16 / 34
悪事の補足 2
しおりを挟む
「そういえばさ、なんで船長はジブンのことはムチで仲間にしなかったのかな?」
「え、オマエやられてねえの?」
「やられてたらムチのこと知ってるでしょ。」
「前の驚いてたのも演技だったのかと…。」
「そんなわけないでしょ!」
「そりゃ悪かったな。ええと、なんでだろうな?自分ためにやったんじゃないのか?」
「そんなことある?」
「船長が何を目指してるのかは知らねえが、さすがに他のモンスターのためってことはないだろう。明らかに自分勝手だしな。」
「魔王に仕えてるんじゃないの?」
「使命とこの旅は全く関係がない。おそらく意図的に無視してるか、完全に忘れてるかだろう。」
そういえば「魔王様からの使命を忘れることにした」なんて、前に聞いたことあるな。
「自分のために他のモンスターを傷つけるってどういうこと?」
「自分さえ良ければそれでいいっていう精神だろうよ。仲間を増やすっていう自分の目的が果たされるなら、他が傷つこうがどうでも良いんだ。」
「船長ってばそんなにヤバいヤツだったの!?」
「仲間がいないうちから「船長」っていう立場を持ちたがるあたり、その気はあるな。」
そんな、そこまで自分勝手なヤツだったなんて!船長はジブンのためを思って優しくしてる訳じゃないの?
…そうだ、違ったかも。「ミナライ」のためだ。きっと船長は、ジブンを「船長のミナライ」としてしか見ていないもの。だからあんなに優しいんだ。
だったら「ムチを打つのは良くないよ!」なんて面と向かって言ったら、それこそ前のピッシュみたいになってしまうんじゃ?
そうじゃなかったとしても船長は人間がキラいみたいだし、どう転んでもとんでもないことになりそう。
いつ殺してくるかわからない奴なんかのそばにいるなんてイヤだ。逃げ出したい……あ。船員が脱走する時の気持ちってこんな感じなんだ…。
「どうした?難しい顔して。」
「みんなが脱走したがる気持ちがわかっちゃったなって。」
「今までわからなかったのかよ…。」
「だからムチのことのこと知らなかったんだって!」
「はいはい、悪かったな。で、知らないことだらけのミナライさんはなんでそう思ったのかね?」
「だってムチ打ちもそこまでひどくしてるわけじゃないっぽいし、「いつ手を上げられるかわからない」って怖さはすごくイヤになるだろうなってわかるし。」
「…何で酷くしてないってわかるんだよ?」
「船員がだんだんキズだらけになってなんかないからだよ。それか、船に乗る前からキズだらけの船員しかいないし。」
「あ…。良かった…。」
狼男は目頭を押さえてため息を吐いた。
「なにが?」
「オマエへの疑いが晴れたわ…。」
「今!?さっきもちがうって言ったよね?」
「大人は証拠の無い話は信じられないんだよ。」
「めんどくさ…。」
「オマエもいつかはそうなるって。」
そうなのかな?ヤだなあ、そんなヤツになるの。
船長はどうなのかな?アイツだって大人だ。証拠が無いことは信じない…ってことはないか。いきなり人間を仲間にしたくらいだし。
船長は疑うのが苦手なのかも…って、それも有り得なくないか?だったらムチで打たないと仲間になってくれないかも、なんて考えないはずだし。
だとすれば…前にも考えたけど、船員が脱走してるのって、船長がそうなるように仕向けてるからなんじゃないか?自分では最後の一手を決めてないだけであって、そうなるように導いてるのはたしかだ。
導いてるだけだから、ジブンから見たら「船員がなぜか勝手に逃げ出していってる」という認識になってしまっていたんだ。
船長はジブンから「どうしてムチで打ったりなんかするの?」って聞かれるのをしばらくは回避できるように、予め何か計画を立てていたのかもしれない。
ムチ打ちは、仲間を増やすためだけじゃなかったりするのかな?船員が誰かに船長のヤバさを伝える前に「そんなことをする前に早く逃げないと」と思わせるためでもあったのかも。船員は手に入るし、ミナライにはバレないし、良いことづくめだ。
だからって、ひどいことをするものだ。船長は、誰かを仲間だと思ったことがあるのかな?古株に手を上げてないのも、船員が全員いなくなったら困るってだけなんじゃないか?
