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@藤堂side
18.スギシタ@藤堂side
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俺はその夜、家に帰ってビールや缶酎ハイに酔った。
「スギシタ」って誰だ?
西島も知ってるってことは一緒に行った合コンの相手ってことか…?
「ちょこちょこ連絡してる」「またご飯行くの」
俺は連絡先すら交換できぬまま避けられて、ふたりで飲みに行ったのも1回きりで…
その「スギシタ」がうらやましいし、さくらを横取りされて悔しい。
まさか、もう、つきあってるんだろうか、キスしたんだろうか、その先も…?
なんでこうなったんだ。
なんであの朝俺の横から消えて、俺を避けまくって、スギシタと?
さくら、ひどくないか?
だけど、脚にちょっかい出した俺を、さくらの弱い耳に息吹きかけた俺を、嫌じゃないって…
俺のこと憧れてたって言ってくれた想いも、キスして肌を重ねて俺にすべてくれた想いも、まださくらの中にあるってことだろう?
さくらが、俺に全く気持ちが無いんだったら、7歳も年下の会社の子だ。あきらめもついただろう。
でも、俺は俺のキスに蕩けて、俺の愛撫に身を任せて悶えるさくらの姿を覚えてる。
憧れていたって言って、まだ誰も受け入れたことのない体の奥へ俺を許してくれたさくら。
だから、あきらめきれない。なんで俺を避けて、ほかの男のところに行くんだ。
未練たらたら、一人で泥酔して床に転がる。
今回の周年パーティ、打ち合わせは持ったが、こっちは招待客のピックアップと、当日の顧客の接待くらいで、ずっと一緒に総務部と一緒に準備をするわけじゃない。でも、さくらとの数少ない接点を持てるチャンスだ。
俺はそこになんとか望みを見出すしかなかった。
さくらが西島の席の横に座って西島のパソコンを覗き込んでいる。
パーティの招待状の宛先を入力する書式の説明に来ている。
おれは、さくらの横顔を思う存分眺める。
髪をまとめてはいるが、以前のようにストレートのままでなく、カールしていて耳の周りにおくれ毛を垂らしている。
ジャケットの下は白シャツ一辺倒だったのに、ピンクの透け感のあるブラウスで、スカートだ。
誰のためにそんなにおしゃれするようになったんだ…。
座った膝がスカートから覗く。俺以外の誰かに見られるんじゃないかとひやひやする。
俺はたまらず二人の側へ歩いていく。
「さくらさん、わざわざありがとうね」
西島の上司としてのあいさつにしか見えないはずだ。
「…藤堂課長、お疲れ様です。もう、終わりますから。」
慌てて逃げようとするなよさくら。
「あ、俺の顧客の分、自分で打つから、俺も説明聞いておこうかな…」
さくらの座る椅子の背持たれをつかんで、ふたりの間に割って入り、モニターに顔を近付ける。
「え、私もうわかりましたから、作業入りたいです。課長の席でどうぞ。」
おお、西島、いいこと言うな。上司に対してまあまあ失礼だが。
「そっか、じゃあ、さくらさん、俺の席で頼むよ。」
「えっ…。」
さくらは困った顔をするが、しぶしぶ俺についてくる。
課を見渡せるよう背中を窓に向けて部下達の席を正面にして配置された俺の席に俺とさくらは回り込む。
近くの開いた席から椅子を持ってきてさくらを座らせる。
同じモニターを覗き込む二人の膝頭が触れそうだ。
「共有サーバの中に、30周年行事用のフォルダがあって、総務も営業の方も入れるようにしてもらってます。そこに・・・」
俺がマウスを操作し、さくらがモニターを指さして指示する。
すぐ目の前でさくらの髪が揺れる。
「この原本をコピーして…」
表計算ソフトを使ったそのファイルを開く。
俺はセルの一つに
『なんで、イメチェン?』
と打った。
「えっ?」
さくらの動きが一瞬止まる。
「何でもないです。」
無視せず応えてくれるのがさくららしいよ。
「さくらさん、教えて?」
口に出して聞く。周りからは仕事の話にしか聞こえまい。
さくらが俺のキーボードに横から手を伸ばす。
『なんで、そんなこと、きくんですか』
『だって、たいみんぐが。俺として、すぐだったから』
さくらが固まる。
さくらは、俺たちが今、会話したセルへの打ち込みを消した。
「数式、消えちゃいましたね。直します。」
マウスを手にして、他のセルの数式をコピーする。
部下たちからは、モニターで遮断されてさくらと近い距離にいる。
俺は何食わぬ顔で、机上に置いた手の指先をマウスを操作するさくらの手の親指に乗せた。
さくらの手が止まる。
すぐ横のさくらにしか聞こえない声で囁く
「スギシタって?」
「えっ?何で…」
「ね、誰?」
返事を待つ。
「あの、もう、大丈夫ですから。」
さくらが立ち上がる。動揺してるくせに、座っていた椅子をきちんと元の場所に戻して去っていく。
課のエリアから出る時に、振り返って頭を下げていく。俺の方は見ないまま。
何だよ大丈夫って、スギシタと順調ってこと?
