと共に口の動きや息の感じからも予想変換できるようになっている。
頭の部分は脳波を感知してゲームの中で思った通りに動けるようになる。
ついでにゲームの中にいる時はなるべく安全性を考えて、ソファやベッドで行うことが推奨されている。
椅子に座ってやって何かのショックで倒れ込む危険性がある。
そういう事で三人ともソファにもたれかかっている。
「推奨されるだけの意味があることを覚えとけ。まぁ、俺がいないとゲームの中に入れないんだがな」
「分かったって」
「あともう一つ大事なことがある」
「なに?」
「お前たちが未成年って意味だ」
「え?」
「正式オープンの前にも未成年、18歳未満はいたんだが、いいカモにされた。それから保護者同伴の上に成人者より取り締まりが厳しい。もちろん、俺たち成人者の監督っていう意味でな、それでもお前たち未成年にも行動の責任はかかる。それだけは忘れるな」
「はーい」
「了解」
「それじゃあ、インするぞ。ギアを装着したら右横のボタンを押せ」
玲一の合図で三人ともボタンを押し、ゲームの世界に入っていった。
その道中、昨晩の話をした。
「結局、ダメだったのかぁ」
「うん」
「まぁ、雪兄はおじさんたちのこと嫌いだもんな。向こうから言われたらまず無理だろうな」
「うん、でも、父さんたちにもゲームをする許可もらわないとって思って」
「それが裏目に出たと」
「うん」
「まぁ、うちの兄貴なら一緒にやってくれるだろうよ。なにせ、オープンβの時からやってるんだし」
「そうだね、学校が終わったら着替えなどを持って泊まりに行くよ」
「そうだな、今日は金曜だし、明日学校ないもんな」
「うん!」
秋良は学校が終わると急いで家に帰り、泊まる準備をしていた。
そうしているとノックされ、振り向くと雪兎が扉の所に寄りかかっていて、秋良は驚いた。
「兄さん」
「どこか行くのか?」
「うん、湊の所に泊まろうと思って、玲兄に保護者を頼もうと思ってるんだ」
「そうか」
「うん」
秋良は珍しく自分の所に来てくれた雪兎に嬉しくなった。
基本的に秋良は雪兎と関われるだけで嬉しいのだ。
あまり一緒にいてくれなくてもそれが雪兎の不器用な『親愛』の証だと秋良は思っている。
そのため、そんなことを周りに言うとブラコンだと言われるが秋良は気にしていない、むしろ秋良自身もそうだと思っている。
「なんだ、玲やおばさんたちに迷惑かけるなよ」
「うん」
「あと、これを持っていけ」
「何、これ?」
「玲に渡せば分かる」
「分かった」
「じゃあな、あいつらにはお前から連絡しとけよ」
「うん、分かった。行ってきます」
「…………ああ」
雪兎は秋良に紙を渡した。
そこにはランダムな英数字が記されているだけで秋良にはよく分からなかったが、雪兎が玲一に渡せと言うので無くさないようにチャックポケットにしまった。
話が終わると雪兎は自室に戻った。
秋良は嬉しそうに荷物を用意し終わると仕事中の両親に湊の所に日曜の夕方まで泊まるとメールをした。
秋良は元気よく家を出て行った。
雪兎はそれを自室から見ていた。
「どうせ、こっちに連れて来るんだろう。玲」
雪兎はそう独り言を呟いて机に向かい、あるサイトを開いた。
***
源内家は笹原家の右隣の家だ。
両親同士が学生時代からの友人同士であるため子供達も仲がいい……と言うのもあるが雪兎を放置しまくっていた2人を見かねて、雪兎の面倒を見ていた。
そうは言っても食事を共にするぐらいだったので、雪兎は感謝はしているが『愛情』を知らない子どもだった。
そして、4人がそのことに気づいた時にはすでに取り返しのつかないところまで来ていた。
玲一だけが雪兎の安らぎになっている。
「お邪魔します」
「秋君、いらっしゃい……雪君は?」
「家にいます」
「そう、やっぱり雪君は許してくれそうにない?」
「うん」
「そう、仕方ないわよね、そうしたのは私たちなんだから」
「いや…」
「いいのよ、どうしようもないことですもの。せめてあなたたち兄弟だけでも仲良くなれたらって言うのは、虫のいい話よね」
「……うん」
「ああ、ごめんなさいね。玲も湊も上にいるわよ」
「はい」
「ゲームもいいけど、ちゃんと宿題やご飯も食べに降りて来るのよ」
「はーい」
「うん、いい返事!」
迎えてくれた湊の母親は寂しそうに雪兎の話をした。
源内家は雪兎に対して負い目がある、一緒にいながら雪兎の心に寄り添ってあげれなかったからだ。
秋良はこの源内家の両親のように自分の両親も雪兎を思っていたらもうちょっと変わったのではないかといつも思っている。
変な雰囲気になっているのに気づいて湊の母親は一つ手を叩いて話を変えた。
秋良はそれを受け入れ、元気よく室内に入っていった。
秋良が湊の部屋に入るとすでに玲一も一緒にいてパソコンにヘッドギアの準備をしていた。
「よう、きたな」
「うん、玲兄よろしく」
「おう。それにしてもお前らがこのゲームをするとはな」
「兄貴はオープンβの時からやっているんだよな」
「まぁな。雪のヤツ、やっぱり断ったんだな」
「うん、仕方ないよ……あ、兄さんからこれを玲兄に渡せって」
「お?なんだろうな」
秋良は雪兎から預かっていた紙を玲一に渡した。
玲一はそれを広げて中を見て苦笑した。
「相変わらず不器用なやつだなぁ」
「それなんなんだ?兄貴」
「すぐにわかる。それはそうと、秋のヘッドギアの準備はできたのか?」
「ああ」
すでに三つのヘッドギアの準備が出来ていた。
このヘッドギアはバイクのフルフェイスヘルメットの形で、音声を拾うと共に口の動きや息の感じからも予想変換できるようになっている。
頭の部分は脳波を感知してゲームの中で思った通りに動けるようになる。
ついでにゲームの中にいる時はなるべく安全性を考えて、ソファやベッドで行うことが推奨されている。
椅子に座ってやって何かのショックで倒れ込む危険性がある。
そういう事で三人ともソファにもたれかかっている。
「推奨されるだけの意味があることを覚えとけ。まぁ、俺がいないとゲームの中に入れないんだがな」
「分かったって」
「あともう一つ大事なことがある」
「なに?」
「お前たちが未成年って意味だ」
「え?」
「正式オープンの前にも未成年、18歳未満はいたんだが、いいカモにされた。それから保護者同伴の上に成人者より取り締まりが厳しい。もちろん、俺たち成人者の監督っていう意味でな、それでもお前たち未成年にも行動の責任はかかる。それだけは忘れるな」
「はーい」
「了解」
「それじゃあ、インするぞ。ギアを装着したら右横のボタンを押せ」
玲一の合図で三人ともボタンを押し、ゲームの世界に入っていった。
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