なかなかずる賢いな。っていうか、いつかは疑ってくると思ってるんだとしたらジブンのことも信じてなかったんじゃ…?
「どうした、黙りこくって?」
「え?えっと、みんなこの船がイヤっていうよりかは船長から逃げ出してるんだなって。」
「そりゃそうさ。船長みたいな奴は変えようとするだけムダだからな。そういう奴のために自分が変わってやる義理はないから、自分を守るために逃げ出すんだ。それは大切なことなんだよ。裏切りなんかじゃない。だからオマエも、船長に助けられた恩義に後ろ髪を引かれる必要なんかない。」
「…またそれ?」
「何度だって言うぜ。船長がそばにいないから言えてるんだけどな。」
「逃げないよ。逃げたら村が探せなくなるんたもん。」
「何年かかってでも自分の足で探しゃあいいじゃねえか。船がなきゃ駄目ならそういう職に就けばいい。何もこんなところに固執しなくたっていいだろ?」
「それは、そう…かもしれないけど!」
「今、だいぶ揺らいだな?」
「うるさい!ニヤニヤしないで!」
ええい、ヤなヤツ!
船員はこの船じゃなくて船長に重きを置いてる。でもジブンはどっちも大切だから、その分考え事も増えて大変だっていうのに。
自由な立場で軽々しく「逃げろ」なんて良く言えるな。簡単に「逃げよう」って思えるのがうらやましいや。
「…いや、まあ、君が言ってることが合ってるのはわかるよ。」
「うおっ、なんだよ急に?」
「それでも認めたくないけどね…。」
「なんだなんだ、何の話だ?」
「ジブンが「この船」も「船長」も、同じくらい気にしてるのを認めたくないってこと。」
「うえ、意味わかんね。あんなののどこが気掛かりなんだよ?手が付けられないだろ。」
「だから、船長っていう「モンスター」が気になってる自分が許せないの!」
「はあ?一から説明してくれ。」
「ええ?わかってよ!大人でしょ?」
「わからん。俺はニンゲンの大人じゃないからな。」
これだからモンスターは…めんどくさい!
「みんなの話を聞くうちに、変なヤツには関わらないで、さっさと離れるのが良いっていうのはわかってきてるんだよ。だから、大陸に降りるまでは船長と上手いこと付き合って、たどり着いたら切り捨てるのがジブンにとって一番…なんでしょ…?」
「そうだが…そんな嫌々言うなよ。」
「だってヤなんだもん。頭ではわかっててもさ、船長なんかが気になって離れにくいのがすごくイライラするの。」
「おいおい、船長が聞いたら泣くぞ?」
「知らないよ!泣くくらいだったらいいけどさ。」
「自分も鞭で打たれるかもってか?」
「それよりもっとひどいことされないかな?ジブンがここから逃げたらさ、どこまでも追いかけてきそうじゃない?」
「ああ、わかる。取っ捕まえたのちに船室に閉じ込めて二度と出してくれないかもな。」
「そこまでする?」
「オマエ、あいつから特別視されてるのはわかってるだろ?モンスターの執着は怖いぞ?」
からかいながらおどかされて、どう反応していいかわからなくなる。
「うう、こんなところいたくないよ…。」
「だったら逃げろって。いつか後悔するぞ?船なんて利便性が高いだけなんだから、とっとと逃げた方が何倍も得だ。船長に助けられたから気が引けるとか思うなよ。どうせあいつだって自分勝手な思いでオマエを助けたんだろうし。」
「何て言うか、ジブンが船長をどう気になってるのか、君にはわかんないかも。自分でも説明できないし。」
「わかるまでここに居る気か?待ってりゃ答えが出るなんてことはそうそうないぞ。」
「それでさ、船長は…。」
「待て待て、俺の話聞いてんのか?まいど長々と説明してやってんのに。」
「ああまた始まったなあって。」
「聞けよ!?」
何度も言われたからって、すぐに考えを変えられる問題じゃない。だから何度でも聞き流すべきだ。
自分でじっくり考えて納得してから答えを出さないと、取り返しの付かないことになる気がするし。相手が船長だから、なおさら慎重にならないと。
始めはただ、村に帰るためだけに船に乗ったのに。いつの間にか命に関わるようなことに巻き込まれてる…最悪。
