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第5章 ドキドキ☆交流戦
第33話
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「佐久間さんも白野先輩の応援に来たのかな?」
すると、山川さんは手をふって否定した。
「それはないない」
「えっ……?」
山川さんはそっと耳打ちしてきて、ひそひそ声で教えてくれた。
「あのね、佐久間さんは白野先輩と付き合ってたことあるんだよ。すぐ別れちゃったけど……」
「えっ!」
また大きな声が出ちゃったから、山川さんに「しぃー」と注意され、あわてて声を落として「本当?」ときいた。
うんうん、と何度もうなずく山川さん。
それは知らなかった! ……でも、同級生じゃなくて先輩と付き合うってことがすごいし、しかも相手は白野先輩!
佐久間さんなら白野先輩と釣り合うよね。並んでも違和感ないと思う。
だけど、すぐ別れたってことは、白野先輩の運命の人ではなかったのか……。
「じゃあ、誰か他の人の応援に……?」
「遠藤くんだよ、きっと」
「えっ? 遠藤くん?」
ちょうど両校のスタメン選手が整列したところで、そのなかに白野先輩……そして遠藤くんがいた。
遠藤くん、スタメンに入れたんだ! すごい!
「――佐久間さんが遠藤くんの応援に?」
クラスで目立っているふたりだけど、仲がいいイメージはなかった。
「あのふたり、幼なじみだよ」
「えっ、そうなんだ?」
「あたし、あのふたりと小学校同じだったから知ってるけど、仲よかったよ。いまはあんな感じだけど……」
へえ。それは意外だった。でも言われてみれば、なんでも知ってる間柄って感じはするかも。
ところで……さっきから黒江くんが見当たらない。おかしいなぁ。わたしより先に校庭に向かったはずなのに。
「あの、黒江くん見てない?」
「えっ? 黒江くん? 見てないけど、ここに来てるの?」
ふたりしてきょろきょろと見回したけど、校庭にはいそうになかった。
どうしたんだろう? ちょっと嫌な予感がする。
そうこうしてるうちに試合開始!
サッカーにくわしい山川さんの解説付きで観戦することができた。
白野先輩は中盤右サイド、遠藤くんは中盤の底――ボランチの位置なんだって。
わたしは黒江くんが気になっていたのだけれど、試合は一進一退の白熱したものになった。
一中はすぐに先制されちゃったけど、白野先輩のセンタリングをFWが決めて同点! 二中は負けじとフリーキックを決めて再び勝ち越し。そして前半終了間際、白野先輩のパスから遠藤くんがミドルシュートを決めて再び同点!
観客は大いに盛り上がって、白野コールと遠藤コールが起こった。
前半終了と同時に、遠藤くんが佐久間さんに駆け寄って、どうだといわんばかりに拳を突き上げるのが見えた。
佐久間さんは「はいはい、見てたわよ」といったように軽く手を上げたけど、その顔はうれしそうで――。
なんだかイイ感じじゃない? あのふたりとはトラブルになったけど、その嫌な記憶を塗りつぶすように毎日いろんなことがあって……。いまとなっては、あまり気にするようなことでもなかった。
「赤木さん!」
はじけるような笑顔で、白野先輩がわたしに駆け寄ってきた。
「見てくれてた!? 2アシスト決めちゃった!」
「はい! 白野先輩すごかったです!」
「ありがと。この試合、勝てたらさ……赤木さんに伝えたいことがあるんだ。だから……最後まで応援よろしくね」
ええっ! これってもしかして!?
「……はい」
とまどいながら、なんとか声を発したわたし。白野先輩はやさしくほほ笑んで、「またあとで」と走り去っていった。
その背中を見つめながら、わたしの頭にうかんだのは――――黒江くんだ。
黒江くん。いまどこにいるの? 会いたい。無性に会いたいよ。
白野先輩がわたしになにかを伝えようとしてる。それは恐らく好意で……。
黒江くんは、わたしになんて言ってくれるかな? 喜んでくれるのかな? また突っ走って、「作戦成功! カップル成立だ!」とか、大さわぎしたりして。
でも、黒江くんに言ってほしいのは、そんなことじゃなくて。別の言葉で。
だから……やっぱり……わたしの隣には黒江くんにいてほしい……。
「赤木さん! これはもう白野先輩に告られるんじゃない!?」
テンション高く盛り上がっている山川さんの声も、わたしの耳を通りぬけていく。
「わたし……黒江くんを……」
探しにいくね、と言いかけたとき。
「なんだ、地味な子じゃん」
悪意のこもった声がわたしに投げかけられ、思わずぎくりとした。
ぞろぞろと女子が近づいてきて、わたしと山川さんをぐるっと取り囲んだの。白野先輩に黄色い声援を送っていた、三年の先輩たちだ! 六人もいる!
「アンタ、白野くんに気に入られてるからって、調子のらないほうがいいよ。気まぐれで相手されてるだけだから!」
パーマをかけてバッチリとメイクもしている先輩がすごんできた。気が強そうで、明らかに六人のリーダー格!
