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クリスマス外伝③
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「ヒース、ほら見て。雪が降り出したわ。今年もホワイトクリスマスになりそうね。ドアの所に来て一緒に見ましょうよ」
「……バイオレット、それ、僕をヤドリギの下に立たせる魂胆でしょ」
ヒースがヘイワード・インに来て一緒に暮らすようになってから、初めてのクリスマスを迎えようとしていた。去年のクリスマスは、二人とも人生の大嵐の真っただ中でそれどころではなかった。春に結婚式を挙げ、今は少しずつ新しい生活を構築しているところである。カジノを辞めたヒースは、ヘイワード・インの経営に携わり、ここでも有能さを発揮して早くも効果が表れ始めていた。この日はイブで、クリスマスをヘイワード・インで過ごす客の対応に追われ、いつもより遅くまで働いていた。夜も更けるころになってやっと一息つけるようになったのだ。
「キスなら別にヤドリギなんかなくたっていつもやってるのに……」
少し恥ずかしそうにぼやくヒースに、バイオレットは真っ向から反論した。
「あら、ヤドリギの下でするキスは特別なのよ。お願いだから来てよ」
元よりヒースが彼女の頼みを断れるはずがない。少しおっくうな素振りを見せながらも、素直にドアの下のヤドリギのところまでやって来て、何も言わずキスを始めた。
「ちょっと……こういうキスじゃない……」
唇にふっと軽くするのとは異なる本格的なキスに、バイオレットは戸惑いの色を見せた。
「僕が軽く済ませるはずないでしょ。分かってたくせに」
少し拗ねた口調でヒースは言うと、両手でバイオレットの顔を包み込むように持ち、更に舌を深く入れた。確かに、彼はいつも喉の渇きを癒そうとするかのように彼女を求める。それは一緒に過ごすようになってしばらく経った現在も変わっていない。
「自分でも醜くて浅ましいと思う……でも、食べたくなるくらい好きだ。肉食獣が草食獣を襲う時の気持ちが分かる気がする……あれは一種の求愛行動で……愛しすぎて食べたくなるんだ……」
ここまで言ったところで、流石に変なことを口走ったと我に返ったヒースは、「ごめん……変なことを言って……」と口ごもり頬を赤らめた。
「べっ、別に本当に食べられるわけじゃないからいいわよ。すごく愛してくれているってことだもの」
バイオレットも恥ずかしさで顔を反らしながら答えた。愛されるのは嬉しいがどこか面はゆい。
「本当にごめん……こんなの重いよね……何とかしなくちゃと自分でも思うんだけど……」
「私こそ普段サボっているのに、こんなに甘やかされていいのかなって思っているのよ」
「サボるって何を?」
「ミデオンにいた時はおしゃれしていたじゃない。でもまた仕事が忙しくなって元に戻っちゃった。変身前のシンデレラみたいな姿でも変わらず愛してくれて、なんて私は幸せなんだろうって」
苦笑しながら言うバイオレットに、ヒースは食い気味に反論した。
「どんな格好でもきれいだよ! 頑張っている姿が美しくないわけないでしょ! 元がいいから着飾る必要なんてないし!」
「トーマスとジョーイにも相談したら『どんなに着飾っても一皮むけば同じ』って言われたわ。やはり人間は内面が大事ってことかしら」
ヒースは一瞬邪悪な顔つきになって「あいつら……後で〆てやる……」とつぶやいたが、幸いバイオレットには聞こえなかった。
「とにかく、バイオレットはそのままでいいからね。変におしゃれしたら他の男に狙われるからむしろ今のままがいい」
「あなたこそ今のままでいいわよ。変わる必要なんてない。ただ……みんなとご飯食べるのまだ照れくさい?」
