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第一章
47、披露宴パーティー⑥
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何曲か踊り、ほとんどの人が交流を深める事が出来たところで舞踏の方は終わった。
その踊りの間にドラグーンとユーザリアのペアも数組見られるようになった。互いに嫌々でも渋々でもなく、お互いが納得した上でパートナーになったようだ。
それを見たシリウスは少し微笑ましく思った。
これが今回だけではなく、今後も続いて行けばいいと思ったのだ。ルークも隣で見ていて同じように思った。
二人にしてみればここは友人の国、友人の国と自分の国が仲良くなるのだ嬉しくないはずがない。
そうしていると踊りが終わり、ルドワードとアリシアが戻ってきた。
その後ろにアルシードとリンも続いている。
玉座の全員が苦笑していた。
それもそう、リンはアリシアに手を引かれてきたのだ。
「リン?」
「シア姉がリリアたちの所に戻ろうとしたリンの手を掴んで連れてきたようだ」
「はは、アリシア嬢は仕方ないなぁ」
「まぁ、侍女が一人もいないよりはいいですが」
ジャックスが首を傾げるとスカルディアが苦笑しながら説明した。それを聞いた面々も苦笑することになった。
アリシアとしてはせっかく一緒に踊ったのだからもっとアルシードと一緒にいさせてあげようという気持ちだろうが周りから見ると主に手を引かれる侍女とはどう映るか、実際に参加者の目はリンに集中している。リンは恥ずかしそうに頬を染めており、アリシアに手を放してもらえるように進言している。
「ア、アリシア様~」
「リンぐらい居たっていいじゃないですか」
「シアよ、そういう事ではないと思うぞ」
「はい、アリシア様。人の目がありますので」
「はい?なんですか?」
アリシアは本当に分かっていなようで首を傾げている。そのしぐさがルドワードには可愛く映ったようで顔が崩れている。アルシードはいつものことながらそれを小声で注意した。今回は周りの目があるのだ、ルドワードにも気をつけてもらいたい、今更かもしれないが。
「竜王様、顔が崩れていますよ」
「ああ」
「分かりますが、注意してください」
「ああ、気を付けよう」
二人がそんなことをしている間にアリシアはリンの手を放していた。リンが放しても傍にいると分かったからだ。
リンの顔はいまだに赤い。
下の方で作業をしているはずのリリアたちにも見られていたらしく、苦笑されていた。リンは自分だけが恥ずかしい思いをしたのに少し不満気だが、アルシードやアリシアの傍にいれ、それをしたのが他でもないアリシアであるのですぐに諦めた。
あとでリリアたちには文句を言うつもりのようだが。
「ふふ、リンも来たことでこの後は何でしょうか?」
「もう、あと少しだな」
「そうなんですか?」
「ああ、夜も更けてきた。そろそろ終わりの時だ」
「そうなんですね、なんだか寂しいです」
アリシアは本当に寂しそうな顔をした。
アリシアにとってパーティーとはこれで二回目なのだ。それは『花嫁』を選ぶシリウス主催の強制参加の夜会で今回はアリシア自身とルドワードが主役の披露宴だ。
アリシアにとって最初のパーティーは父親の面目の為に連れて行かれただけの為楽しいものではなかった。
それでもシリウスと話したことだけは楽しかった。自分の考えを普通に聞いてもらえたからだ、そんな経験すらなかったので。
今回は何もしがらみなく主役として参加している、楽しくないはずがない。
「まぁ、そう言わなくても。明日はゆっくりと出来ますし」
「そうなんですか?」
「ああ、結婚式、披露宴とやってすぐに執務では俺を嫌だ」
ルドワードは本当に嫌そうな顔をした。
楽しんだ後に執務があるのが嫌なのではなく、新婚早々仕事に追われてアリシアと過ごす時間が無くなるのが嫌なのだ。
それをちゃんと把握しているのは面々は呆れ顔だが分かっていないアリシアだけは不思議そうな顔をしている。
それに今まで一緒にいれなかったのだ、ディスタたちはルドワードの為というよりアリシアの為にルドワードの執務を休みにしたのだ。
「せっかくの新婚なんだし、ゆっくりすればいい」
「来賓たちも帰り支度など色々しなくてはいけないしな」
「ユーザリアの面々も今後を考えて明日は視察を兼ねた観光をするだろうし」
「そうなんですね、なんだか終わっても大変なんですね」
アリシアが心配そうにしているのをシリウスたちは苦笑した。
シリウスたちはすぐにでも帰れるがなかなか来れない友人の国に来たのだ、これを機にもう少し交流をするつもりだし、そのために休みもとっている。仕事も前倒しできたのだ。
実際に大変なのは貴族たちなのだ。彼らは休める時間が決まっている、それを最大限に使うしか会ないから忙しいのだ。
「周りはな」
「シア姉たちはゆっくりすればいい。執務自体が休みになるんだからな」
「ルド様がお休みなのは嬉しいです」
「俺もシアと一緒に過ごせるのは嬉しい」
アリシアが嬉しそうにルドワードに微笑みかけるとルドワードもアリシアに微笑み返した。
そんな二人を見て思うことは「勝手にやってろ」っていう感じだろう。だがそれを表に出せるはずもなく、結局苦笑して終わるのだ。
そんな光景にスカルディアは小さくこぼした。
「しばらくはあてられてばかりだな」
「仕方ない、新婚なんだ」
「そうだな」
