竜王の花嫁

桜月雪兎

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第一章

8、竜王

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 翌日、いつもより早く目覚めたアリシアは部屋の広間のソファに座って俯いていた。ユーザリアを出る前にルークに嫌なことも辛かったことも置いていく様に言われたのに出来ていなかったからだ。
 しばらくそうしているとルークが割り振られていた寝室より出てきた。
「おはようございます、アリシア嬢。今日は早いですね」
「おはようございます、宰相様……あ、あの」
「どうかしましたか?」
「ごめんなさい」
「何を謝っているのですか?」
 突然のアリシアの謝罪にルークは首を傾げた。
 アリシアが謝るようなことはこの道中見られていない。ありのままにはしゃいでいるアリシアに侍女や兵たち全員が微笑ましく思っている。
 それを『悪い』と判断することはルーク自身していない。だからこそアリシアの突然の謝罪に理解できなかった。
 アリシアはルークの顔色を見ながら謝罪の意味を説明しだした。
「宰相様は私に置いていく様に言いました。辛かったことも苦しかったことも寂しかったことも全部……置いていく様に言いました」
「……はい、言いましたね」
「ですが、私はできていませんでした。林を見ただけで怖くなり皆さんに迷惑をかけました」
「アリシア嬢」
「はい」
「それは少し違います」
「え?」
 ルークはアリシアが怖がらないように優しく話すように勤めながら説明した。
「確かに私は嫌なものを置いていく様に言いました。ですが『置いていけるものを』っと言った筈です」
「『置いていけるものを』ですか?」
「はい」
 アリシアはよく分からなかった。『置いていけるもの』とは自分が『置いていけれなかったもの』と違うものなのか、それがよく分からなかった。
 ルークはアリシアが分かるように砕いて説明した。
「あなたに置いていって欲しかったのは家族を『憎む心』や『認められなかった寂しさ』、『求めても与えられないという記憶』などです」
「……」
「あった出来事を忘れる事は現状出来ないでしょう。ですからそれに怯えることは仕方ないのです、それは消えないかもしれない『記憶』です」
「はい」
「ですが、家族から受けたものは別です。会うこともほとんどありません。なので置いていって欲しかったのです」
「はい」
 アリシアは話を聞いていたが、まだよく分からなかった。ルークは内心苦笑しながら話を続けた。本当に自分が伝えたかったことを伝えるために。
「この先のあなたには竜王との『家族』ができます」
「あっ」
「家族から受けた『記憶』は新しい家族に必要ありません。新しい家族との『記憶』を大事にして欲しいのです」
「宰相様」
「分かりましたか?」
「はい!ありがとうございます」
「いいのです。さぁ、もう出立の時間が来ますよ」
「はい!」
 アリシアはルークが本当に伝えたかったことを理解した。それは新しい家族に過去を重ねないようにして欲しいということだ。アリシアはその心遣いが嬉しかった。
 そして今回のことで自分が多くの人に助けられているのをより感じた。
 館にいた際は孤独だった自分がひとたび出るとこんなにも多くの人に支えられているというその事実がただただ嬉しかった。

