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可愛いの定義

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答えは、決まっていた。でも私は気付けば大粒の涙を零して泣いていた。言葉が喉につっかえて出てこない。でも、なんとか気持ちを伝えたくて、ぶんぶんと首を縦に振った。気づけば彼の腕の中だった。

「あはは、すごく泣いてる……でも、綺麗。星空の中で見ると、涙ひとつひとつがこの世にこぼれ落ちた星みたいだ」
「っ、でも、でも、いいのですか?」

顔を見られなくて、自ら顔を胸に埋めて、問いかける。

「私はのっぽで可愛くないし、自信もないし……」
「え、君が可愛くない!?」

突然がばっと引き剥がされた。
上から下まで、じっくり眺められる。

「君はこの世で一番可愛いよ?」

心底真面目な顔で言うシオン様。それがなんだかおかしくて。思わずふふふと笑う。ゆっくりと、頬に手が添えられた。

「……ほら、可愛い。君の背丈がどうであっても、僕のこの気持ちは変わらないよ……それに、自信がないのは僕も同じだ。おそろい。そこは2人で頑張ろう?お互いがお互いを認めあって、自信を持っていくんだ」
「……とても、素敵です!こんな私でいいなら……」
「こら、「こんな」とか言わない!君がいいんだよ。他の誰でもない、君が」
「ふふっ、はい!」

2人で唇を重ねた。それは甘くて、優しくて、幸せで。この人となら大丈夫。私はそう確信できた。
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