案内人は苦労中!

カヲス神

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プロローグ、と見せかけて第1章!

ルーク・ベルナール

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微妙な悲鳴を上げた後、私は書き途中の手紙に変な線を引かないようにちゃんと置いてから振り返り、自分を驚かせた元凶の顔を忌々しげに見た。

「…いきなりどうしたんだよ」

「いや、何をしてるのかなぁ~って」

そう言って呑気に笑っているのは私を拾ってくださった厳ついおじさんの息子だ。
ルーク・ベルナール。
彼は母親譲りの綺麗な亜麻色の髪に、父親譲りの緑色の瞳だ。
顔は完璧に母親譲りだ。
本人的には弱そうに見えるから嫌だと言っていたが、父親譲りになっていたらきっと逆のことを言うんだろう。
それにルークは私と同じ13歳なんだから、成長期じゃん。
今は可愛い系だが、多分成長期を終えたらあのおじさんの血を引いているんだ、がっしりとした体格になるんだろう。
そう思うと悲しくなってくる…。
そうやって私が悲観に暮れていると、ルークが勝手に私が書いていた手紙を読み始めていた。
手前ぇてめえ、人の物を勝手に見るんじゃねぇ!
親御さんに勝手に人の物は触るなって言われなかったのか⁉︎
いや、ルークの親は言わなさそうだけどさ。
寧ろ無用心なお前が悪いみたいなところ、あるけどさぁ…
ん?すぐに元の場所に戻したけどどうしたんだね?
もしかしてこの短時間で読み終わったのか?
早くね?

「んー…また、コトネの国の言葉で書いてるの?」

「あぁ、そうだ」

そうか、読めなかったのか。
だからあんなに早く元に戻したんだね。
うんうん、そうかそうかぁ~
ルークには少しだけ日本語、教えていってるんだけどな。
まだ読めないか。
というか冷静に考えてみるとおかしくないか?
今、私たちはクリオティア皇国っちゅう寒い所のノウスメリーという街の宿にいる。
そこまではいい。
ルークは寒いのが苦手なのでここは嫌いらしい。
これは関係無い。
というかだから何って感じなんだが。
何故思い出したし。
 まぁいいや。
問題なのは部屋割りなんですよ!
二人一部屋にしたのは特に問題無し。
でも、何故に私とルーク、おじさんとアリシアさんなのか。
いいじゃんここは男女別で!
アリシアさんと居たいよー
ガールズトーク、したいよー
ルーク、たまにじっとこっちを見てきて怖いんだよー
なぁーにが後はお若い二人でだ!
理解出来んがなぁ!
ニヤニヤ笑いおってぇ!
おじさんとでもいいよー
おじさんの体験談、面白いし。
ルークは可愛いけど、会話すると他の人に微笑ましげに見られるから嫌なんだよぉ!
なにがカップルみたいねぇだ!
勝手に人で妄想すんなや!
そしてルークもはにかみながら笑うなぁ!
そのおかげでお前の親に勘違いされてんぞ!
解ってんのか!

「そうだ!今から観光しようよ!」

「え?」
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