「船長に何か要求されてんのか?ずっとここにいろだの何だの…。」
「ううん。「俺の、船長のミナライになってくれ」って言われたよ。ジブンの村探しには最初から協力的だったし。」
「つまり、それ以外に尽くせとは言われてない訳か。」
「どうだろう…言ったかもしれないけど。」
「覚えてないんじゃあ言われてないのと同じだ。気にすんな。とにかく、それで船を下りづらいっていうのもあるんだな?船長からの要求を果たし続けることが恩返しに繋がるって考えてる訳だ。」
「あ、そうかもしれない…。」
船長が望むミナライで居続けるには、船長のそばにいなくてはならない。船長のそばにいるだけで、ジブンは「ミナライ」という扱いを受けるんだから。
何か特別な振る舞いをしなくちゃいけない訳じゃないけど、逆を言えば絶対に船長から離れるわけにはいかないんだ。それ以外に条件がないから。
「船長に対してお礼がしたいって気持ちは100%あるのか?」
「そうでもないよ。」
「じゃあなんで船長に構ってんだ?」
「さあ…ジブンでもわかんない。」
なんで離れ辛いんだろう?船長が、ジブンの思ってたモンスター像とはちがったからかな。それってなんでだっけ?
たしか、モンスターに「キラい」という以外のことを感じたのは船長が初めてだった気がする。そのせいかも。他にそんな感じがしたのは今となりにいる狼男だったかな?
さっきは、辛そうな狼男を見るのが「変な感じになる」からイヤだと感じた。
スケルトンには、あの静かな日に島から聞こえてくる音に怯えてたのを見て、かわいそうだと思った。
ピッシュには…突き落とされたのを見て、おどろいてなにも考えられなかった。
みんなが辛い目に遭ったり悲しそうにしてる時だけ、ジブンは「キラい」だとは思ってないみたいだ。
だったら、船長にもこれと似たような「変な感じ」だとか「かわいそう」って思いを抱いてるってこと?船長が悲しそうにしてる時なんてあったっけ?
無いなら無いで怖いな。いつも楽しそうっていうのはけっこう変なのかも。少しくらいは大人しくしてる時なんかなかったっけ?ピッシュを船から突き落とした時がそうか。
でもなんで静かになったのかわからないんだよな。ピッシュとの会話は聞こえなかったから。今わかるのは、船長も「楽しい」以外の感情があるってことくらいだ。
それがわかって何か意味があるのかな。船長も他のモンスターとそんなに変わらないってこと?よくわかんないから、狼男にも聞いてみよう。
「はあ!?あんな子どもみたいなやつと一緒にすんなよ…!」
「子ども?」
「子どもだろ。気に入らなかったらすぐ癇癪起こすし、実際まだ若いしな。」
「船長100歳くらいだよ!?」
「モンスターにとっちゃ100年くらいどうってことねえよ。」
モンスター図鑑にもそんなこと書いてあったと思うけど、いざ理解しようとするとおどろいてしまう。
「そうなんだ…。君は何歳なの?」
「400くらいじゃねえの?」
「わあ、おジイだ。」
「失礼な奴だな…俺は若い方だぞ。」
「400歳で?」
「モンスターは平均的に6、700くらいなもんさ。」
「そんなジジくさい船だったんだ…。」
「残念そうにすんなよ。船長もニンゲンに換算したらオマエと同い年くらいだぜ?」
「嘘でしょ!?」
そんなことは図鑑には書いてなかった。船長ったら、ジブンくらいの歳でムチ打ってるってこと…?激ヤバじゃん。
「アイツは10歳くらいで船長気取ってるってこと?」
「そうなるな。ガキらしい。」
みんな、「子どもが船長ごっこをしてる」くらいの認識だったんだ…。アイツ、船長になるって決める時に魔王のことを気にしたって言ってたけど、みんなは魔王のこと覚えてるのかな。
「みんな、そんなに生きてて魔王のこと覚えてるものなの?」
「当然だ。始祖だからな。今の魔王様は俺たちより歳下だが。」
「何歳なの?」
「だいたい200歳だ。船長の一回り上だな。」
「一回り」が100年?モンスターってそんな感覚で生きてるのか…。それなら100歳の船長なんて子どもみたいなものなのかな。
だからって船長、子どもっぽいかな?
