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第一章
38、披露宴前の嵐③
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「うう~ん」
「シア」
「ルド様?」
アリシアは目が覚めてすぐに見えたルドワードに寝惚け眼のまま微笑んだ。その表情にルドワードは不意打ちを食らい赤面した。
その光景にほとんどの面々が同じように赤面したり、微笑ましく見ている。その中で一人だけが面白くなさそうにしている、ラティアだ。
アリシアは周りを見渡してやっとラティアの存在に気付いた。
ラティアに気付いたアリシアは一瞬目を見開いてからルドワードに抱き着いた。その体は震えていた。
ルドワードはアリシアの反応に驚きながらも落ち着くように抱きしめ、その背中を撫ぜた。
アリシアはラティアを見ないようにしながら話しかけた。
「何故、あなたがここにいるのですか?ラティア」
「あんたに自分の立場を教えるためよ」
「私の立場?」
「そうじゃない、あんたは幸せになっちゃいけないの!リーナお姉さまが幸せになるべきなのに!なんであんたが幸せそうなのよ!」
ラティアの話は身勝手なものだ。
アリシアに限らず誰もが幸せになる権利を持っている。ただ、それを阻む者がいるだけだ。
アリシアはラティアというより自身の過去と向き合うのが怖いようで、ルドワードにしがみついている。
そんなアリシアの姿にルドワードたちはアリシアをこんな風に追い込んだ相手に苛立ちを覚えた。
それもそうだろうリンたち兄弟はアリシアに救われた、マリアは姉のように思っている、リリアたちはかわいくて仕方ないのだ。
そんな面々にとってアリシアを傷つける者は許されない。
そんな周りを代表してジャックスが言った。
「身勝手だな」
「なんですって?!」
「身勝手だと言っているのだ。お前たちがアリシア様をそんな風に仕立てただけで、アリシア様にだって幸せになる権利がある」
「ああ、お前なんかよりずっと相手のことを思えるアリシア様の方が幸せになるべきだ!」
「あんたたちには関係ないでしょ!!」
「関係なくないわよ!」
ラティアの言葉にマリアが大声を出した。我慢できなかったのだ。マリアは感情が高まりすぎて涙目になっている。
アルシードがマリアを抱き締めてラティアを睨んだ。ラティアはその目に怯んだ。
リンもマリアを慰めるように頭を撫でた。
「私たちはアリシア様に仕える身、そしてアリシア様の新しい家族となられる方々、その人たちが集まっているのにどうして関係ないって言えるの?あなたが言っているのはただの身勝手な思い込みと考えよ」
「っっっっ!!」
リリアの言葉にラティアはなにも言えなかった。それもそうだろうラティアは周りがそう言っていたからそう思っているだけで自分の意思が欠落しているのだ。
そうしているとまた魔方陣が輝き、二人の人物が現れた。それはフォレンドとリーナだ。
アリシアは自分の背中から魔方陣が展開したことに驚き、現れたのが父親と妹であることに恐怖した。
そんなアリシアを守るようにルドワードは抱き締める腕の力を強めた、アリシアに配慮しながら。
「ラティア!」
「お姉さま!おじ様!」
フォレンドは捕らえられているラティアを見て駆け寄った。
術をかけているミナを睨んだがミナは解放する気はないのでそっぽを向いた。
フォレンドはとりあえずラティアの無事を確認しようとリーナに促した。
リーナは心得たようにラティアに近づき、無事を確認した。
「ラティア、急に探索を使うから驚いたぞ」
「だって、あいつがリーナお姉さまを差し置いて幸せになるなんて」
「フォレンド・ウィザルド伯爵」
「シ、シリウス陛下!ルーク宰相!」
フォレンドはこの場にアリシアがいることは分かっていたがまさかシリウスやルークまでいるとは思わず、慌てて膝をついた。
リーナもフォレンドに倣って膝をついた。
「何故このようなことを?アリシア嬢がドラグーン大国に嫁ぐことは分かっているはずですよ。このようなことをしてどうなるかわかっていますよね?」
「は、はい」
「アリシア嬢が嫁ぐのは盟約の証、それを潰すということがどういうことかわかりますね」
「も、もちろんです」
「なら、彼女のやったことがどういう意味かも分かりますね」
「は、はい」
「何よ!」
「ラ、ラティア!静かに」
リーナは慌てた。このまま言葉を続ければラティアが不敬罪にとらわれかねないからだ。
リーナに怒られたことでラティアは口を閉ざした。
それを見たルークは話を続けた。
「彼女自身は分かっていないようですね。いいですか、あなたが子どもであろうともあなたがしようとした行為は極刑に値するものですよ」
「え?」
「当たり前ですよ。アリシア嬢はシリウス陛下が自ら選び国の代表としてドラグーンに嫁ぐのですから」
「アリシア嬢に手をかけるということは俺を、ひいては自国を敵に回すということだ」
「あれだけ国を挙げて送り出したのですから当然です」
「それにすでにドラグーンに受け入れられている。ドラグーンも敵に回すことになる」
「っっっ!!」
「も、申し訳ありません!必ず言い聞かせますので!」
フォレンドは床に頭が付きそうになるほど下げた。アリシアはその姿を見て胸が苦しくなった。とっくに父親たちに対して無くしたと思った心が痛むようだ。
それを見たスカルディアは苦しくなった。
自分以上に傷つきながらも他者に優しく出来るそんなアリシアが苦しむ姿を見たくないのだ。
