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きっかけ
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「……あーあ」
甘い余韻に浸っている間もなく、何もない丘に、先程とは打って変わったジュリの声が響いた。
「これでもだめ、か」
「ごめん、でも僕は……!」
「んーん、そうじゃないよ」
「……へ?」
苦々しい顔で謝罪するリエルに、女はへにゃりと笑った。
「元々、お偉いさんたちが来る前から、婚約の話は来てたんだ。優しくて、誠実そうな人だった。彼からの話を受ければ、私は何番目かの夫人にならずにすむの」
ならば、どうしてこんなことを?そんな心を見透かしたように、女は寂しげに笑った。
「……どうしても、諦めきれなかったの。リエルがお屋敷に行ったって話を聞いた時も、どうしても。リエルが前々からずっと誰かを好きなことくらい知ってた。だからその行動で、誰が好きなのかもわかっちゃった。でも、でも、そうしたら、その屋敷の主はリエルを愛していないって聞いてね。それなら私にもチャンスくらい、あるかなっ、て……」
彼女の顔に、涙が浮かぶ。
「っ、好きでしたっ。リエル、あなたのことがっ、ずっと、ずっと」
泣きながらも、彼女は笑っていた。清々しい顔つきで、にっこりと。
「だから……お幸せに!」
二人で、そっとその場を去った。泣いている少女を一人残して。
愛。気付けばなんと容易いことか。けれど気づくのに、どれだけかかったか。この女がいなければ、気づくことはなかった?いや、そんなはずはない。この想いは本物だ。いつかきっと、自覚した。けれど、けれど……
「きっかけには、なったのかもな」
そっと寄り添うリエルの肩を抱いて、私たちは屋敷へ、私たちの屋敷へ帰った。
誰かを愛すること、それは幸せも痛みも、全てを与えてくれる。
甘い余韻に浸っている間もなく、何もない丘に、先程とは打って変わったジュリの声が響いた。
「これでもだめ、か」
「ごめん、でも僕は……!」
「んーん、そうじゃないよ」
「……へ?」
苦々しい顔で謝罪するリエルに、女はへにゃりと笑った。
「元々、お偉いさんたちが来る前から、婚約の話は来てたんだ。優しくて、誠実そうな人だった。彼からの話を受ければ、私は何番目かの夫人にならずにすむの」
ならば、どうしてこんなことを?そんな心を見透かしたように、女は寂しげに笑った。
「……どうしても、諦めきれなかったの。リエルがお屋敷に行ったって話を聞いた時も、どうしても。リエルが前々からずっと誰かを好きなことくらい知ってた。だからその行動で、誰が好きなのかもわかっちゃった。でも、でも、そうしたら、その屋敷の主はリエルを愛していないって聞いてね。それなら私にもチャンスくらい、あるかなっ、て……」
彼女の顔に、涙が浮かぶ。
「っ、好きでしたっ。リエル、あなたのことがっ、ずっと、ずっと」
泣きながらも、彼女は笑っていた。清々しい顔つきで、にっこりと。
「だから……お幸せに!」
二人で、そっとその場を去った。泣いている少女を一人残して。
愛。気付けばなんと容易いことか。けれど気づくのに、どれだけかかったか。この女がいなければ、気づくことはなかった?いや、そんなはずはない。この想いは本物だ。いつかきっと、自覚した。けれど、けれど……
「きっかけには、なったのかもな」
そっと寄り添うリエルの肩を抱いて、私たちは屋敷へ、私たちの屋敷へ帰った。
誰かを愛すること、それは幸せも痛みも、全てを与えてくれる。
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