ジブンも「子どもっぽい」ってよく言われるけど何が子どもっぽいのかはよくわからない。それを相手に言ったら「やっぱり子どもだな」で終わらされるし。
じゃあわかんないじゃん…どうしよう。ジブンが「子どもっぽい」って言われたのはどういう時だったか思い出して、そこから考えてみようかな。
『ええい、危なっかしいですね!子どもだからってはしゃがないで貰えます!?』…なんてニシカミに言われたのは、甲板で走り回ってた時だった。
『このっ…俺様の魚まで平らげやがって…。』…なんてドラーゴンに言われたのが、サカナをたくさん食べた時だった。
『おい、なにやってんだ?子どもはよくわからんな…。』…なんてゴウストに言われた時、覚えてないけどなんかしてたと思う。
危なっかしいとか、向こうからしたら悪いことをしてた時とか、変に見える時に「子どもっぽい」って思われてるみたいだ。はっきりとした意味はわからないけど、良い言葉じゃないんだろう。
そう考えると、色んな時に子どもっぽいって思われてるのは気に食わないな。
それはそうと、船長は子どもっぽいのかというと…危なっかしいし、悪いことしてるし、変だし、じゅうぶん子どもっぽい。
認めたくないけど、ジブンと似ている。だから放っておけないのかもしれない。子どもっぽさがジブンと同じくらいなら友達になれていいはずなのに、なんでなれてないんだろう。
船長ってジブンよりも子どもっぽいのかな?自分よりもちっちゃい子を守りたくなる気持ちから構ってるのかも。
でも、船長に構うのって守りたくなるからではないと思うけど…。なんならあまりいっしょにいたくないくらいだし。ほんとうに何でだろう。
「いつまで考えてんだよ?義理堅い奴だな。」
「ぎり?」
「マメってことだよ。恩義を感じてる時点でそうだ。挙げ句、そのせいで船長のことを考える機会が多いんだろ?ご苦労なこった。」
「ああ、なるほど…。」
「なるほどって何だよ?」
「え?わかった時の返事。」
「そうじゃねえって…!」
狼男が何か言いたそうだけど後でいいや…。
そうだな、ようやくわかったかも。他のモンスターが相手の時は、今みたいに「もういいや」って放り出すことはしょっちゅうだ。でも、船長のことは何度放り出してもまた考え込んでしまう。
いつかはいなくなるであろう船員と、ほぼ確実にいなくならない船長とではまともに考える大事さが全然ちがうからというのもあるんだろう。
でも、いなくならなそうなこの狼男に対しても放り出したんなら…今後の生活につきまとうイヤな問題はジブンのために無くしておきたいっていう思いから船長を構っているのかもしれない。
何であれ、ジブンにとって船長は特別だ。他のモンスターから見ても特別だけど、ジブンとは違う。
モンスターから見たあいつは、特別変なモンスターだ。変だから離れようとする船員と、変だからもっと知りたいと思うジブンとの違いがある。
ジブンでもなんでここまで船長なんかに歩み寄れるのかが不思議だったけど、たぶんそういう理由だからなんだろう。とはいえ、ジブンだけが船長に本気っていうのもヤだな。
「考え事もいいけどよ、話相手を無視するのはどうかと思うぜ。」
「ん?ああ、ごめん。なんだっけ?」
「いやあ、俺も覚えてないけどよ。」
「ええ…!?」
またいい加減なところが出た!モンスターのこういうところ、キラいなんだよな…。
「ミナライは結構、モンスターに話しかけてるよな。凄いことだと思うぜ。」
褒めるように言われるので、なんだか照れる。
「え、そう?話してるだけじゃない?キラいなヤツけっこういるし。」
「正直な奴だな…。でも本当、そういうところだよ。オマエは子どもな分正直だからモンスターに似てる。モンスターと平気で喋れる時点で歩み寄ってるしな。」
