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後日談

本音2

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朝。目の前には大きな大きな船。

「わあ……!こんな大きな船に乗るの、初めてです!」
「クルーザーって言ってね、中にも色々施設があるんだ。この船に乗って、ディヴィラーナ王国のリゾート地に行くんだよ」
「ディヴィラーナ王国って、あの?」
「そう、少し前に歴史的な大事件があったところ」

施設案内図には舞踏ホールや遊技場、コンサートホールまであって、胸が躍る。

「そして何より……ここには使用人も僕達を知る人間もいない。ここでは君と僕は貴族でもなんでもない、ただの恋人さ……だから、こんなことしちゃっても問題ないわけ」

そう言うと、シオン様は予備動作もなしに突然口付けを落とす。

「!?」
「あははっ、真っ赤だ。可愛いね……でもこの旅行中はいーっぱいキスするから。きっと慣れちゃうよ」

甘く耳元で囁かれたらそれ以上何も言えない。私はエスコートされるがまま、船に足を踏み入れた。
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