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眩暈のころ
05. 中学三年のころ(春) 3
しおりを挟むそうやって、蝉丸と私が廊下や教室にいつまでも居残って他愛もなくお喋りしている折に、近海も仲間にくわわることがあった。
近海が、ジャズマンを多く手がける写真家のウィリアム・クラクストンのファンだと云い出し、私は偶然にも、彼の作品だとは知らずに買った、チェット・ベイカーの写真集を持っていたので、図に乗って見せびらかしながら、モノクロームの色味や構図の素晴らしさについて、熱弁をふるった。
すると近海は、それ以降、話の途中で「青木は知ってるだろうけど」などと断りをいれるようになり、私は、近海に試されているか、からかわれているような気がして、ずいぶん恐縮した。
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