上 下
249 / 291
小助くんと夏のどうぶつたち

お母さん犬の犬かきと小助くんのカエルおよぎ

しおりを挟む
 夏の青空が広がる中、小助はいつものようにワン太や犬のお母さんと元気いっぱいにかけ出しています。小助たちの先に見えるのは、カエルたちがハスの上にいる大きな池です。 

「カエルちゃん! カエルちゃん!」 

 小助は、大きな池へ向かっていきおいよく水しぶきを上げながらとびこみました。カエルたちは、かわいい人間の子どものすがたを見ながら鳴き声をいっせいにひびかせています。 

「ケロケロケロッ、ケロケロケロケロッ」 

 カエルたちは、水中から顔を出した小助を見ながらうれしそうに鳴きつづけています。そのようすは、池のそばにいる犬の親子にもつたわっています。 

「池に入りたい!」 
「しょうがないわね。さあ、せなかにのってしっかりつかまってね」 

 お母さん犬は、ワン太をのせると池の中をおよぎながらすすんでいます。これを見た小助は、すぐに犬の親子のほうへ近づきました。 

「いっちょに(いっしょに)およごう! いっちょにおよごう!」 

 小助は、自分がおよぐすがたをカエルたちにも見せようとはりきっています。なぜなら、カエルたちのおよぎかたを小助がいつもまねしているからです。 

「それじゃあ、ぼうやの後をついていこうかな」 
「ケロケロッ、ケロケロッ、ケロケロケロケロッ」 

 カエルたちもいっしょにおよいでくれるので、小助も自分で鳴き声のまねをしながらうれしそうにはしゃいでいます。 

 そんな中、お母さん犬は4本足をつかって水の中をかきながらおよぎつづけています。ワン太は、自分をのせているお母さんのおよぐすがたをじっとながめています。 

「わあ~っ! およぐの上手だね」 
「ふふふ、なんどもれんしゅうすればワン太もおよぐことができるわ」 

 お母さんの話を聞きながら、ワン太は自分もちゃんとおよげるようにがんばりたいと思っています。 

 後ろのほうからは、小助がカエルのようにおよぎながら前へすすんでいます。小助は、カエルたちといっしょに池の中を楽しそうにおよぐのが大すきです。 

「ぼうやは、カエルになって鳴いたり、およいだりするのがすきなんだね」 
「うん! ケロケロッ、ケロケロッ」 

 カエルたちは、小助の後ろをついて行くようにおよぎつづけています。いよいよ、大きないけの向こうまであと少しのところまでやってきました。 

 さいしょにたどりついたのは、ワン太をせなかにのせた犬のお母さんです。池から上がると、ワン太はお母さん犬からおりてからしっぽをうれしそうにふっています。 

 犬のお母さんは、池のほうを目を向けながらながめています。そこには、小助がカエルたちといっしょに池をおよいでいるすがたが見えてきました。 

 そして、小助はカエルおよぎで大きな池の向こうがわまで行くことができました。ハスのはっぱの上には、さっきまでいっしょにおよいでくれたカエルたちがつぎつぎとのっています。 

 小助は、池から上がるとカエルになり切ってピョンピョンとびはねています。カエルたちも、自分たちのまねをする小助のようすをうれしそうな鳴き声を上げながら見ています。 

「ケロケロケロッ、ケロケロケロッ」 
「ふふふ、ぼうやはカエルになり切っても元気いっぱいだね」 

 そのころ、ワン太は犬のお母さんのおっぱいをのんでいるところです。お母さんのやさしい目つきは、ワン太のほうにもつたわっています。 

「早く大きくなるといいね」 

 犬のお母さんは、おっぱいをのみつづけるワン太のほうをやさしく見つめています。そんなお母さん犬の目の前には、小助がかわいいえがおでいつものおねだりをしようとしています。 

「おっぱい! おっぱい!」 
「ふふふ、しょうがないわね。さあ、こっちへおいで」 

 こうして、小助はワン太といっしょにお母さん犬のおっぱいをのむことにしました。小助がいつも元気なのは、どうぶつたちのおっぱいをたくさんのんでいるおかげです。 

「ぼうやは、カエルだけでなく犬にもなり切っているみたいだね」 

 小助が犬のお母さんのおっぱいをのんでいるすがたに、ともだちのカエルたちも池のハスの上からやさしく見まもっています。
しおりを挟む

処理中です...