全員が諦めたように苦笑した。実際今もあてられているのだ。仕方ないだろう。
さぁ、宴もたけなわだがお開きになる時が近づいてきた。
その踊りの間にドラグーンとユーザリアのペアも数組見られるようになった。互いに嫌々でも渋々でもなく、お互いが納得した上でパートナーになったようだ。
それを見たシリウスは少し微笑ましく思った。
これが今回だけではなく、今後も続いて行けばいいと思ったのだ。ルークも隣で見ていて同じように思った。
二人にしてみればここは友人の国、友人の国と自分の国が仲良くなるのだ嬉しくないはずがない。
そうしていると踊りが終わり、ルドワードとアリシアが戻ってきた。
その後ろにアルシードとリンも続いている。
玉座の全員が苦笑していた。
それもそう、リンはアリシアに手を引かれてきたのだ。
「リン?」
「シア姉がリリアたちの所に戻ろうとしたリンの手を掴んで連れてきたようだ」
「はは、アリシア嬢は仕方ないなぁ」
「まぁ、侍女が一人もいないよりはいいですが」
ジャックスが首を傾げるとスカルディアが苦笑しながら説明した。それを聞いた面々も苦笑することになった。
アリシアとしてはせっかく一緒に踊ったのだからもっとアルシードと一緒にいさせてあげようという気持ちだろうが周りから見ると主に手を引かれる侍女とはどう映るか、実際に参加者の目はリンに集中している。リンは恥ずかしそうに頬を染めており、アリシアに手を放してもらえるように進言している。
「ア、アリシア様~」
「リンぐらい居たっていいじゃないですか」
「シアよ、そういう事ではないと思うぞ」
「はい、アリシア様。人の目がありますので」
「はい?なんですか?」
アリシアは本当に分かっていなようで首を傾げている。そのしぐさがルドワードには可愛く映ったようで顔が崩れている。アルシードはいつものことながらそれを小声で注意した。今回は周りの目があるのだ、ルドワードにも気をつけてもらいたい、今更かもしれないが。
「竜王様、顔が崩れていますよ」
「ああ」
「分かりますが、注意してください」
「ああ、気を付けよう」
二人がそんなことをしている間にアリシアはリンの手を放していた。リンが放しても傍にいると分かったからだ。
リンの顔はいまだに赤い。
下の方で作業をしているはずのリリアたちにも見られていたらしく、苦笑されていた。リンは自分だけが恥ずかしい思いをしたのに少し不満気だが、アルシードやアリシアの傍にいれ、それをしたのが他でもないアリシアであるのですぐに諦めた。
あとでリリアたちには文句を言うつもりのようだが。
「ふふ、リンも来たことでこの後は何でしょうか?」
「もう、あと少しだな」
「そうなんですか?」
「ああ、夜も更けてきた。そろそろ終わりの時だ」
「そうなんですね、なんだか寂しいです」
アリシアは本当に寂しそうな顔をした。
アリシアにとってパーティーとはこれで二回目なのだ。それは『花嫁』を選ぶシリウス主催の強制参加の夜会で今回はアリシア自身とルドワードが主役の披露宴だ。
アリシアにとって最初のパーティーは父親の面目の為に連れて行かれただけの為楽しいものではなかった。
それでもシリウスと話したことだけは楽しかった。自分の考えを普通に聞いてもらえたからだ、そんな経験すらなかったので。
今回は何もしがらみなく主役として参加している、楽しくないはずがない。
「まぁ、そう言わなくても。明日はゆっくりと出来ますし」
「そうなんですか?」
「ああ、結婚式、披露宴とやってすぐに執務では俺を嫌だ」
ルドワードは本当に嫌そうな顔をした。
楽しんだ後に執務があるのが嫌なのではなく、新婚早々仕事に追われてアリシアと過ごす時間が無くなるのが嫌なのだ。
それをちゃんと把握しているのは面々は呆れ顔だが分かっていないアリシアだけは不思議そうな顔をしている。
それに今まで一緒にいれなかったのだ、ディスタたちはルドワードの為というよりアリシアの為にルドワードの執務を休みにしたのだ。
「せっかくの新婚なんだし、ゆっくりすればいい」
「来賓たちも帰り支度など色々しなくてはいけないしな」
「ユーザリアの面々も今後を考えて明日は視察を兼ねた観光をするだろうし」
「そうなんですね、なんだか終わっても大変なんですね」
アリシアが心配そうにしているのをシリウスたちは苦笑した。
シリウスたちはすぐにでも帰れるがなかなか来れない友人の国に来たのだ、これを機にもう少し交流をするつもりだし、そのために休みもとっている。仕事も前倒しできたのだ。
実際に大変なのは貴族たちなのだ。彼らは休める時間が決まっている、それを最大限に使うしか会ないから忙しいのだ。
「周りはな」
「シア姉たちはゆっくりすればいい。執務自体が休みになるんだからな」
「ルド様がお休みなのは嬉しいです」
「俺もシアと一緒に過ごせるのは嬉しい」
アリシアが嬉しそうにルドワードに微笑みかけるとルドワードもアリシアに微笑み返した。
そんな二人を見て思うことは「勝手にやってろ」っていう感じだろう。だがそれを表に出せるはずもなく、結局苦笑して終わるのだ。
そんな光景にスカルディアは小さくこぼした。
「しばらくはあてられてばかりだな」
「仕方ない、新婚なんだ」
「そうだな」
全員が諦めたように苦笑した。実際今もあてられているのだ。仕方ないだろう。
さぁ、宴もたけなわだがお開きになる時が近づいてきた。
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