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小手斬り左門次の探索〜終。
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薩摩藩士村井作兵衛と琉球人金城周信との死闘を征した伝三郎は、事の詳細を記した書状を南町奉行大岡越前守忠相の役宅に届けるためにお静を遣わした。
一刻もしただろうか。握り飯と味噌汁で腹拵えをしていた伝三郎の組屋敷に御奉行が直々にお出ましになった。その横には薩摩藩下屋敷用人伊那部権兵衛の姿もあった。
御奉行と伊那部は地面に転がされている村井作兵衛の遺体と縁側に白布を被せてある琉球人金城周信の遺体を見て苦い顔をしている。
「伊那部殿よ。其処なる者は薩摩藩士と名乗ってござったが、騙り者でござる。よって薩摩藩に成り代わって某が成敗仕り申したが、何ぞ不都合がござるかな」
「いや。ござりもはん」
伊那部としても薩摩藩士が琉球人を使って辻斬りをさせていたなどという不祥事を満天下に晒すわけにはいかない。だから騙り者として死末してくれた伝三郎には感謝するしかなかった。
「松平。良き判断じゃ」
御奉行としても其のほうが何かとやり易いので、伝三郎の判断を支持した。
「さて。伊那部殿。この後が大変でござるな」
「まっこと、そん通りでごわす。頭ん痛かこつでごわすよ」
伝三郎が薩摩藩士の騙り者として死末したと言っても、この事が大目付や幕閣に知れて公になったりすれば、薩摩藩とて無事では済まされないのは明白だ。
薩摩藩は方々に大金をばら撒かなければならない。幾ら大大名とは言え、金蔵の底が抜ける程の銀子があるわけではなし、昨今では何かと物入りの薩摩藩としては本当に頭が痛い事だ。
伊那部は大きな溜め息をついた。
「松平殿。ご挨拶は必ず致しもす故、こん遺体は引き取らせてもろてんよかか」
「御随意になされるが宜かろう」
「忝なか。ほれ、何ば呆けちょるとか。こん二人ん遺体ば運ばんか」
下屋敷詰の藩士や小者達が大八車に乗せてガラガラと運んで行く。
「伝三郎。其方はよくよく不幸に巻き込まれるのぅ」
「はあ。某も望んでこうなるわけではないのですが、厄介至極にござりまする」
「であろうな。さ、其方も疲れてもおろう。刻は然程無かろうが、少しでも寝むが良いぞ」
「御言葉に甘えまして、寝ませていただきまする」
「うむ。では、明日というよりも最早今日か。出勤したれば儂の御用部屋に参るよう」
「はい。承りました」
御奉行が同心小者を引き連れて帰っていった途端に眠気に襲われた。
「旦那。お疲れ様だねぇ。布団は敷いてあるよ」
「すまんな。じゃあ、寝かせてもらうぞ」
武装を解いて布団に入った伝三郎は、直ぐに夢の世界に旅立っていった。
一刻もしただろうか。握り飯と味噌汁で腹拵えをしていた伝三郎の組屋敷に御奉行が直々にお出ましになった。その横には薩摩藩下屋敷用人伊那部権兵衛の姿もあった。
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「いや。ござりもはん」
伊那部としても薩摩藩士が琉球人を使って辻斬りをさせていたなどという不祥事を満天下に晒すわけにはいかない。だから騙り者として死末してくれた伝三郎には感謝するしかなかった。
「松平。良き判断じゃ」
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「さて。伊那部殿。この後が大変でござるな」
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