それまで笑っていたバイオレットは、ふと、声を落として囁くように尋ねた。
もうだいぶ遅い時間だが、この後、従業員たちだけでささやかな晩餐を開くことになっている。普段は時間が合わなくてバラバラに食事を摂る彼らも、クリスマスイブの夜だけは全員集まって日頃の労をねぎらう。しかし、どうしてもこういう場所がヒースは苦手だった。結婚式の時はバイオレットの晴れ姿見たさに死ぬ気で頑張った。一人でいる時間が長かった彼にとって、団らんとか家族という響きはどうしても慣れることができなかった。
「嫌……ではないんだ……ただ、どうしても場違いな感じがして……クリスマスなんて昔バイオレットと一緒にいた時しかやったことないから……」
ヒースはそう言うと、バイオレットを抱きしめる手に力を込めてうつむいた。亡くなった彼の母は、息子のためにいい思い出を作ってやりたかったに違いない。しかし、義理の家族と暮らしていたころは迫害されていたし、ミデオンに出てからは早々に身体を壊してそれどころではなくなった。だから彼のクリスマスの思い出は、バイオレットと直接結びついているのだ。
「いつものメンバーに加えて、今年はお母様とお兄様も一緒なの。これで肝心のあなたがいなくちゃ始まらないわ。お願い、一緒に来て」
バイオレットの言葉に昔を思い出すものがあって、ヒースはふと顔を上げた。
「エルドラドのみんなは元気にしてるかな……あの頃はクリスマスなんか煩わしいだけで早く終わればいいのにと思っていた」
ヒースは、カーテンの隙間から見える、ふわふわと舞い落ちる白い雪に目を向けながら呟くように語り始めた。
「本当は分かっているんだ……自分は孤独を愛する振りをしてただ傷つくのが怖かっただけだって……エルドラドでもすぐそばに優しさはあったのに当時は気付けなかった。ウィルも、アネッサも、ヒューゴも大事にしてくれたのに、自分は誰にも愛されない孤独な人間だと酔いしれて勝手に拒絶していた。やっとありがたみが分かった頃には、もう恩返しはできなくなっていたんだ……」
「あなたが本当に優しさを理解できない人間だったら、いい人たちがこんなに集まってこないわ。それに今だって会おうと思えばすぐ会える。観光シーズンが終わったら、みんなで泊まりに来てくれるって」
「人相の悪い連中が大挙して押しかけたら一気にここの治安が悪くなっちゃうな」
バイオレットの髪を優しくなでながら、ヒースは苦笑いした。
「温かくなったら私たちも行きましょうよ。ビッグ・ロブにもご無沙汰だし、あと……ジャンナのお墓参りもしなくちゃ」
ヒースの母のジャンナはミデオンの共同墓地に眠っている。バイオレットを連れて一度訪ねたことがあるが、あれからしばらく時間が経っていた。
「うん……一緒に行こう」
しんみりと答えたヒースに、バイオレットは、今度は気を奮い立たせるように声を上げた。
「それを言うなら、今はヘイワード・インのみんながあなたの家族よ。ここにもすぐそばに優しさがあるの。今度はそれを見逃さないで」
バイオレットのすみれ色の瞳がまっすぐヒースをとらえた。ああ、やっぱり好きだ。好きだからこそ、彼女とずっと一緒にいたいと思うからこそ、今こそ世界と和解しないといけない。自分の世界に必要なのは彼女だけで十分だと今までは思ってきた。でも思った以上に世界は広大で彩りにあふれていた。一歩踏み出しても大丈夫、もう自分は一人ではないのだから。
「うん、分かった。行くよ」
微笑みながらそう言うと、再びバイオレットを抱きしめた。そこへしびれを切らしたトーマスが二人を呼びに来た。
「ちょっと二人とも何やってるんですか。せっかくの料理が冷めちまいますよ。ボスったらまだ駄々こねてるんですか?」
「俺を子ども扱いするな。それにもうボスじゃないって言ってるだろ」