それはルドワードも同じでフォレンドたちに怒りが込み上げてきた。
「シア」
「ルド様?」
アリシアは目が覚めてすぐに見えたルドワードに寝惚け眼のまま微笑んだ。その表情にルドワードは不意打ちを食らい赤面した。
その光景にほとんどの面々が同じように赤面したり、微笑ましく見ている。その中で一人だけが面白くなさそうにしている、ラティアだ。
アリシアは周りを見渡してやっとラティアの存在に気付いた。
ラティアに気付いたアリシアは一瞬目を見開いてからルドワードに抱き着いた。その体は震えていた。
ルドワードはアリシアの反応に驚きながらも落ち着くように抱きしめ、その背中を撫ぜた。
アリシアはラティアを見ないようにしながら話しかけた。
「何故、あなたがここにいるのですか?ラティア」
「あんたに自分の立場を教えるためよ」
「私の立場?」
「そうじゃない、あんたは幸せになっちゃいけないの!リーナお姉さまが幸せになるべきなのに!なんであんたが幸せそうなのよ!」
ラティアの話は身勝手なものだ。
アリシアに限らず誰もが幸せになる権利を持っている。ただ、それを阻む者がいるだけだ。
アリシアはラティアというより自身の過去と向き合うのが怖いようで、ルドワードにしがみついている。
そんなアリシアの姿にルドワードたちはアリシアをこんな風に追い込んだ相手に苛立ちを覚えた。
それもそうだろうリンたち兄弟はアリシアに救われた、マリアは姉のように思っている、リリアたちはかわいくて仕方ないのだ。
そんな面々にとってアリシアを傷つける者は許されない。
そんな周りを代表してジャックスが言った。
「身勝手だな」
「なんですって?!」
「身勝手だと言っているのだ。お前たちがアリシア様をそんな風に仕立てただけで、アリシア様にだって幸せになる権利がある」
「ああ、お前なんかよりずっと相手のことを思えるアリシア様の方が幸せになるべきだ!」
「あんたたちには関係ないでしょ!!」
「関係なくないわよ!」
ラティアの言葉にマリアが大声を出した。我慢できなかったのだ。マリアは感情が高まりすぎて涙目になっている。
アルシードがマリアを抱き締めてラティアを睨んだ。ラティアはその目に怯んだ。
リンもマリアを慰めるように頭を撫でた。
「私たちはアリシア様に仕える身、そしてアリシア様の新しい家族となられる方々、その人たちが集まっているのにどうして関係ないって言えるの?あなたが言っているのはただの身勝手な思い込みと考えよ」
「っっっっ!!」
リリアの言葉にラティアはなにも言えなかった。それもそうだろうラティアは周りがそう言っていたからそう思っているだけで自分の意思が欠落しているのだ。
そうしているとまた魔方陣が輝き、二人の人物が現れた。それはフォレンドとリーナだ。
アリシアは自分の背中から魔方陣が展開したことに驚き、現れたのが父親と妹であることに恐怖した。
そんなアリシアを守るようにルドワードは抱き締める腕の力を強めた、アリシアに配慮しながら。
「ラティア!」
「お姉さま!おじ様!」
フォレンドは捕らえられているラティアを見て駆け寄った。
術をかけているミナを睨んだがミナは解放する気はないのでそっぽを向いた。
フォレンドはとりあえずラティアの無事を確認しようとリーナに促した。
リーナは心得たようにラティアに近づき、無事を確認した。
「ラティア、急に探索を使うから驚いたぞ」
「だって、あいつがリーナお姉さまを差し置いて幸せになるなんて」
「フォレンド・ウィザルド伯爵」
「シ、シリウス陛下!ルーク宰相!」
フォレンドはこの場にアリシアがいることは分かっていたがまさかシリウスやルークまでいるとは思わず、慌てて膝をついた。
リーナもフォレンドに倣って膝をついた。
「何故このようなことを?アリシア嬢がドラグーン大国に嫁ぐことは分かっているはずですよ。このようなことをしてどうなるかわかっていますよね?」
「は、はい」
「アリシア嬢が嫁ぐのは盟約の証、それを潰すということがどういうことかわかりますね」
「も、もちろんです」
「なら、彼女のやったことがどういう意味かも分かりますね」
「は、はい」
「何よ!」
「ラ、ラティア!静かに」
リーナは慌てた。このまま言葉を続ければラティアが不敬罪にとらわれかねないからだ。
リーナに怒られたことでラティアは口を閉ざした。
それを見たルークは話を続けた。
「彼女自身は分かっていないようですね。いいですか、あなたが子どもであろうともあなたがしようとした行為は極刑に値するものですよ」
「え?」
「当たり前ですよ。アリシア嬢はシリウス陛下が自ら選び国の代表としてドラグーンに嫁ぐのですから」
「アリシア嬢に手をかけるということは俺を、ひいては自国を敵に回すということだ」
「あれだけ国を挙げて送り出したのですから当然です」
「それにすでにドラグーンに受け入れられている。ドラグーンも敵に回すことになる」
「っっっ!!」
「も、申し訳ありません!必ず言い聞かせますので!」
フォレンドは床に頭が付きそうになるほど下げた。アリシアはその姿を見て胸が苦しくなった。とっくに父親たちに対して無くしたと思った心が痛むようだ。
それを見たスカルディアは苦しくなった。
自分以上に傷つきながらも他者に優しく出来るそんなアリシアが苦しむ姿を見たくないのだ。
それはルドワードも同じでフォレンドたちに怒りが込み上げてきた。
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