「ふうん。」
「何の話だって顔だな?」
「そりゃあね。」
「オマエが大好きな船長の話さ。」
「いや、大好きなんかじゃ…!」
「まあ聞けって。ミナライはモンスターに似てるって言ったろ?だから大人のニンゲンよりかは船長と分かり合えるんじゃないかって話だ。」
「そんなに似てるの?」
「モンスターは、ニンゲンみたいに細やかな配慮だの遠慮だのが無いだろ?大体、思ったことをそのまま言ってる。さすがにこれは言わないでおくかって考えることくらいはあるが、結局は直球になる。遠回しに言おうとしてもできないんだ。ミナライもそうなんじゃないか?」
決めつけられてイヤな気分になったけど、よくよく噛み砕いてみたらその通りだと思えた。
やっぱり、大人と子どものちがいって考え方だけなんじゃないか?人間とモンスターとの違いだってそうかもしれない…。
「つまり、似た者同士ならニンゲン相手でも俺たちも受け入れてみようって思えるよ。オマエと船長はきっと上手く行くさ。」
「そうかな…。」
「そうだよ。お互い子どもだから惹かれ合うんだろうな。」
「なにそれキモっ…!」
「おうおう、この手の話を照れるあたりやっぱガキだな。」
「村ではもうすぐ一人前って言われてたもん。」
「それはまだまだって意味だな。」
「はあ…!?」
ムカつく…!狼男はニヤニヤしっぱなしだ。
「まだまだ大人にはなれないみたいだな?その調子で船長と話つけといてくれよ。その方が俺も船下りやすくなって助かるわ。」
「もう、勝手にいなくなればいいでしょ!」
ちゃんとした話もできるのに、ケラケラ笑ってはからかってくる。モンスターってのはしっかりした大人のようで、ジブンの友だちに似てもいる。船長以外のモンスターも変なヤツばっかりじゃんか!先が思いやられるな。
まだヘラヘラしている狼男から離れて、風にあたる。
船長と、わかり合える時なんて来るのかな。そうなら良いけど。村に帰る前に、わかり合っておきたい。村より大事なわけじゃないけど、放っておいたら村に帰ったあとも追っかけてきそうだし。
そうだよ、船長のことが大事なわけじゃない。きっと、めんどくさいだけだ。
「え、オマエやられてねえの?」
「やられてたらムチのこと知ってるでしょ。」
「前の驚いてたのも演技だったのかと…。」
「そんなわけないでしょ!」
「そりゃ悪かったな。ええと、なんでだろうな?自分ためにやったんじゃないのか?」
「そんなことある?」
「船長が何を目指してるのかは知らねえが、さすがに他のモンスターのためってことはないだろう。明らかに自分勝手だしな。」
「魔王に仕えてるんじゃないの?」
「使命とこの旅は全く関係がない。おそらく意図的に無視してるか、完全に忘れてるかだろう。」
そういえば「魔王様からの使命を忘れることにした」なんて、前に聞いたことあるな。
「自分のために他のモンスターを傷つけるってどういうこと?」
「自分さえ良ければそれでいいっていう精神だろうよ。仲間を増やすっていう自分の目的が果たされるなら、他が傷つこうがどうでも良いんだ。」
「船長ってばそんなにヤバいヤツだったの!?」
「仲間がいないうちから「船長」っていう立場を持ちたがるあたり、その気はあるな。」
そんな、そこまで自分勝手なヤツだったなんて!船長はジブンのためを思って優しくしてる訳じゃないの?
…そうだ、違ったかも。「ミナライ」のためだ。きっと船長は、ジブンを「船長のミナライ」としてしか見ていないもの。だからあんなに優しいんだ。
だったら「ムチを打つのは良くないよ!」なんて面と向かって言ったら、それこそ前のピッシュみたいになってしまうんじゃ?