「じゃあ何て呼べばいいんですか?お嬢様は奥様になったから……ご主人様か!」
「おい、よせ!」
ヒースは真っ赤になって否定した。
「バイオレットは男爵令嬢だぞ! 本来なら俺たちとは住む世界が違うんだ。だが俺は使用人の息子だ。彼女と同格になんかするんじゃない!」
「でも今はあなたがここのご主人様よ?」
バイオレットにもそう言われ、ヒースはたじたじとなった。
「とにかくご主人様なんて嫌だ! それなら前と同じでいい!」
「分かりましたよ、ボス。何でもいいからさっさと行きましょう」
「ああそれと、お前とジョーイは後で執務室に来い、話があるから」
何のことか分からないトーマスは、あーはいはいと適当に受け流した。
「ねえ、バイオレット……本当は、あともう一つ理由があるんだ」
トーマスの後を着いて行くバイオレットにヒースがそっと囁いた。
「あいつらの前ではエルドラドのヒース・クロックフォードでいるけど、君といると子供の頃の自分に戻ってしまう。どちらに軸足を置けばいいのか正直分からなくて混乱する……」
本気で悩んでそうなヒースの表情を見て、バイオレットは笑いながら答えた。
「自分では気づかないかもしれないけど、自然にスイッチの切り替えができているわよ。なんなら、エルドラドのヒースのままでもいいよ、仕事モードのあなた格好いいもん」
「ちょっ、僕のこと格好いいなんて言うの、世界広しと言えどバイオレットだけだよ!? どこに目付けてんのさ!?」
「スーツ姿よかったなー。中折れ帽に目が半分隠れたところがいいのよねー。またあの格好してくれないかなー」
ヒースが耳まで真っ赤になって反論しようと口をぱくぱくさせていると、トーマスが後ろを振り返り呼びかけた。
「ちょっと、イチャイチャは後でたっぷりしてくれて構いませんから、今はこっちに来てくださいよ!」
「分かってるよ、うるさいな! お前とジョーイには後で話があるから忘れるな!」
ヘイワード・インのクリスマスはまだ終わらない。漆黒の闇にしんしんと雪が降り積もる中、いつまでも、どこまでも温かい笑い声が響いていた。
「……バイオレット、それ、僕をヤドリギの下に立たせる魂胆でしょ」
ヒースがヘイワード・インに来て一緒に暮らすようになってから、初めてのクリスマスを迎えようとしていた。去年のクリスマスは、二人とも人生の大嵐の真っただ中でそれどころではなかった。春に結婚式を挙げ、今は少しずつ新しい生活を構築しているところである。カジノを辞めたヒースは、ヘイワード・インの経営に携わり、ここでも有能さを発揮して早くも効果が表れ始めていた。この日はイブで、クリスマスをヘイワード・インで過ごす客の対応に追われ、いつもより遅くまで働いていた。夜も更けるころになってやっと一息つけるようになったのだ。
「キスなら別にヤドリギなんかなくたっていつもやってるのに……」
少し恥ずかしそうにぼやくヒースに、バイオレットは真っ向から反論した。
「あら、ヤドリギの下でするキスは特別なのよ。お願いだから来てよ」
元よりヒースが彼女の頼みを断れるはずがない。少しおっくうな素振りを見せながらも、素直にドアの下のヤドリギのところまでやって来て、何も言わずキスを始めた。
「ちょっと……こういうキスじゃない……」
唇にふっと軽くするのとは異なる本格的なキスに、バイオレットは戸惑いの色を見せた。
「僕が軽く済ませるはずないでしょ。分かってたくせに」
少し拗ねた口調でヒースは言うと、両手でバイオレットの顔を包み込むように持ち、更に舌を深く入れた。確かに、彼はいつも喉の渇きを癒そうとするかのように彼女を求める。それは一緒に過ごすようになってしばらく経った現在も変わっていない。