さくらの爪は肌に馴染む色のマニキュアが塗られていた。あの夜にはそんなもの、塗ってなかった。
「スギシタ」って誰だ?
西島も知ってるってことは一緒に行った合コンの相手ってことか…?
「ちょこちょこ連絡してる」「またご飯行くの」
俺は連絡先すら交換できぬまま避けられて、ふたりで飲みに行ったのも1回きりで…
その「スギシタ」がうらやましいし、さくらを横取りされて悔しい。
まさか、もう、つきあってるんだろうか、キスしたんだろうか、その先も…?
なんでこうなったんだ。
なんであの朝俺の横から消えて、俺を避けまくって、スギシタと?
さくら、ひどくないか?
だけど、脚にちょっかい出した俺を、さくらの弱い耳に息吹きかけた俺を、嫌じゃないって…
俺のこと憧れてたって言ってくれた想いも、キスして肌を重ねて俺にすべてくれた想いも、まださくらの中にあるってことだろう?
さくらが、俺に全く気持ちが無いんだったら、7歳も年下の会社の子だ。あきらめもついただろう。
でも、俺は俺のキスに蕩けて、俺の愛撫に身を任せて悶えるさくらの姿を覚えてる。
憧れていたって言って、まだ誰も受け入れたことのない体の奥へ俺を許してくれたさくら。
だから、あきらめきれない。なんで俺を避けて、ほかの男のところに行くんだ。
未練たらたら、一人で泥酔して床に転がる。
今回の周年パーティ、打ち合わせは持ったが、こっちは招待客のピックアップと、当日の顧客の接待くらいで、ずっと一緒に総務部と一緒に準備をするわけじゃない。でも、さくらとの数少ない接点を持てるチャンスだ。
俺はそこになんとか望みを見出すしかなかった。
さくらが西島の席の横に座って西島のパソコンを覗き込んでいる。
パーティの招待状の宛先を入力する書式の説明に来ている。
おれは、さくらの横顔を思う存分眺める。
髪をまとめてはいるが、以前のようにストレートのままでなく、カールしていて耳の周りにおくれ毛を垂らしている。
ジャケットの下は白シャツ一辺倒だったのに、ピンクの透け感のあるブラウスで、スカートだ。
誰のためにそんなにおしゃれするようになったんだ…。
座った膝がスカートから覗く。俺以外の誰かに見られるんじゃないかとひやひやする。
俺はたまらず二人の側へ歩いていく。
「さくらさん、わざわざありがとうね」
西島の上司としてのあいさつにしか見えないはずだ。
「…藤堂課長、お疲れ様です。もう、終わりますから。」
慌てて逃げようとするなよさくら。
「あ、俺の顧客の分、自分で打つから、俺も説明聞いておこうかな…」
さくらの座る椅子の背持たれをつかんで、ふたりの間に割って入り、モニターに顔を近付ける。
「え、私もうわかりましたから、作業入りたいです。課長の席でどうぞ。」
おお、西島、いいこと言うな。上司に対してまあまあ失礼だが。
「そっか、じゃあ、さくらさん、俺の席で頼むよ。」
「えっ…。」
さくらは困った顔をするが、しぶしぶ俺についてくる。
課を見渡せるよう背中を窓に向けて部下達の席を正面にして配置された俺の席に俺とさくらは回り込む。
近くの開いた席から椅子を持ってきてさくらを座らせる。
同じモニターを覗き込む二人の膝頭が触れそうだ。
「共有サーバの中に、30周年行事用のフォルダがあって、総務も営業の方も入れるようにしてもらってます。そこに・・・」
俺がマウスを操作し、さくらがモニターを指さして指示する。
すぐ目の前でさくらの髪が揺れる。
「この原本をコピーして…」
表計算ソフトを使ったそのファイルを開く。
俺はセルの一つに
『なんで、イメチェン?』
と打った。
「えっ?」
さくらの動きが一瞬止まる。
「何でもないです。」
無視せず応えてくれるのがさくららしいよ。
「さくらさん、教えて?」
口に出して聞く。周りからは仕事の話にしか聞こえまい。
さくらが俺のキーボードに横から手を伸ばす。
『なんで、そんなこと、きくんですか』
『だって、たいみんぐが。俺として、すぐだったから』
さくらが固まる。
さくらは、俺たちが今、会話したセルへの打ち込みを消した。
「数式、消えちゃいましたね。直します。」
マウスを手にして、他のセルの数式をコピーする。
部下たちからは、モニターで遮断されてさくらと近い距離にいる。
俺は何食わぬ顔で、机上に置いた手の指先をマウスを操作するさくらの手の親指に乗せた。
さくらの手が止まる。
すぐ横のさくらにしか聞こえない声で囁く
「スギシタって?」
「えっ?何で…」
「ね、誰?」
返事を待つ。
「あの、もう、大丈夫ですから。」
さくらが立ち上がる。動揺してるくせに、座っていた椅子をきちんと元の場所に戻して去っていく。
課のエリアから出る時に、振り返って頭を下げていく。俺の方は見ないまま。
何だよ大丈夫って、スギシタと順調ってこと?
さくらの爪は肌に馴染む色のマニキュアが塗られていた。あの夜にはそんなもの、塗ってなかった。
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