そうじゃなかったとしても船長は人間がキラいみたいだし、どう転んでもとんでもないことになりそう。
いつ殺してくるかわからない奴なんかのそばにいるなんてイヤだ。逃げ出したい……あ。船員が脱走する時の気持ちってこんな感じなんだ…。
「どうした?難しい顔して。」
「みんなが脱走したがる気持ちがわかっちゃったなって。」
「今までわからなかったのかよ…。」
「だからムチのことのこと知らなかったんだって!」
「はいはい、悪かったな。で、知らないことだらけのミナライさんはなんでそう思ったのかね?」
「だってムチ打ちもそこまでひどくしてるわけじゃないっぽいし、「いつ手を上げられるかわからない」って怖さはすごくイヤになるだろうなってわかるし。」
「…何で酷くしてないってわかるんだよ?」
「船員がだんだんキズだらけになってなんかないからだよ。それか、船に乗る前からキズだらけの船員しかいないし。」
「あ…。良かった…。」
狼男は目頭を押さえてため息を吐いた。
「なにが?」
「オマエへの疑いが晴れたわ…。」
「今!?さっきもちがうって言ったよね?」
「大人は証拠の無い話は信じられないんだよ。」
「めんどくさ…。」
「オマエもいつかはそうなるって。」
そうなのかな?ヤだなあ、そんなヤツになるの。
船長はどうなのかな?アイツだって大人だ。証拠が無いことは信じない…ってことはないか。いきなり人間を仲間にしたくらいだし。
船長は疑うのが苦手なのかも…って、それも有り得なくないか?だったらムチで打たないと仲間になってくれないかも、なんて考えないはずだし。
だとすれば…前にも考えたけど、船員が脱走してるのって、船長がそうなるように仕向けてるからなんじゃないか?自分では最後の一手を決めてないだけであって、そうなるように導いてるのはたしかだ。
導いてるだけだから、ジブンから見たら「船員がなぜか勝手に逃げ出していってる」という認識になってしまっていたんだ。
船長はジブンから「どうしてムチで打ったりなんかするの?」って聞かれるのをしばらくは回避できるように、予め何か計画を立てていたのかもしれない。
ムチ打ちは、仲間を増やすためだけじゃなかったりするのかな?船員が誰かに船長のヤバさを伝える前に「そんなことをする前に早く逃げないと」と思わせるためでもあったのかも。船員は手に入るし、ミナライにはバレないし、良いことづくめだ。
だからって、ひどいことをするものだ。船長は、誰かを仲間だと思ったことがあるのかな?古株に手を上げてないのも、船員が全員いなくなったら困るってだけなんじゃないか?
なかなかずる賢いな。っていうか、いつかは疑ってくると思ってるんだとしたらジブンのことも信じてなかったんじゃ…?
「どうした、黙りこくって?」
「え?えっと、みんなこの船がイヤっていうよりかは船長から逃げ出してるんだなって。」
「そりゃそうさ。船長みたいな奴は変えようとするだけムダだからな。そういう奴のために自分が変わってやる義理はないから、自分を守るために逃げ出すんだ。それは大切なことなんだよ。裏切りなんかじゃない。だからオマエも、船長に助けられた恩義に後ろ髪を引かれる必要なんかない。」
「…またそれ?」
「何度だって言うぜ。船長がそばにいないから言えてるんだけどな。」
「逃げないよ。逃げたら村が探せなくなるんたもん。」
「何年かかってでも自分の足で探しゃあいいじゃねえか。船がなきゃ駄目ならそういう職に就けばいい。何もこんなところに固執しなくたっていいだろ?」
「それは、そう…かもしれないけど!」
「今、だいぶ揺らいだな?」
「うるさい!ニヤニヤしないで!」
ええい、ヤなヤツ!
船員はこの船じゃなくて船長に重きを置いてる。でもジブンはどっちも大切だから、その分考え事も増えて大変だっていうのに。
自由な立場で軽々しく「逃げろ」なんて良く言えるな。簡単に「逃げよう」って思えるのがうらやましいや。
「…いや、まあ、君が言ってることが合ってるのはわかるよ。」
「うおっ、なんだよ急に?」
「それでも認めたくないけどね…。」
「なんだなんだ、何の話だ?」
「ジブンが「この船」も「船長」も、同じくらい気にしてるのを認めたくないってこと。」
「うえ、意味わかんね。あんなののどこが気掛かりなんだよ?手が付けられないだろ。」
「だから、船長っていう「モンスター」が気になってる自分が許せないの!」
「はあ?一から説明してくれ。」
「ええ?わかってよ!大人でしょ?」
「わからん。俺はニンゲンの大人じゃないからな。」
これだからモンスターは…めんどくさい!
