142 / 173
第十四章 悪役令嬢
結果的に呪いを解いたのは良いけど、自身のドジっぷりには呆れます
しおりを挟む
静電気が身体中を駆け巡ったかと思ったら、私の腕に巻きついていた蜘蛛の巣のような透き通るガラスが割れた。
強く締め付けられていたため、痣となってしまった腕を擦る。
割れたガラスは黒い炎に包まれて消えていったーー……。
「黒い……炎?」
はっ!!? そ、そんなことよりもガラスを割っちゃった!!?
悪役令嬢の心だよね。えっ、大丈夫なのこれ、消えたから接着剤で付けること出来ないよ!!!?
そもそも、接着剤がこの世界に存在しないんだけども。
どうしよう……。
パニックになっていると眠っている女の子。幼い悪役令嬢が涙を流した。
それを見た私は、余計にパニックを起こす。
慌てて起こそうとしたのだが、慌てすぎて周りのガラスに触れ、次々と割っていく。
いやぁぁぁぁぁ!!!!?
と、内心叫んでいる。
やばいやばい!!
というかなんでこんなに壊れやすいの!!? ガラスのハート過ぎません!?
お願いだからこれ以上割れないでぇ~~。
と、願いを込めるがこんな時に限って私は空気が読めないドジっぷりを発揮してしまった。
何も無いところで後ろに転び、尻餅をついたのと同時に動揺しすぎて魔法を発動してしまった。
それは、桜空属性での魔法だった。
「……あ」
まずい!! と、思ったが既に遅かった。
桜のような花弁が舞って、花弁が触れたガラスが燃えたり、切れたり、溶けたりしている。
この属性の本質はよくわかってないのだが、使・い・方・を・一・歩・で・も・間・違・え・る・と・命・に・関・わ・る・ので、極力使わないように気を付けていた。
それなのに、私の不注意で魔法を発動していまい、細長いガラスが全部割れてしまったのだ。
幸いなことに眠っている悪役令嬢には怪我はなかったから良かったものの……。
ーー危うくドジだけじゃ済まなかった。
このガラスが悪役令嬢の心そのものだったとするならば、私はとんでもないフラグを回収してしまったんじゃ。
少し前の時間に戻したい。と強く祈っても時間を巻き戻し出来ないから、後悔で気持ちがいっぱいになる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
とんでもないことをやってしまった自分の行動を呪いつつも、私は地面に膝と手をついて何度も謝罪した。
「……変な人。悪魔の呪いを解いといて、謝るだなんて」
「???」
顔を上げると悪役令嬢は起きており、私の前に来ていた。
「呪いを解いた?」
「蜘蛛の巣みたいなガラスが呪いだったんですわ」
キョトンとしていると呆れた声で言われてしまった。
姿は幼いながらも、自信に満ち溢れていてゲーム上での悪役令嬢そのものだった。
悪役令嬢は苦笑した。
「…………礼を言わなくてもないですわ。あなたの声、暗い暗い闇の底でもずっと聞こえておりました。私とは向き合えるのに自・分・自・身・とは向き合ってないのは不思議ですわね」
「向き合ってない……とは」
「分からないんですの? それとも分かりたくないだけなんですの?」
「わ、分からない……ですし、自分自身から逃げてるつもりはなかったので」
さっきまでの敵意剥き出しだった悪役令嬢とは違い、落ち着きがあり物腰も柔らかだ。
「そう……、それなら良いですわ。そのうちぶつかるかもしれないので」
何を言いたいのか分からないけど、きっと私にとって大きな問題の一つなのかも知れない。
「ずっと暗い闇の底であなたを見ていましたわ。殿下のあんな優しい笑顔を私にも向けてほしかった……でもそれは叶わないですわね」
悪役令嬢はどこか遠くを見つめて、とても悲しそうにした。
「そんなこと無い。アレン様はちゃんと考えがあって冷たい言葉や視線を送ったんじゃないのかな」
「……知っていますわ。頂いた好機を見逃したのは私。自分の未熟さゆえの結末ーー後悔しても仕方ないですわ」
寂しそうな瞳で私を見る悪役令嬢。
後悔と自分自身に失望しているような口ぶりで一瞬だけ自分と重なった。
今、私が転生した理由がなんとなくわかった気がする。
強く締め付けられていたため、痣となってしまった腕を擦る。
割れたガラスは黒い炎に包まれて消えていったーー……。
「黒い……炎?」
はっ!!? そ、そんなことよりもガラスを割っちゃった!!?
