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《緑の記憶》カフェ
しおりを挟む五月のおわりのある日曜日、石畳のサニーサイド・アベニューは晴れ。水色の空に雲がながれ、すみとおった風がプラタナスの若葉を鳴らして渦をまく。新鮮な空気は無限に広がり、さらに突きぬけ、宇宙とつながっている。古いガス燈。飛び去る鳩の群れ。四つ角にはカフェテラス。
グレイのスーツを着た青年が真ん中のテーブルに坐り、藍色のほそい線に縁取られた白く小さいカップでコーヒーを飲んでいる。木洩れ日にきらめくガラスの灰皿。銀色のジッポー。お天気のよい日には死にたくなったりするけれど、今日はあんまり悲しくないし、おだやかですこしうれしい気持。彼は風の行方を眼でおいながらマルボロをふかし、カップの底にたまったコーヒーの滓で未来を占う。子供たちがバスケットにつめたフェアトレードのチョコレートを売りあるく。
月が輝きはじめたら、恋人をさそって川べりのレストランへ行こうとおもう。魚か卵料理を食べたあと、ミラーボールとレコードと、フロアまでも回転する地下のディスコで踊りあかそう。スパンコールを蹴ちらして、すべてを忘れて。
でもいまは、なんにも用事がないから、ひとりでここに坐っている。
幸福なけはいに充ちた、しずかな午後。
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