「みんなの話を聞くうちに、変なヤツには関わらないで、さっさと離れるのが良いっていうのはわかってきてるんだよ。だから、大陸に降りるまでは船長と上手いこと付き合って、たどり着いたら切り捨てるのがジブンにとって一番…なんでしょ…?」
「そうだが…そんな嫌々言うなよ。」
「だってヤなんだもん。頭ではわかっててもさ、船長なんかが気になって離れにくいのがすごくイライラするの。」
「おいおい、船長が聞いたら泣くぞ?」
「知らないよ!泣くくらいだったらいいけどさ。」
「自分も鞭で打たれるかもってか?」
「それよりもっとひどいことされないかな?ジブンがここから逃げたらさ、どこまでも追いかけてきそうじゃない?」
「ああ、わかる。取っ捕まえたのちに船室に閉じ込めて二度と出してくれないかもな。」
「そこまでする?」
「オマエ、あいつから特別視されてるのはわかってるだろ?モンスターの執着は怖いぞ?」
からかいながらおどかされて、どう反応していいかわからなくなる。
「うう、こんなところいたくないよ…。」
「だったら逃げろって。いつか後悔するぞ?船なんて利便性が高いだけなんだから、とっとと逃げた方が何倍も得だ。船長に助けられたから気が引けるとか思うなよ。どうせあいつだって自分勝手な思いでオマエを助けたんだろうし。」
「何て言うか、ジブンが船長をどう気になってるのか、君にはわかんないかも。自分でも説明できないし。」
「わかるまでここに居る気か?待ってりゃ答えが出るなんてことはそうそうないぞ。」
「それでさ、船長は…。」
「待て待て、俺の話聞いてんのか?まいど長々と説明してやってんのに。」
「ああまた始まったなあって。」
「聞けよ!?」
何度も言われたからって、すぐに考えを変えられる問題じゃない。だから何度でも聞き流すべきだ。
自分でじっくり考えて納得してから答えを出さないと、取り返しの付かないことになる気がするし。相手が船長だから、なおさら慎重にならないと。
始めはただ、村に帰るためだけに船に乗ったのに。いつの間にか命に関わるようなことに巻き込まれてる…最悪。
「船長に何か要求されてんのか?ずっとここにいろだの何だの…。」
「ううん。「俺の、船長のミナライになってくれ」って言われたよ。ジブンの村探しには最初から協力的だったし。」
「つまり、それ以外に尽くせとは言われてない訳か。」
「どうだろう…言ったかもしれないけど。」
「覚えてないんじゃあ言われてないのと同じだ。気にすんな。とにかく、それで船を下りづらいっていうのもあるんだな?船長からの要求を果たし続けることが恩返しに繋がるって考えてる訳だ。」
「あ、そうかもしれない…。」
船長が望むミナライで居続けるには、船長のそばにいなくてはならない。船長のそばにいるだけで、ジブンは「ミナライ」という扱いを受けるんだから。
何か特別な振る舞いをしなくちゃいけない訳じゃないけど、逆を言えば絶対に船長から離れるわけにはいかないんだ。それ以外に条件がないから。
「船長に対してお礼がしたいって気持ちは100%あるのか?」
「そうでもないよ。」
「じゃあなんで船長に構ってんだ?」
「さあ…ジブンでもわかんない。」
なんで離れ辛いんだろう?船長が、ジブンの思ってたモンスター像とはちがったからかな。それってなんでだっけ?
たしか、モンスターに「キラい」という以外のことを感じたのは船長が初めてだった気がする。そのせいかも。他にそんな感じがしたのは今となりにいる狼男だったかな?