「自分でも醜くて浅ましいと思う……でも、食べたくなるくらい好きだ。肉食獣が草食獣を襲う時の気持ちが分かる気がする……あれは一種の求愛行動で……愛しすぎて食べたくなるんだ……」
ここまで言ったところで、流石に変なことを口走ったと我に返ったヒースは、「ごめん……変なことを言って……」と口ごもり頬を赤らめた。
「べっ、別に本当に食べられるわけじゃないからいいわよ。すごく愛してくれているってことだもの」
バイオレットも恥ずかしさで顔を反らしながら答えた。愛されるのは嬉しいがどこか面はゆい。
「本当にごめん……こんなの重いよね……何とかしなくちゃと自分でも思うんだけど……」
「私こそ普段サボっているのに、こんなに甘やかされていいのかなって思っているのよ」
「サボるって何を?」
「ミデオンにいた時はおしゃれしていたじゃない。でもまた仕事が忙しくなって元に戻っちゃった。変身前のシンデレラみたいな姿でも変わらず愛してくれて、なんて私は幸せなんだろうって」
苦笑しながら言うバイオレットに、ヒースは食い気味に反論した。
「どんな格好でもきれいだよ! 頑張っている姿が美しくないわけないでしょ! 元がいいから着飾る必要なんてないし!」
「トーマスとジョーイにも相談したら『どんなに着飾っても一皮むけば同じ』って言われたわ。やはり人間は内面が大事ってことかしら」
ヒースは一瞬邪悪な顔つきになって「あいつら……後で〆てやる……」とつぶやいたが、幸いバイオレットには聞こえなかった。
「とにかく、バイオレットはそのままでいいからね。変におしゃれしたら他の男に狙われるからむしろ今のままがいい」
「あなたこそ今のままでいいわよ。変わる必要なんてない。ただ……みんなとご飯食べるのまだ照れくさい?」
それまで笑っていたバイオレットは、ふと、声を落として囁くように尋ねた。
もうだいぶ遅い時間だが、この後、従業員たちだけでささやかな晩餐を開くことになっている。普段は時間が合わなくてバラバラに食事を摂る彼らも、クリスマスイブの夜だけは全員集まって日頃の労をねぎらう。しかし、どうしてもこういう場所がヒースは苦手だった。結婚式の時はバイオレットの晴れ姿見たさに死ぬ気で頑張った。一人でいる時間が長かった彼にとって、団らんとか家族という響きはどうしても慣れることができなかった。
「嫌……ではないんだ……ただ、どうしても場違いな感じがして……クリスマスなんて昔バイオレットと一緒にいた時しかやったことないから……」
ヒースはそう言うと、バイオレットを抱きしめる手に力を込めてうつむいた。亡くなった彼の母は、息子のためにいい思い出を作ってやりたかったに違いない。しかし、義理の家族と暮らしていたころは迫害されていたし、ミデオンに出てからは早々に身体を壊してそれどころではなくなった。だから彼のクリスマスの思い出は、バイオレットと直接結びついているのだ。
「いつものメンバーに加えて、今年はお母様とお兄様も一緒なの。これで肝心のあなたがいなくちゃ始まらないわ。お願い、一緒に来て」
バイオレットの言葉に昔を思い出すものがあって、ヒースはふと顔を上げた。
「エルドラドのみんなは元気にしてるかな……あの頃はクリスマスなんか煩わしいだけで早く終わればいいのにと思っていた」
ヒースは、カーテンの隙間から見える、ふわふわと舞い落ちる白い雪に目を向けながら呟くように語り始めた。
「本当は分かっているんだ……自分は孤独を愛する振りをしてただ傷つくのが怖かっただけだって……エルドラドでもすぐそばに優しさはあったのに当時は気付けなかった。ウィルも、アネッサも、ヒューゴも大事にしてくれたのに、自分は誰にも愛されない孤独な人間だと酔いしれて勝手に拒絶していた。やっとありがたみが分かった頃には、もう恩返しはできなくなっていたんだ……」
