どろんこたろう

ケンタシノリ

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どろ人形から生まれたどろんこたろう

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 むかしむかし、ある山おくの村に男の人と女の人が2人でくらしていました。
 2人はいつも畑をたがやしたり、いろんなやさいをそだてたりしています。
 どんなにまずしくても、2人は畑でとれたやさいやおいもを食べることが何よりのしあわせです。
 そんな2人ですが、いっしょにくらすようになっても子どもにはめぐまれません。

 ある日のこと、2人はいつものように畑をたがやしています。畑をたがやすと、土の中にやさいのたねをつぎつぎとうえています。
「あたし、子どもがうみたくてもなかなかうまく行かないわ。どうしてなの?」
「そんなこと気にしなくたって大じょうぶだよ。これからもわしといっしょさ」
 男の人は、子どもがうめないことをなやんでいた女の人をはげましました。すると、女の人はあることを言い出しました。
「それなら、せめて畑のどろで子どもの人形を作りたいなあ」
 畑しごとがおわると、女の人が畑からどろをもってきては家の前へはこんできました。男の人は、そのどろで小さい子どもの人形を作りました。
 そのどろ人形は、ふっくらとしたかわいい男の子の形をしています。2人は、じぶんたちのところにもこんな子どもがほしいとながめていました。
 次の日のことです。2人のねがいに、どろ人形は小さい男の子のすがたになってうごき出しました。
「うわっ! ほ、ほんとうにどろ人形の子どもがうごいたぞ!」
「もしかして、あたしのねがいがつうじたのかも……」
 その男の子はどろ人形から生まれたので、体もどろんこ色となっています。これを見た2人は、男の子に「どろんこたろう」と名づけました。
「とっちゃん! かっちゃん! ぼくに名前をつけてくれてありがとう!」
 げんきいっぱいのどろんこたろうに、お父さんもお母さんもはりきっています。お母さんは、どろんこたろうのためにみどり色のはらがけを作りました。
 「ど」と書かれたそのはらがけは、どろんこたろうの体にぴったりと合いました。どろんこたろうは、お父さんとお母さんのために畑の中へ入って4本足でたがやし始めました。
 これには、お父さんもお母さんもびっくりするばかりです。今まで2人でやってもたいへんだった畑しごとが、どろんこたろうのおかげであっという間に終わりました。
 どろんこたろうの体は、すっかりどろんこだらけになりました。でも、それはどろんこたろうがげんきな子どもであるりっぱなあかしです。
「ねえねえ、こっちを見て~! ぼくねえ、こんなに大きな畑をたがやしたよ!」
「はっはっは、こんなにどろんこだらけになるまでよくがんばったなあ」
 お父さんは、おけの中に入った水でどろんこたろうの体をあらいながしました。これだけげんきな男の子に、お父さんとお母さんはたのもしそうに見つめています。
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