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第七章 友人、とは?

師弟関係

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 ノエルとの通信が終わり、一息ついてるとアイリスが声をかけてきた。

「どうでした? イアン様は」
「……え」
「ご友人でしたでしょ?」
「ご友人……、あっ!?」

 いや、忘れてないんだよ!!

 ちゃんと、聞いたんだよ!!?

 言い訳になるだろうけど、私とイアン様は師弟関係だからさ。

 その後、違う話になっちゃっただけだもん!!

「師弟関係なんだって!! だから友人とは違うかな」
「……なるほど、イアン様らしい」

 クスリとアイリスは笑った。

 何かを納得したようだ。

 友人とは、共感や信頼の情を抱き合って互いを肯定し合う人間関係のことだと思っている。

 そんな関係の人はいないのに、アイリスはなぜイアン様を推薦したのかわからない。

「アイリスは私にどうしてほしいの?」

 ふと、そんな言葉が出てしまった。

 アイリスは困った顔をして口を開いた。

「……、私は侍女ですよ。ソフィア様の幸せを願っていますし」
「そうじゃないんだよね。……侍女じゃなくて、貴方自身はどう思ってるの?」
「私自身」
「今は上下関係は無しね」
「そう、ですね。お慕いしておりますよ。前も今も」
「いや、そういうことじゃないんだけど……前も?」
「もうそろそろ寝なくて宜しいんですか? 夜更かしはお肌に良くありませんよ」

 アイリスの意味深な言葉に首を傾げた。

 私は前世の記憶を持ってるからそう聞こえただけかもしれない。
 アイリスの『前も』というのは、私が養女として迎えられた時のことだろう。

 危うくとんでもないことを口走りそうになってしまった。

 向き合うと決めたけど、前世の記憶があるというのは言うわけにはいけない。
 この世界がゲーム上の世界作られた世界なのだと言えるわけがないし、信じられることはないだろう。

 我ながら矛盾してる。

「……良い夢を見られることを祈ります」

 アイリスが部屋を出ていく前に深々とお辞儀をして言い、部屋を出ていった。

 私は、ベッドに横になるとゆっくりと目を閉じた。
 寝るのが怖いけど、眠気には敵わない。

 ーーその夜も、やはり夢を見た。

 床に魔法陣が描かれ、周りには本棚。
 そして、血塗れになって倒れている人がいた。

 たまたま目に入った鏡に自分の姿が映し出されていて息を呑んだ。

 自分の姿は四歳ぐらいの幼女だったけど、血塗れ。
 これは自分の血ではなく、きっと倒れている人のだろう。

 その光景はぼやけていて、見たことあるような場所だけど、確信がない。

 倒れている人も見たことあるような……。

 ーー……そこで私は目を覚ました。
 それも涙を流しながら。

 いつも見る悪夢じゃなかった。あれはなんだったんだろう。

 夢の内容を必死に思い返そうとしたら突然頭痛がした。

「~~っ!?」

 痛い!!!

 なに、これ!?

 頭が割れる!!

 以前にも似たようなことがあった気がするけど、思い出せない。

 頭が割れるほどの激痛に助けを呼びたいのに言葉が出てこない。
 軽めの発作にもなり、意識が朦朧としてくる。

 ーー……私は気を失った。

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