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第十四章 悪役令嬢
ゲームで知っている悪役令嬢の性格とは別人すぎて戸惑ってしまう
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「……あなたはどうして、悪魔と契約をしてしまったの?」
何も考えずに思ってることをそのまま言ってしまった。
やってしまった!? そう思った私は自分の口を塞ぐと、クスッと緑色の瞳を細めて上品に笑った悪役令嬢。
なんだが穏やかすぎて、別人みたい。
ゲームでよく見ていた悪役令嬢とは雰囲気が違っていて戸惑ってしまう。
もっと説得に時間がかかるかと思ってたけど意外にあっさりしてるんだよね。
「……私の弱さが招いたことですわ。殿下に呪いをかけたのも私の弱さゆえ……。何回も断罪される夢を見て気付きましたの。私は、殿下を苦しめたい訳じゃない。でもこの呪いは私ではどうすることも出来なかった」
「だから、私を呼んだ……?」
「誰でも良かった訳では無いんですわ。波長が合わなければならなかった。それがあなたですわ。魔法石をお出しになって?」
私は悪役令嬢に近付いて膝を地面につけると、魔法石を取り出した。
悪役令嬢は魔法石を私の手の平ごと包み込むように優しく握る。
「私はここでは生きられない。元々呪いで生かされた命です。……呪いが消えた今、私は時期に魂が消滅しますわ」
「ア、アレン様に何も言わないんですか?」
「何を?? あの方は私を恨んでるはず。火に油を注ぎたくないんですの」
「で、でも、この身体はあなたので……」
「それは違いますわ。確かに私はあなたであり、あなたは私でもある。ですが、今、ソフィア・デメトリアスとして生きているのは紛れもなくあなたですわ。私は過去の存在でしかないんです」
「本当にいいの?」
「おかしなことを聞きますのね。殿下の幸せを願っています……と、言葉にするのは恥ずかしいものですね」
クスクスっと笑った悪役令嬢は普段言い慣れしていないせいか、頬を赤く染めて恥じらった。
悪役令嬢もアレン様と同じように何回も悪夢を見ていたのだろう。
悪夢を見続けた結果、自分の中での価値観が少しずつ変わっていったのかもしれない。
「最後に聞かせてくださらない? 呪いを解いたあの花弁はなんという名前なんですの」
「桜空属性と言いまして……」
「違いますわ。そうじゃなくて……」
「あっ、桜です。とても綺麗な花で私は好きです。夜になると儚さがあって、美しくも健気さを感じられて私は好きな花です」
「そう、さくらと言いますの」
魔法石が急に光出した。
「そのさくら、見てみたいものですわね」
桜はこの世界には存在しない花。
光が眩しくて細めで悪役令嬢を見ると、顔はハッキリと見えなかったけど口元が笑っているような気がした。
私は口を開きかけると、勢いよく肩を掴まれた。
「やっと見つけたぞ」
「シーアさん」
人の姿をしているシーアさんは、焦ったような表情と若干汗をかいていた。
「早く出るのじゃ。これ以上の長居は危険じゃ」
「で、でも……」
私は悪役令嬢を見る。悪役令嬢は悲しそうな表情をしてたけど「私なら大丈夫」とでも言っているように伝わってきた。
目を開けられないぐらいに光が増していき、次に目を開けると……空中庭園内のガゼボに設置してある長椅子に寝そべっていた。
目を開けた瞬間、ツーっと目から雫が流れ、地面にシミを作った。
「大丈夫ですか? どこか痛みはありますか?」
上半身を起こすと、ノア先生が心配そうに聞いてきた。
そっか、戻ってきたんだ。
少しだけ心が軽くなっている気がした。
まだ悪役令嬢が触れていた感触が手に残っている。
手を見ると、握りしめていた魔法石は割れていて、もう使えない状態になっていた。
何も考えずに思ってることをそのまま言ってしまった。
やってしまった!? そう思った私は自分の口を塞ぐと、クスッと緑色の瞳を細めて上品に笑った悪役令嬢。
なんだが穏やかすぎて、別人みたい。
ゲームでよく見ていた悪役令嬢とは雰囲気が違っていて戸惑ってしまう。
もっと説得に時間がかかるかと思ってたけど意外にあっさりしてるんだよね。
「……私の弱さが招いたことですわ。殿下に呪いをかけたのも私の弱さゆえ……。何回も断罪される夢を見て気付きましたの。私は、殿下を苦しめたい訳じゃない。でもこの呪いは私ではどうすることも出来なかった」
「だから、私を呼んだ……?」
「誰でも良かった訳では無いんですわ。波長が合わなければならなかった。それがあなたですわ。魔法石をお出しになって?」
私は悪役令嬢に近付いて膝を地面につけると、魔法石を取り出した。
悪役令嬢は魔法石を私の手の平ごと包み込むように優しく握る。
「私はここでは生きられない。元々呪いで生かされた命です。……呪いが消えた今、私は時期に魂が消滅しますわ」
「ア、アレン様に何も言わないんですか?」
「何を?? あの方は私を恨んでるはず。火に油を注ぎたくないんですの」
「で、でも、この身体はあなたので……」
「それは違いますわ。確かに私はあなたであり、あなたは私でもある。ですが、今、ソフィア・デメトリアスとして生きているのは紛れもなくあなたですわ。私は過去の存在でしかないんです」
「本当にいいの?」
「おかしなことを聞きますのね。殿下の幸せを願っています……と、言葉にするのは恥ずかしいものですね」
クスクスっと笑った悪役令嬢は普段言い慣れしていないせいか、頬を赤く染めて恥じらった。
悪役令嬢もアレン様と同じように何回も悪夢を見ていたのだろう。
悪夢を見続けた結果、自分の中での価値観が少しずつ変わっていったのかもしれない。
「最後に聞かせてくださらない? 呪いを解いたあの花弁はなんという名前なんですの」
「桜空属性と言いまして……」
「違いますわ。そうじゃなくて……」
「あっ、桜です。とても綺麗な花で私は好きです。夜になると儚さがあって、美しくも健気さを感じられて私は好きな花です」
「そう、さくらと言いますの」
魔法石が急に光出した。
「そのさくら、見てみたいものですわね」
桜はこの世界には存在しない花。
光が眩しくて細めで悪役令嬢を見ると、顔はハッキリと見えなかったけど口元が笑っているような気がした。
私は口を開きかけると、勢いよく肩を掴まれた。
「やっと見つけたぞ」
「シーアさん」
人の姿をしているシーアさんは、焦ったような表情と若干汗をかいていた。
「早く出るのじゃ。これ以上の長居は危険じゃ」
「で、でも……」
私は悪役令嬢を見る。悪役令嬢は悲しそうな表情をしてたけど「私なら大丈夫」とでも言っているように伝わってきた。
目を開けられないぐらいに光が増していき、次に目を開けると……空中庭園内のガゼボに設置してある長椅子に寝そべっていた。
目を開けた瞬間、ツーっと目から雫が流れ、地面にシミを作った。
「大丈夫ですか? どこか痛みはありますか?」
上半身を起こすと、ノア先生が心配そうに聞いてきた。
そっか、戻ってきたんだ。
少しだけ心が軽くなっている気がした。
まだ悪役令嬢が触れていた感触が手に残っている。
手を見ると、握りしめていた魔法石は割れていて、もう使えない状態になっていた。
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