悪役令嬢の心だよね。えっ、大丈夫なのこれ、消えたから接着剤で付けること出来ないよ!!!?
そもそも、接着剤がこの世界に存在しないんだけども。
どうしよう……。
パニックになっていると眠っている女の子。幼い悪役令嬢が涙を流した。
それを見た私は、余計にパニックを起こす。
慌てて起こそうとしたのだが、慌てすぎて周りのガラスに触れ、次々と割っていく。
いやぁぁぁぁぁ!!!!?
と、内心叫んでいる。
やばいやばい!!
というかなんでこんなに壊れやすいの!!? ガラスのハート過ぎません!?
お願いだからこれ以上割れないでぇ~~。
と、願いを込めるがこんな時に限って私は空気が読めないドジっぷりを発揮してしまった。
何も無いところで後ろに転び、尻餅をついたのと同時に動揺しすぎて魔法を発動してしまった。
それは、桜空属性での魔法だった。
「……あ」
まずい!! と、思ったが既に遅かった。
桜のような花弁が舞って、花弁が触れたガラスが燃えたり、切れたり、溶けたりしている。
この属性の本質はよくわかってないのだが、使・い・方・を・一・歩・で・も・間・違・え・る・と・命・に・関・わ・る・ので、極力使わないように気を付けていた。
それなのに、私の不注意で魔法を発動していまい、細長いガラスが全部割れてしまったのだ。
幸いなことに眠っている悪役令嬢には怪我はなかったから良かったものの……。
ーー危うくドジだけじゃ済まなかった。
このガラスが悪役令嬢の心そのものだったとするならば、私はとんでもないフラグを回収してしまったんじゃ。
少し前の時間に戻したい。と強く祈っても時間を巻き戻し出来ないから、後悔で気持ちがいっぱいになる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
とんでもないことをやってしまった自分の行動を呪いつつも、私は地面に膝と手をついて何度も謝罪した。
「……変な人。悪魔の呪いを解いといて、謝るだなんて」
「???」
顔を上げると悪役令嬢は起きており、私の前に来ていた。
「呪いを解いた?」
「蜘蛛の巣みたいなガラスが呪いだったんですわ」
キョトンとしていると呆れた声で言われてしまった。
姿は幼いながらも、自信に満ち溢れていてゲーム上での悪役令嬢そのものだった。
悪役令嬢は苦笑した。
「…………礼を言わなくてもないですわ。あなたの声、暗い暗い闇の底でもずっと聞こえておりました。私とは向き合えるのに自・分・自・身・とは向き合ってないのは不思議ですわね」
「向き合ってない……とは」
「分からないんですの? それとも分かりたくないだけなんですの?」
「わ、分からない……ですし、自分自身から逃げてるつもりはなかったので」
さっきまでの敵意剥き出しだった悪役令嬢とは違い、落ち着きがあり物腰も柔らかだ。
「そう……、それなら良いですわ。そのうちぶつかるかもしれないので」
何を言いたいのか分からないけど、きっと私にとって大きな問題の一つなのかも知れない。
「ずっと暗い闇の底であなたを見ていましたわ。殿下のあんな優しい笑顔を私にも向けてほしかった……でもそれは叶わないですわね」
悪役令嬢はどこか遠くを見つめて、とても悲しそうにした。
「そんなこと無い。アレン様はちゃんと考えがあって冷たい言葉や視線を送ったんじゃないのかな」
「……知っていますわ。頂いた好機を見逃したのは私。自分の未熟さゆえの結末ーー後悔しても仕方ないですわ」
寂しそうな瞳で私を見る悪役令嬢。
後悔と自分自身に失望しているような口ぶりで一瞬だけ自分と重なった。
今、私が転生した理由がなんとなくわかった気がする。
応援ありがとうございます!
13
お気に入りに追加
882
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる