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刺客十番勝負〜其の弐、伝三郎。
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死末屋稼業の者達の元締根岸ノ三左衛門に雇われた一番手の刺客紅蜘蛛お政との戦いから五日が過ぎた。
次の刺客が襲いくるのを待つ日々を過ごすのは中々に疲れるものがある。まあ、これも刺客達の策略だろうと分かっているので、必要以上に緊張するのは悪手である。
「来ねえな」
「来ませんね」
伝三郎と早乙女静之助こと、お静が猪口を傾けながら呟き合う。
伝三郎とお静の腰には二尺の小太刀が差してあり、伝三郎の傍には二尺三寸五分の鯉口を切った刀と二尺五寸の竹製の馬上鞭が置いてある。この馬上鞭は飛来する弓矢や棒手裏剣などを打ち払い、打ち落とすために置いている。刀や十手では飛び道具に対処するのに些かの不安があるので竹製の馬上鞭を用意した。
二人で五合も飲んだだろうか。程良く酩酊して良い気分になったところで今宵は飲み納めとした。
「んじゃあ、寝るか」
「そうですねぇ。今夜は何も無さそうだし、明日もありますからね。寝不足じゃあお勤めに差し障りが出ますからねぇ」
伝三郎とお静が腰を上げたその瞬間、
ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ、
と大気を裂く音がして、三本の矢が二人の足元に突き刺さった。
「来やがったか」
「私の勘働きも鈍ったかねぇ」
二人は馬上鞭で次々と飛来する矢を打ち払い、打ち落としつつ反撃の時を探っていた。
とは言え、数十本もの矢を全て打ち落とし続けるのは疲れるので、畳を上げて盾にする。
暫くすると、ブスブスと音を立てて突き刺さる矢の音が途絶えた。
矢が尽きたのだろう。
畳から顔を出すと、弓を捨てて組屋敷の塀を乗り越えて来る五人の覆面姿の刺客が見えたので、畳の縁りを掴んで投げつけた。
五人の刺客達は投げつけられた畳を避けて斬り込んで来るが、お静が懐に隠し持っていた小指の先程の鉄の玉が三人の肘や膝を割り、苦悶の声を上げて転がって戦線不能に陥った。
突然の事に狼狽えていた二人の刺客は直ぐに体勢を整えて斬りかかって来た。
一人は二刀流で、もう一人は小太刀を遣う。
二刀流のほうは伝三郎が相手をし、もう一人のほうをお静が相手をする。
二刀流の刺客はかなりの遣い手だ。
伝三郎も二刀流で相手をするが、火花が散る程の斬撃を受け続けては刀が折れてしまうので、受け止めたり弾いたりするのではなく受け流す事で相手が疲れるのを待つ事にした。
伝三郎と刺客が互いに浅手を負いながら斬り結ぶ事、二十八回。
さすがに疲れたのだろう、刺客が飛び退いて息を整えようとするのを伝三郎は許さなかった。
刺客が飛び退くと同時に踏み込み、刀で首筋を刎ね斬り、小太刀で腹を撫で斬りにすると、首と腹から血が噴き出した。
刺客は信じられないという顔をしながら、ゆっくりと斃れ伏した。
流れ続ける血潮が中庭に染みとなって広がるのを見届けた伝三郎は、お静の戦いに目を遣ると、其方もかなりの激戦になっていた。
「加勢がいるか」
「要りませんよ」
お静の返答に頷いた伝三郎は、お静と刺客の戦いの見物に回った。
次の刺客が襲いくるのを待つ日々を過ごすのは中々に疲れるものがある。まあ、これも刺客達の策略だろうと分かっているので、必要以上に緊張するのは悪手である。
「来ねえな」
「来ませんね」
伝三郎と早乙女静之助こと、お静が猪口を傾けながら呟き合う。
伝三郎とお静の腰には二尺の小太刀が差してあり、伝三郎の傍には二尺三寸五分の鯉口を切った刀と二尺五寸の竹製の馬上鞭が置いてある。この馬上鞭は飛来する弓矢や棒手裏剣などを打ち払い、打ち落とすために置いている。刀や十手では飛び道具に対処するのに些かの不安があるので竹製の馬上鞭を用意した。
二人で五合も飲んだだろうか。程良く酩酊して良い気分になったところで今宵は飲み納めとした。
「んじゃあ、寝るか」
「そうですねぇ。今夜は何も無さそうだし、明日もありますからね。寝不足じゃあお勤めに差し障りが出ますからねぇ」
伝三郎とお静が腰を上げたその瞬間、
ヒュンッ、ヒュンッ、ヒュンッ、
と大気を裂く音がして、三本の矢が二人の足元に突き刺さった。
「来やがったか」
「私の勘働きも鈍ったかねぇ」
二人は馬上鞭で次々と飛来する矢を打ち払い、打ち落としつつ反撃の時を探っていた。
とは言え、数十本もの矢を全て打ち落とし続けるのは疲れるので、畳を上げて盾にする。
暫くすると、ブスブスと音を立てて突き刺さる矢の音が途絶えた。
矢が尽きたのだろう。
畳から顔を出すと、弓を捨てて組屋敷の塀を乗り越えて来る五人の覆面姿の刺客が見えたので、畳の縁りを掴んで投げつけた。
五人の刺客達は投げつけられた畳を避けて斬り込んで来るが、お静が懐に隠し持っていた小指の先程の鉄の玉が三人の肘や膝を割り、苦悶の声を上げて転がって戦線不能に陥った。
突然の事に狼狽えていた二人の刺客は直ぐに体勢を整えて斬りかかって来た。
一人は二刀流で、もう一人は小太刀を遣う。
二刀流のほうは伝三郎が相手をし、もう一人のほうをお静が相手をする。
二刀流の刺客はかなりの遣い手だ。
伝三郎も二刀流で相手をするが、火花が散る程の斬撃を受け続けては刀が折れてしまうので、受け止めたり弾いたりするのではなく受け流す事で相手が疲れるのを待つ事にした。
伝三郎と刺客が互いに浅手を負いながら斬り結ぶ事、二十八回。
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刺客が飛び退くと同時に踏み込み、刀で首筋を刎ね斬り、小太刀で腹を撫で斬りにすると、首と腹から血が噴き出した。
刺客は信じられないという顔をしながら、ゆっくりと斃れ伏した。
流れ続ける血潮が中庭に染みとなって広がるのを見届けた伝三郎は、お静の戦いに目を遣ると、其方もかなりの激戦になっていた。
「加勢がいるか」
「要りませんよ」
お静の返答に頷いた伝三郎は、お静と刺客の戦いの見物に回った。
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