生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン

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布実花について

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子供のときは自分は普通の子供だと思っていた。
女の子の友達同士でおしゃべりするときに度々出る恋バナ。

「布実花ちゃんは好きな子いないの?」
好きな子はいなかったけど恋愛対象は男の子だと確信していたから違和感はなかった。
違うかも?と思ったのは中学生の時。
友達のお姉さんが持ってたBL漫画を読んだ時だった。
少女漫画を読んでも、TL漫画を読んだ時も何も感じなかったのにBL漫画を読んだら電撃が走るくらい興奮した。
でもBLが好きな女友達は沢山いたし、そこでも違和感は感じなかった。
そしてそこから私の腐女子人生が始まった。

子供の頃から絵を描くことが好きだった。
色んな物語を想像するのも好きだった。
だからBL漫画を描くようになるのも自然の流れだった。
ちなみにペンネームのアルパカの由来は、ペンネームを考えている時にたまたまテレビでアンデス山脈のドキュメンタリー番組が流れていてテレビの中のアルパカがこちらを見ているような気がして忘れられなかったからである。

私が描くBLはラブアンドピースでとにかく受けを幸せにすることが至上命題のような作品ばかりだった。
基本受け目線で進んでいくが時々出てくる攻め目線の時は描きながらもものすごく力が入った。
まるで自分が攻めになっているかのような思考に陥って、受けを溺愛する攻めにいつもとても共感して描いていた。
そこでふっと自分の性癖に思いを馳せる。
自分は女性で、男の人が好き……それはいわゆるノーマルと言うことになる。
だけど身体は女性でありながら、男性を組み敷きたいと思っている……。
女性の身体ではあるけれど中身はゲイの男性?でもあくまでも願望であり実際どんな男の人を見ても実際に性的な行為をしたいと思ったことはなかった。

自分はそこで考えを整理してみることにした。
自分は今まで好きになった人はおらず、自分の恋愛に興味はない。
男の人が好きで、男同士の恋愛が好き。
もしセックスをする機会があるにならば、相手を組み敷いて喘がせたい。
………………………………………………………………。
なかなかに残念な感じじゃない?
仕方がない、自分の恋愛は諦めた。妄想でBL描いて慰めながら生きていこう。
そう決めたのが高校2年生の頃だった。

周りの友人と一緒に短大へ入り、卒業して地元のメーカーの事務職へ採用された。
そこで運命の出会いを果たしたのだった。
相手は同じ課の山田貴斗という33歳の上司だった。
当時20歳だった自分からしたらおじさんであるのに、私は出会った瞬間に何故だか見つけた!逃したら絶対ダメだ!と思ったのだ。
こう言ってはなんだけど別段かっこいい訳でもない、普通の人だったけど私にはキラキラして見えて運命だと思った。
そして結婚もしてなくて彼女もいないと聞いて神様に感謝した。
そこから猛アタックを開始、貴斗さんはすごく良い人だった。
「こんなおじさんどこが良いの?」って困った顔しながらも私を拒絶しなかった。
私はそこにつけ込んで押しまくって結果絆すことに成功したのだ。

5年のお付き合いの後に結婚、もちろんその間にも男女の行為はあった。
私的に抱かれるのは不本意ではあるものの貴斗さんとの行為は嬉しいものだったし、されるばかりではなく私も彼のイチモツを喜ばせることで満足していた。
私には謎の確信があった。私たち夫婦には子供は授からないと、理由はわからないけど確信はあった。
とはいえ一応結婚していてお互い子どもは要らないという話は出てこないし、お互いの両親も孫が出来たら嬉しいなーくらいの雰囲気は感じるし……ということで避妊はしない生活を送っていた。
そんな生活を5年ほど過ごして、夫にある提案をしてみた。
「一緒に不妊治療の検査に行って欲しい。」
夫は2人のことだからと一緒に検査に行ってくれた。
結果は夫が無精子症だった。幼い頃に出た高熱のせいだと言われたけど本当の原因はわからない。
私は密かに元々夫には精子がなかったと思っている。
その時私はチャンスだと思った。上手くすれば夫を組み敷くことができるかもしれない。
私が夫を抱く側になるのだ。
焦ると夫に不信感を抱かせる……慎重にいかないと。

まずは自分がBL漫画を描いていることをカミングアウトした。
夫は困惑していたけれど、自分のせいで子どもが望めないという負い目を感じていたのでそこにつけ込むことにした。
思った通り夫は私の趣味を受け入れた。
そこから3年かけてBLの世界を夫に馴染ませることにした。
無理強いはしないけど何となく視界に私の描いたBL漫画や売れ筋のBL漫画・小説なんかを入れていく。
ジリジリと夫にBLを受け入れられるように仕向けていったのだ。
そして時は来た……夫に話があると伝えると緊張気味に私に前へ座る。
通販で買ったエネマグラとローションをそっと差し出す……。

「これをあなたで試したい…。」
夫は手に取ってまじまじと眺める。
流石に引いているようだったけど
「今まで想像で書いてきたけど本当はどうなのか実際に見てみたい。」
夫は私に甘い……結局受け入れてくれるのだ……。

初めは自分の指にコンドームを被せてローションを纏わせて一本ずつ入れていく。
私は夢見心地だった。
叶わないと思っていたのに私が大好きな夫を抱くような立場になっている……。
私は夫の尻穴開発に夢中になった。夫は恥ずかしそうだったし最初は違和感もあって慣れなかったようだけど私は慎重にことを進めた。
もちろん愛するのは尻穴だけではない、乳首も執拗に攻めてガッツリ開発することに成功した。
夫が乳首で初めていけた時は飛び上がりそうなくらい嬉しかった。
そして日々の努力が実りある日エネマグラをグリっと動かした瞬間
「あっ!ああっ!」とびっくりして呆然としている夫を見て私は歓喜した。
やった!ついに夫を尻でいかせることができた!だけどあくまでも作品のためという体を保つために
「あなた今のが前立腺ね!あなたの良いところ!ついにお尻でいけたのね!ありがとう!参考になったわ!」
と言ってはみたけど、あれから私は夫をいかせることに夢中になっていたから夫には私の性癖はばれていたかもしれない。
ディルドにも手を出した。でも市販のものを使うのは何故だか嫌だった。
オーダーメイド出来ると聞いて粘土で型を自作した。
男のイチモツは夫のものしか知らないのに自作した型は物凄くリアルで立派な物になり私に手によく馴染んだ。
それを夫の尻に入れて夫がよがっているのを見た時嬉し過ぎて泣きたくなった。

そんな時に浮かんできた物語が〈聖なる神子は白薔薇と共に〉だった。
キャラクターから物語までまるで自分が体験してきたかのようにスルスルと描けた。
気がつくと描くコマの中についつい同じモブを描き込むようになった。
名前も自然に浮かんできた。モーブル・テスカだった。
全くお話に関係ないのにフラリと描き込むモーブル・テスカを夫も気がついたようだけど、モーブルを探せって感じだねと楽しんでくれていた。

そんな楽しい日々に突然悲劇が訪れた。
夫が居眠り運転のトラックに轢かれて亡くなってしまったのだ。
そこからは失意のドン底でその時の記憶はほとんどない。
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