青の話

豆腐

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「・・・・てな訳で、納期が少し伸びてこの案件は余裕が出来たから、鈴井は満田の案件手伝ってやってくれ」
「分かりましたー」
「あ、僕も手伝えますよ」
「蔵本さん手あくんですか!?俺の案件、動作複雑で処理速度遅くなってて、ちょっと見てアドバイスほしいです・・・」
「なら蔵本は花江のサポートをお願いしていいかな?」
「了解でっす」
「花江も、今日は帰って頭スッキリさせて明日頑張れ」
「はい、分かりました」

終業前30分になると、我が業務課は全員で現在の進捗、明日の予定と残業有無の確認のためミーティングを行うようにしている。
このおかげで、残業当たり前だったこの業界に珍しく残業が少ない。残業無しの月があるくらいだ。
前職はやばかったから、この職場が天国に感じる。
日付超えることもザラだったからなぁ・・・。
残業なしの日もあったけど、毎週何日かは残業してたし。
おかげで、趣味や習い事も出来て充実している。ヤツの浮気事件がなければ。
いかん、思い出したら腹立ってきた。
あんなヤツ、ゴリゴリ筋肉マッチョに無理矢理掘られて尻開発されて二度と前でイけなくなればいい。

「おーい、海野さーん、物騒な顔してる海野柚子さーん」
「はっ、な、なんですか」

ヤツとゴリ筋マッチョのズコバコを妄想し、あれこれはこれでなかなか美味しいんでない?とか考えるのに夢中になっていたら、名前を呼ばれていたのに気付かなかった。
考えが顔に出ていたらしい、ちょっと引いた顔をされた。

「さっきのやつ、みんなに見せたらどうよ?女の人、誰か分かるかもしれんよ」
「えっ、寝取られエロ動画ですか」
「ばか、画像だ画像!」
「わかってますってー冗談ですよ、流石にエロ動画みんなで鑑賞会したくないです」

なになにエロ動画?と、総勢20人に囲まれる。
事情を話しつつ、スマホでは見にくいため、iPadに画像を送り、顔のみ拡大してプロジェクターに繋いで見せる。

「この人なんですけど、どなたかわかる方居ませんか?」
「あー、見たことあるある、どこかの課で見た」
「えーどこだっけ」

ざわざわとしながら皆で悩んでくれる。
完全プライベートな問題なのに・・・皆いい人すぎだよ・・・・。

「あ、画面触んないほうがいいですよ、全体像だと秦さんの下半身丸出しなんで」
「それ早く言って!?触るとこだったよ!!」
「・・・・あー!!!この人、加藤さんだ、ここの総務課の加藤さん!僕同期です」

新卒で今年入社ほやほやの手塚君が、思い出した、と声を上げた。
え、アイツ社内で二股してんの?バカなの?

「アイツ、社内で浮気かよ」
「総務課加藤・・・って、常務の娘さんじゃなかった?え、そんなのと浮気してんのか、大丈夫かアイツ」
「あのコネ100%って言われてた子か」
「入社半年の子に手を付けたの?」

蔵本さん含む、秦さんと同期な先輩方が、ないわーっと呆れた表情で息を吐く。
んん?常務の娘??

「出世の為とか?・・・・もしかして私の方が浮気相手だった!?」
そうなのかな!?
常務の娘=逆玉だし、私もしかして、ただのオナホ兼家政婦!?

「いや、君の方が付き合い長いでしょ。付き合って1年経つでしょ」
「でも加賀地さん、最近私とデートなんてしてくんないし、休日はアイツの部屋で家事こなして空き時間ヤッてただけですよ!?」
「そこまでバラさんでいい!!部下の性生活なんて知りたくない!!!」
「てか海野さん、ちょっとは羞恥心持とうよ・・・」
「やだぁ蔵本さん、そんなの、高校で捨てました」
「いや拾って大事に仕舞ってて!」

工業高校で、男子しかいないクラスだったから、エロ本なんて普通に読んでたしなんなら中身の感想言い合いなんかもしてた。
そんな環境だったんだ、仕方ない、仕方ない。

「まぁ、相手は分かったんだ。海野、別れるんだろ?」
「別れますよ、浮気嫌いだって付き合い始めに宣言したし、どこまで浮気ラインって話もしてました。そもそも体つなげてる時点でアウトだし。荷物引き上げたし向こうも察してると思いますよ」
「・・・あいつ、あっさり別れると思う、興梠?」
「どうだろ、最近の同期会でも割と海野さんの事話してたし・・・簡単に別れてくれなそう」

難しい顔をする蔵本さんと、同じく秦さん同期の興梠こうろぎさん。
え、だめなの?

「えっ・・・顔合わせる気無いから、あとでライン送信して別れる予定なんですけど、それでもヤバいですかね」
「うーん、同じ職場たし・・・この部屋に来なくとも帰り待ち伏せとかやりそう」

え、どうすりゃいいんだ。もうヤツとは付き合いたくもないんだけど。

「そんな海野に、朗報です」

加賀地さんが、ばばーん、と、口で効果音を言いながら一枚の紙をみんなに見えるように掲げる。

「来週から本社業務課に異動の話が来てまーす」
「え、・・・・・え!?!?」
「きみ、能力で大体の国の言葉分かるでしょ?本社の英語話せる中国人が結婚して中国支部行っちゃったみたいで、英語と中国語理解できて、なおかつプログラム組める人が早急にほしいんだって」
「そりゃありがたい話ですけど・・・・私でいいんですか?」
「君名指しだからね!存分に、魔法少女の能力発揮して頑張ってきてよ」
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