「あたし、知ってるんだけど! この子に彼氏がいるの! 黒江ってイケメンと付き合ってるはず」
ショートカットの先輩が、パーマ先輩の顔色をうかがいつつ、ニヤニヤと情報提供した。それは、パーマ先輩の怒りの炎に油をそそいだようなもので。
「はあ? なにソレ! モテてモテて困っちゃうって? ホント調子のってるね!」
すると、山川さんは手をふって否定した。
「それはないない」
「えっ……?」
山川さんはそっと耳打ちしてきて、ひそひそ声で教えてくれた。
「あのね、佐久間さんは白野先輩と付き合ってたことあるんだよ。すぐ別れちゃったけど……」
「えっ!」
また大きな声が出ちゃったから、山川さんに「しぃー」と注意され、あわてて声を落として「本当?」ときいた。
うんうん、と何度もうなずく山川さん。
それは知らなかった! ……でも、同級生じゃなくて先輩と付き合うってことがすごいし、しかも相手は白野先輩!
佐久間さんなら白野先輩と釣り合うよね。並んでも違和感ないと思う。
だけど、すぐ別れたってことは、白野先輩の運命の人ではなかったのか……。
「じゃあ、誰か他の人の応援に……?」
「遠藤くんだよ、きっと」
「えっ? 遠藤くん?」
ちょうど両校のスタメン選手が整列したところで、そのなかに白野先輩……そして遠藤くんがいた。
遠藤くん、スタメンに入れたんだ! すごい!
「――佐久間さんが遠藤くんの応援に?」
クラスで目立っているふたりだけど、仲がいいイメージはなかった。
「あのふたり、幼なじみだよ」
「えっ、そうなんだ?」
「あたし、あのふたりと小学校同じだったから知ってるけど、仲よかったよ。いまはあんな感じだけど……」
へえ。それは意外だった。でも言われてみれば、なんでも知ってる間柄って感じはするかも。
ところで……さっきから黒江くんが見当たらない。おかしいなぁ。わたしより先に校庭に向かったはずなのに。
「あの、黒江くん見てない?」
「えっ? 黒江くん? 見てないけど、ここに来てるの?」
ふたりしてきょろきょろと見回したけど、校庭にはいそうになかった。
どうしたんだろう? ちょっと嫌な予感がする。
そうこうしてるうちに試合開始!
サッカーにくわしい山川さんの解説付きで観戦することができた。
白野先輩は中盤右サイド、遠藤くんは中盤の底――ボランチの位置なんだって。
わたしは黒江くんが気になっていたのだけれど、試合は一進一退の白熱したものになった。
一中はすぐに先制されちゃったけど、白野先輩のセンタリングをFWが決めて同点! 二中は負けじとフリーキックを決めて再び勝ち越し。そして前半終了間際、白野先輩のパスから遠藤くんがミドルシュートを決めて再び同点!
観客は大いに盛り上がって、白野コールと遠藤コールが起こった。
前半終了と同時に、遠藤くんが佐久間さんに駆け寄って、どうだといわんばかりに拳を突き上げるのが見えた。
佐久間さんは「はいはい、見てたわよ」といったように軽く手を上げたけど、その顔はうれしそうで――。
なんだかイイ感じじゃない? あのふたりとはトラブルになったけど、その嫌な記憶を塗りつぶすように毎日いろんなことがあって……。いまとなっては、あまり気にするようなことでもなかった。
「赤木さん!」
はじけるような笑顔で、白野先輩がわたしに駆け寄ってきた。
「見てくれてた!? 2アシスト決めちゃった!」
「はい! 白野先輩すごかったです!」
「ありがと。この試合、勝てたらさ……赤木さんに伝えたいことがあるんだ。だから……最後まで応援よろしくね」
ええっ! これってもしかして!?
「……はい」
とまどいながら、なんとか声を発したわたし。白野先輩はやさしくほほ笑んで、「またあとで」と走り去っていった。
その背中を見つめながら、わたしの頭にうかんだのは――――黒江くんだ。
黒江くん。いまどこにいるの? 会いたい。無性に会いたいよ。
白野先輩がわたしになにかを伝えようとしてる。それは恐らく好意で……。
黒江くんは、わたしになんて言ってくれるかな? 喜んでくれるのかな? また突っ走って、「作戦成功! カップル成立だ!」とか、大さわぎしたりして。
でも、黒江くんに言ってほしいのは、そんなことじゃなくて。別の言葉で。
だから……やっぱり……わたしの隣には黒江くんにいてほしい……。
「赤木さん! これはもう白野先輩に告られるんじゃない!?」
テンション高く盛り上がっている山川さんの声も、わたしの耳を通りぬけていく。
「わたし……黒江くんを……」
探しにいくね、と言いかけたとき。
「なんだ、地味な子じゃん」
悪意のこもった声がわたしに投げかけられ、思わずぎくりとした。
ぞろぞろと女子が近づいてきて、わたしと山川さんをぐるっと取り囲んだの。白野先輩に黄色い声援を送っていた、三年の先輩たちだ! 六人もいる!
「アンタ、白野くんに気に入られてるからって、調子のらないほうがいいよ。気まぐれで相手されてるだけだから!」
パーマをかけてバッチリとメイクもしている先輩がすごんできた。気が強そうで、明らかに六人のリーダー格!
「あたし、知ってるんだけど! この子に彼氏がいるの! 黒江ってイケメンと付き合ってるはず」
ショートカットの先輩が、パーマ先輩の顔色をうかがいつつ、ニヤニヤと情報提供した。それは、パーマ先輩の怒りの炎に油をそそいだようなもので。
「はあ? なにソレ! モテてモテて困っちゃうって? ホント調子のってるね!」
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