 ***

 朝食をとり、一行は竜王城のある王都グランディアに向けて出発した。
「昨日は迷惑かけてすみません」
「いいですよ、誰しも苦手なものってありますからね。俺なんて猫、猫の亜人ウェアキャットなのにネズミ大っ嫌いですもん!見たくもないし、触りたくもない!」
「アルシード、お前のことはどうでもいい」
「ひどい!隊長!!」
「アリシア様、また何かりましたら言ってください」
「はい、ありがとうございます」
「お気になさらず。半日ほど馬車に揺られましたら王都グランディアにつきます。そのまま竜王城に向かい、竜王との対面となります」
「はい」
 アリシアは全員に昨日のことを謝罪するもルーク同様優しく気を使われ、その優しさにほっとした。
 ジャックスがこの後の大まかな予定をアリシアに伝えた。
 アリシアはこれから会う竜王が楽しみだった。どんな相手なのか、どんな姿をしているのか。
 ルークから竜王は竜の亜人ウェアドラゴンであると聞いているが容姿等は聞いていなかった。
 そして竜王城のあるグランディアがどのようなところなのか気になっていた。
「アリシア様?」
「副隊長さん、グランディアはどのような所なのですか?」
「グランディアは竜王城があるため王都とされていますよ。ドラグーンで生産されたほとんどの物が揃う場所でとても賑わっていますね。もう見えてきますがグリアと言う大樹のもとにできた城下町です」
「グリア?」
「大樹グリア、ドラグーン大国に数本しかない巨大樹です」
「数本しかない?」
「主要都市にしかありません。と云うよりグリアがあるから主要都市とされています。グリアはドラグーン大国の起源とされた樹木です」
「すごいですね!」
 アリシアは窓の外を見ていた。もう少ししたらその大樹が見えると言われたためだ。それを見たルークたちは苦笑していた。
 カーブを曲がり切り、直線の道に出ると遠くの方に大きな樹木と城に大きな城壁が見えた。
「あれが王都グランディアですか?!」 
「はい、ここからでも見える大きな樹木がグリアです」
「とても大きいのですね!ここからでもわかります」
「ええ、これが我々の住まう街です」
「すごい!すごいです!!」
 説明しているアルシードは少し誇らしかった。自分たちの国や町が褒められて嬉しくないはずがない。
 城壁の入り口につくと門が閉まっていた。ジャックスは通用口に向かい、門の開閉を命じた。
 しばらくして門が開くと多くの人が迎えてくれた。それぞれアリシアの嫁入りを歓迎していた。これにはジャックスたちも面食らっていた。どうやら予定にはなかったようだ。
「アリシア様、申し訳ありません。まさか大事になっているとは」
「いいのです!すごいですね、みなさん優しそうな人ばかりです」
「はは、ありがとうございます。それでは竜王城に向かいます。どうか窓は開けないようにお願いします」
「はい」
 ジャックスの言うように窓は閉めていたがカーテンは閉めていなかったので外の様子はよく見えていた。すべての人が優しく微笑んで、手を振っていた。アリシアはそれにしっかりと手を振って返した。
「アリシア嬢、あまり前に出ませんようにしてください」
「はい、わかっています」
「ならいいのですがね」
 アリシアは返事をしながらも窓の近くで手を振っていた。いつか窓を開けてしまうのではないかとルークは気が気ではなかった。それは同乗していたリリアも同じだった。心配そうにアリシアを見ている。
 大通りを通り、竜王城の門をくぐった。そこまで何事もなく終わり、全員がほっとしていた。
 正門の前に来ると兵士たちが整列しており、正門前には兵たちとは違い身を整えたふくよかな男がいた。その男の見た目は鷹の顔だちをしているが体のつくりは人のものと同じだった。
 男がいるのを見たジャックスたちは渋い顔をした。
「あいつがこれをやったのか?」
「アルシード、不用意なことを言うな」
「了解」
 ジャックスたちは馬から降りた。それを見計らったように男がやってきた。ジャックスは馬車の前に立ち、その後方に兵たちが守るように並んだ。
