異世界召喚された占い師は、預言者として魔王にさらわれちゃいました!!

なつき

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第一章

魔族の食事事情

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ぐぅぅ~~。
唐突にミツキの腹がなった。

「ミツキ様、お腹が空いておいでなのですか?」

「あはは。そうみたい。ちょっとご飯食べてもいい?」

「お食事ですね。かしこまりました。すぐにご用意致します」

「あ、大丈夫。ご飯なら持ってるから」

ミツキはガサガサと手持ちのビニール袋を漁り、中からおにぎりを取り出して見せた。

「あの、それは何でございましょう?」

無表情なまま問いかけてきたワルプルギスに、ミツキは思わずキョトンとなった。

「何って、おにぎりだよ?」

「オニギリ?」

「え?まさか知らないの?おにぎり」

「恐れながら存じません」

「ええっ、ホント!?じゃあプルちゃん、良かったら食べてみる?」

ガサガサとビニール袋を漁り、もう一個購入してあったおにぎりを取り出した。

「はい。あげる」

ほいと差し出されたおにぎりに、ワルプルギスの顔にわずかな戸惑いの色が浮かぶ。

「宜しいのですか?」

「うん。一緒に食べよう?」

おにぎりをワルプルギスに手渡したものの、さすがに立ったままではいささか行儀が悪い。
とはいえ、テーブルの傍らにある椅子は一脚だけだ。
ミツキは少し考え、おもむろにベッドに腰掛けた。

「ほら、プルちゃんもおいで」

ポンポンと自分の隣スペースをたたき、ワルプルギスに座るよう促す。

「ミツキ様、わたくしはメイドです。主と共に食事をとる事は許されません」

「何言ってるの?プルちゃんは私の友達なんだから、これくらい普通だよ。さ、おいで~」

ニコニコ顔で手招きされ、ワルプルギスは仕方無くミツキの隣に腰掛けた。

「うんうん。あ、プルちゃん、おにぎりはここをこうやって開けるんだよ?」

おにぎりの真ん中のテープを下側へ引っ張り、包装フィルムを左右に引いて見せる。
ワルプルギスは器用にミツキのやったとおりおにぎりの包装を剥いた。

「頂きます」

ぱくり。
おにぎりにかぶりつくミツキに習い、ワルプルギスもおにぎりにかぶりつく。

「!!」

ほぼ無表情だったワルプルギスの顔に、確かな驚きが浮かぶ。
そのあとはもう、夢中な様子ではぐはぐとおにぎりを食べ続け、あっという間に完食してしまった。

「わお!プルちゃん、いい食べっぷりだったね!美味しかった?」

「はい!世の中にこんな美味なものがあるとは!思いもよりせんでした!」

さっきまでの無表情が嘘のように、キラキラと瞳を輝かせているワルプルギスに、ミツキは満足げに微笑んだ。

「そっか~。喜んでもらえて良かった~」

「ミツキ様!いつもこのように美味なものを口にしていらっしゃるのですか!?」

たかがおにぎりにえらい過剰な反応である。

「まあ、おにぎりは普通に食べてるねえ」

「なんと!!羨ましゅうございます!!わたくし達魔族は、食物を口にする事自体ございませんから!!」

「え!?ちょっ、何それ!?じゃあどうやって栄養とってるの!?」

「魔族の栄養源は人間の負の感情と、世界に溢れる陰の気でございます」

「ええっっ!!??なな、何それ!?どういうこと!?」

「そもそも魔族は、負の感情、陰の気が集まって瘴気となり、それが濃くなり、具現化したものでございます。構成自体が人間と異なりますから、人間のように食物を口にする必要はございません」

ワルプルギスの説明に、ミツキは目を丸くした。

「ふええ、なんか、よくわかんないけど、すごい!」

「すごい、ですか?」

「うん!だって、食事しなくても生きていけるんでしょ?」

「いえ。食事は必要でございます」

「へ?」

「先程も申し上げましたでしょう?わたくし達魔族は、負の感情、陰の気を取り込みエネルギーとします。それが魔族にとっての『食事』でございます」

ミツキは、ワルプルギスの言葉の意味を理解するまで数秒を要した。

「えっと、つまり、人間とは食事の定義が違うってこと?」

「仰るとおりでございます」

「でも、おにぎり食べたよね?美味しかったってさっき・・・」

ミツキの疑問に、ワルプルギスは瞳を輝かせて大きく頷いた。

「はい!食物を口にしたのは初めてですが、非常に美味でございました!」

「初めてだったの!?ていうか、それ以前に、食べても大丈夫だったの!?」

ワルプルギスの話どおりなら、彼女にとって食物摂取は危険ではないのか。
主に、消化器官的な意味で。

「ご心配には及びません。口にする事自体は問題ございませんから。むしろ、もっと食べたいくらいです!!」

「ホント?じゃあ・・・」

片手に食べかけのおにぎりを持ったまま、膝に置いていたビニール袋を漁る。

「ジャジャーン!カラアゲ!!これも美味しいよ~。食べてみて!」

「カラアゲ!!これも初めてです!!頂いて宜しいのですか?」

「うん、どーぞ。あーん♪」

ミツキは、爪楊枝で刺したカラアゲをワルプルギスの口元へ運んだ。

ぱくり。

ワルプルギスが可愛い口を開き、カラアゲを食べた。
モグモグと口が動き、再び目が驚きに見開かれる。

「んんんーーーーっ!!」

ワルプルギスの表情筋が崩壊している。
某コンビニのカラアゲの威力は抜群だったようだ。

「あああっ!!ミツキ様!!何ですかこれは!!先程頂いたオニギリとは全く異なる美味しさでございます!!」

ワルプルギスの表情が幸福に満ちているのを見て、ミツキは満足げに微笑んだ。

「良かった!まだあるから、食べて食べて♪」

「ありがとうございます!!」

そうして二人は、カラアゲの美味しさをたっぷり堪能したのだった。
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