「あなたが本当に優しさを理解できない人間だったら、いい人たちがこんなに集まってこないわ。それに今だって会おうと思えばすぐ会える。観光シーズンが終わったら、みんなで泊まりに来てくれるって」
「人相の悪い連中が大挙して押しかけたら一気にここの治安が悪くなっちゃうな」
バイオレットの髪を優しくなでながら、ヒースは苦笑いした。
「温かくなったら私たちも行きましょうよ。ビッグ・ロブにもご無沙汰だし、あと……ジャンナのお墓参りもしなくちゃ」
ヒースの母のジャンナはミデオンの共同墓地に眠っている。バイオレットを連れて一度訪ねたことがあるが、あれからしばらく時間が経っていた。
「うん……一緒に行こう」
しんみりと答えたヒースに、バイオレットは、今度は気を奮い立たせるように声を上げた。
「それを言うなら、今はヘイワード・インのみんながあなたの家族よ。ここにもすぐそばに優しさがあるの。今度はそれを見逃さないで」
バイオレットのすみれ色の瞳がまっすぐヒースをとらえた。ああ、やっぱり好きだ。好きだからこそ、彼女とずっと一緒にいたいと思うからこそ、今こそ世界と和解しないといけない。自分の世界に必要なのは彼女だけで十分だと今までは思ってきた。でも思った以上に世界は広大で彩りにあふれていた。一歩踏み出しても大丈夫、もう自分は一人ではないのだから。
「うん、分かった。行くよ」
微笑みながらそう言うと、再びバイオレットを抱きしめた。そこへしびれを切らしたトーマスが二人を呼びに来た。
「ちょっと二人とも何やってるんですか。せっかくの料理が冷めちまいますよ。ボスったらまだ駄々こねてるんですか?」
「俺を子ども扱いするな。それにもうボスじゃないって言ってるだろ」
「じゃあ何て呼べばいいんですか?お嬢様は奥様になったから……ご主人様か!」
「おい、よせ!」
ヒースは真っ赤になって否定した。
「バイオレットは男爵令嬢だぞ! 本来なら俺たちとは住む世界が違うんだ。だが俺は使用人の息子だ。彼女と同格になんかするんじゃない!」
「でも今はあなたがここのご主人様よ?」
バイオレットにもそう言われ、ヒースはたじたじとなった。
「とにかくご主人様なんて嫌だ! それなら前と同じでいい!」
「分かりましたよ、ボス。何でもいいからさっさと行きましょう」
「ああそれと、お前とジョーイは後で執務室に来い、話があるから」
何のことか分からないトーマスは、あーはいはいと適当に受け流した。
「ねえ、バイオレット……本当は、あともう一つ理由があるんだ」
トーマスの後を着いて行くバイオレットにヒースがそっと囁いた。
「あいつらの前ではエルドラドのヒース・クロックフォードでいるけど、君といると子供の頃の自分に戻ってしまう。どちらに軸足を置けばいいのか正直分からなくて混乱する……」
本気で悩んでそうなヒースの表情を見て、バイオレットは笑いながら答えた。
「自分では気づかないかもしれないけど、自然にスイッチの切り替えができているわよ。なんなら、エルドラドのヒースのままでもいいよ、仕事モードのあなた格好いいもん」
「ちょっ、僕のこと格好いいなんて言うの、世界広しと言えどバイオレットだけだよ!? どこに目付けてんのさ!?」
「スーツ姿よかったなー。中折れ帽に目が半分隠れたところがいいのよねー。またあの格好してくれないかなー」
ヒースが耳まで真っ赤になって反論しようと口をぱくぱくさせていると、トーマスが後ろを振り返り呼びかけた。
「ちょっと、イチャイチャは後でたっぷりしてくれて構いませんから、今はこっちに来てくださいよ!」
「分かってるよ、うるさいな! お前とジョーイには後で話があるから忘れるな!」
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