 突然のことに馬車の中のアリシアは驚いた。ついたらそのまま出て竜王のもとに行くと思っていたからだ。リリアは周りの不穏な感じからアリシアを守るように抱きしめた。ルークもいつでも対応できるように扉の前に待機した。
 ジャックスたちの行動に男は眉をひそめたが務めて威厳あるように話し始めた。
「ご苦労であった、第一近衛隊長」
「アルジャス候」
「花嫁様は儂の方でご案内する」
「それには及びません。竜王様より御前にお連れするように命ぜられています」
「それは儂が行うと言っておる!!」
 ジャックスが断りを入れるとアルジャスはいらだったように怒鳴った。ジャックスたちにしては予測のできる範囲内のため驚きもしなかったがアリシアは馬車の中で怖くなった。リリアはそんなアリシアの背を撫ぜて落ち着かせた。
「アルジャス候、あまり目に余る行いは控えた方がいいですよ。ご自分の立場をお考えなされ」
「軍人風情が何を言う!!儂は」
「何事です」
 城の方からもう一人の男が出てきた。今度は細身で頭からロップイヤーの耳があった。その表情はやや険しかった。その男の登場にアルジャスは苦虫を噛んだような顔をし、ジャックスたちは安堵した。
「ディスタ!」
「ディスタ候、花嫁様をお連れしました。城下で歓迎の催し物あったのですが、ご存じで?」
「ああ、はい。国民の歓迎ですね。そこのアルジャス殿をはじめとする数名が竜王に進言してきました。その行為自体はよいものなので推奨しましたが、何か不備でもありましたか?」
「いえ、話にはなかったことでしたので」
「ああ、事前連絡がいってなかったのですね。これは失礼しました……それと現状はどのようになっているのですか?竜王の御前に花嫁様をお連れするようになっているはずですが?」
 ジャックスはディスタの説明でこの騒ぎが竜王の承諾のもと行われているのを知り、安心した。
 アリシアが喜んでくれていたからいいものを人間とは違う種ばかりが集まっては怖くなっても仕方なかったからだ。
 そしてディスタは現状の把握に努めようとした。
 本来なら兵の出迎えからジャックスたちが先導して謁見の間に向かい、アリシアたちは竜王と対面するはずだった。それがいくら待っても来ないため様子を見に来れば城に招いてないアルジャスとジャックスたちが対峙しているのだ。
 何となく理解は察していても公平にさばく必要があると判断し、尋ねた。
「我々がつくとアルジャス候が門前におられました。我々の任は竜王の御前まで花嫁様をお連れすることであったはずなのですが、アルジャス候が自らが案内すると言いまして任の変更の話を聞いておりませんでしたため問答していた次第です」
「なるほど、わかりました。アルジャス殿、花嫁様をお連れするのはジャックス隊長の任、今なら不問にいたします故お引き取りいただきます」
「ぐぬぬぬぬっ」
「アルジャス殿」
「ふん!青二才が!!いずれその場所返してもらう!!」
 アルジャスは捨てセリフの残してその場を離れた。これ以上の問答は自身の不利になると理解したからだ。
 アルジャスの姿が見えなくなるのを確認してジャックスは馬車の扉を開いた。
「ルーク…殿、ご迷惑をおかけしました」
「いえ」
「アリシア様、ご無事でしょうか?」
「は、はい。大丈夫です」
「これより竜王のお待ちしています謁見の間に向かいます」
「はい」
 アリシアが馬車から降りるとディスタと目が合った。ディスタはお辞儀をした。
「あなた様が花嫁であるアリシア様ですね」
「はい」
「私はディスタ・レーデルと言います。レーデル家当主で文官ぶんかんの一人です」
「文官?」
「城勤めでして、国政を担う者の一人です。私は主に国民の登記録の管理や裁判等に関して担っています。アリシア様、これより先は私も同行させてもらいます」
「とても大事なお仕事ですね。よろしくお願いします」
 アリシアが頭を下げるとディスタは少し驚いた。
 偏見ではあるがユーザリアの貴族は上に行くほどドラグーン国民を卑下ひげする傾向が強い。相手は伯爵令嬢だと聞いておりもしかしたら高飛車な者が来るのではないかと心配していたのだ。それをいい意味で裏切られてディスタは安堵した。
 全員は竜王が待つ謁見の間に向かった。

