題名のない物語

瑚湖

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知らぬ街並み

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「ねぇ、結構歩いたんだけど...まだつかないの?」

あれからユエについて行き早や2時間ずっと緩やかな坂道を歩き続けている。

(忘れてた...アイベルは別名、坂の街とも呼ばれてることを。まさかここまで歩くとは思ってなかったから)

「うん。もう少しだよ。」

ユエは言う

「それ...もう5回目なんだけど。」

「そうだね。でもほんとにあと少しなんだ。ほら見えたあの建物だよ。」

ユエの指さす方向にあったのは...廃墟。首都にあるとは思えないほどボロボロの建物だった。窓は割れ、コケは壁をつたって屋上まで続いている。柱はなんだか既に崩れそうな状態にある。

「えっと、これ?」

私は廃墟を指さす。

「うん。それ。」

「あの...帰っていいですか。」

「あてはあるの?」

...ない。正直働かせてもらえるのならどこでもいいと思っていた。でもこれは流石に...ない。
カツカツと石タイルの上をユエが歩いていく。ふと振り返ると随分高いところまで来たようだ。ここならアイベルの街を一望できるだろう。

「綺麗だろう。この街も。」

前を歩いていたユエはいつの間にか私の隣に立っていた。

「うん、綺麗だよ。」

「今度君に街を案内するよ。」

そういいながらユエは廃墟とも言える建物へと入って行った。景色にひとときのさよならを告げ、私も建物の中へと入っていった。
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