 謁見の間につくとジャックスが扉を叩いた。
「竜王様、花嫁様をお連れいたしました」
「入れ」
「はい」
 ジャックスとディスタが左右に扉を開くと玉座に一人の青年が座っていた。その容姿は濡れ羽色の髪に竜の角が生えており、人間と同じところに耳があるがそれは長く先がとがっている。エルフのような耳をしている。
 全員が入り、玉座手前で膝をついた。アリシアもそれに習い、膝をつこうとすると竜王自身によって止められた。
「良い。そなたはわが花嫁、花嫁に膝をつかす気はない」
「は、はい」
「こちらへ」
 アリシアは竜王に呼ばれたが少し戸惑った。どうしていいかわからずルークの方を見ると進むように合図されたのでアリシアは竜王が望む場所まで向かった。
 それは竜王のすぐそばだった。竜王はアリシアの手を取り自己紹介をした。
「わが名はルドワード・ザイ・ドラグーン。ドラグーン大国第二十七代目竜王だ」
「アリシア・ウィザルドです」
「アリシア、そなたをわが花嫁として正式に迎え入れよう」
「はい、ありがとうございます」
 ルークたちユーザリア側は一安心した。これで正式な儀礼は終わった。
 だが、ドラグーン側は違った。現在いるのは近衛隊隊長であるジャックスと文官であり側近の一人であるディスタ、竜王友人であるルークだ。ここでルドワードが素を見せるんじゃないかと冷や冷やしている。
 もちろん、花嫁でありいずれは妃になる相手だ。素を見せるのが悪いことではないが外にはほかの近衛兵やユーザリア兵に侍女たちがいる。あまり知られていいことではない。一国の王の素など。
 だが、嫌なものほど当たるものでルドワードはため息をついて素に戻った。
「はぁ~、これでかたっ苦しい儀礼は終わりだ。悪いが素の方で話させてもらうよ」
「え?あ、はい」
「ありがとう」
「いえ」
「久しぶり、ルー」
「ああ、久しぶり。だが素に戻るのが早いのではないか?そういうのは部屋で二人っきりになってから見せるものだろ」
「かたっ苦しいのは嫌いだ」
「シルと同じことを言うな」
「はぁ~~」
「やはりな、こうなるのか」
「え?え?あ、あの~~」
 周りの反応にアリシアだけがついていけてなかった。それを見たルークは苦笑した。
「アリシア嬢。これが竜王、ルドの素なのです」
「素ですか?」
「ありのままのルドです。少々難ありなところもありますがいい人ですよ」
「ルー!その言い方はないんじゃないのか?」
「間違ってはない」
「確かに少々難ありますが悪い人ではないですよ」
「ああ、難はありますが人々に応えられる方です」
「難、難って!お、俺は悪くないぞ!!」
「は、はぁ」
 アリシアは呆気にとられていた。まさかルドワードが砕けているというより茶目っ気と言えばいいのかわからない話し方をしており、ルークや周りも諦めた様にルドワードを弄り出した。
 アリシアはその変わりようについていけなかったが落ち着いてくると受け入れられ、笑いだした。
「ふふ」
「こっちも?!」
「すみません、皆さんが楽しそうなのでつい……ふふ」
「あ~、もう、いいよ!!」
「お怒りにならないでください」
「怒ってはいない」
「でしたらすねないでください」
「っっ!」
 ルドワードはすねているのが見破られて言葉に詰まった。それを見たルークたちはこの後のアリシアの出方を待った。それにより今後の夫婦生活が決まってくる。
「私は嬉しいのです。ルドワード様が私を受け入れ、ありのままを見せてくださいました。私もこれからルドワード様にありのままの私を見せていきたいと思います……それにここにいらっしゃる皆様を信頼なさっていますから見せてくださったのでしょ?それが嬉しいのです」
「……ルドでいい。俺もシアと呼ぶから」
「はい、ルド様。不束者ですがどうぞよろしくお願いします」
「ああ……よろしく」
 アリシアとルドワードは和やかな雰囲気を醸し出していた。それはいいのだが周りの者にしたら甘すぎるようだった。ここにいる者が全員、独身なせいかもしれない。
 むしろ出会って数分、少し会話しただけでこのような雰囲気を出されたんではたまったものじゃない。全員が苦笑していた。
 そんなことに気づかないアリシアと気づいているが気にしないルドワードだった。
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