さっきは、辛そうな狼男を見るのが「変な感じになる」からイヤだと感じた。
スケルトンには、あの静かな日に島から聞こえてくる音に怯えてたのを見て、かわいそうだと思った。
ピッシュには…突き落とされたのを見て、おどろいてなにも考えられなかった。
みんなが辛い目に遭ったり悲しそうにしてる時だけ、ジブンは「キラい」だとは思ってないみたいだ。
だったら、船長にもこれと似たような「変な感じ」だとか「かわいそう」って思いを抱いてるってこと?船長が悲しそうにしてる時なんてあったっけ?
無いなら無いで怖いな。いつも楽しそうっていうのはけっこう変なのかも。少しくらいは大人しくしてる時なんかなかったっけ?ピッシュを船から突き落とした時がそうか。
でもなんで静かになったのかわからないんだよな。ピッシュとの会話は聞こえなかったから。今わかるのは、船長も「楽しい」以外の感情があるってことくらいだ。
それがわかって何か意味があるのかな。船長も他のモンスターとそんなに変わらないってこと?よくわかんないから、狼男にも聞いてみよう。
「はあ!?あんな子どもみたいなやつと一緒にすんなよ…!」
「子ども?」
「子どもだろ。気に入らなかったらすぐ癇癪起こすし、実際まだ若いしな。」
「船長100歳くらいだよ!?」
「モンスターにとっちゃ100年くらいどうってことねえよ。」
モンスター図鑑にもそんなこと書いてあったと思うけど、いざ理解しようとするとおどろいてしまう。
「そうなんだ…。君は何歳なの?」
「400くらいじゃねえの?」
「わあ、おジイだ。」
「失礼な奴だな…俺は若い方だぞ。」
「400歳で?」
「モンスターは平均的に6、700くらいなもんさ。」
「そんなジジくさい船だったんだ…。」
「残念そうにすんなよ。船長もニンゲンに換算したらオマエと同い年くらいだぜ?」
「嘘でしょ!?」
そんなことは図鑑には書いてなかった。船長ったら、ジブンくらいの歳でムチ打ってるってこと…?激ヤバじゃん。
「アイツは10歳くらいで船長気取ってるってこと?」
「そうなるな。ガキらしい。」
みんな、「子どもが船長ごっこをしてる」くらいの認識だったんだ…。アイツ、船長になるって決める時に魔王のことを気にしたって言ってたけど、みんなは魔王のこと覚えてるのかな。
「みんな、そんなに生きてて魔王のこと覚えてるものなの?」
「当然だ。始祖だからな。今の魔王様は俺たちより歳下だが。」
「何歳なの?」
「だいたい200歳だ。船長の一回り上だな。」
「一回り」が100年?モンスターってそんな感覚で生きてるのか…。それなら100歳の船長なんて子どもみたいなものなのかな。
だからって船長、子どもっぽいかな?
ジブンも「子どもっぽい」ってよく言われるけど何が子どもっぽいのかはよくわからない。それを相手に言ったら「やっぱり子どもだな」で終わらされるし。
じゃあわかんないじゃん…どうしよう。ジブンが「子どもっぽい」って言われたのはどういう時だったか思い出して、そこから考えてみようかな。
『ええい、危なっかしいですね!子どもだからってはしゃがないで貰えます!?』…なんてニシカミに言われたのは、甲板で走り回ってた時だった。
『このっ…俺様の魚まで平らげやがって…。』…なんてドラーゴンに言われたのが、サカナをたくさん食べた時だった。
『おい、なにやってんだ?子どもはよくわからんな…。』…なんてゴウストに言われた時、覚えてないけどなんかしてたと思う。
危なっかしいとか、向こうからしたら悪いことをしてた時とか、変に見える時に「子どもっぽい」って思われてるみたいだ。はっきりとした意味はわからないけど、良い言葉じゃないんだろう。
そう考えると、色んな時に子どもっぽいって思われてるのは気に食わないな。
それはそうと、船長は子どもっぽいのかというと…危なっかしいし、悪いことしてるし、変だし、じゅうぶん子どもっぽい。
認めたくないけど、ジブンと似ている。だから放っておけないのかもしれない。子どもっぽさがジブンと同じくらいなら友達になれていいはずなのに、なんでなれてないんだろう。
船長ってジブンよりも子どもっぽいのかな?自分よりもちっちゃい子を守りたくなる気持ちから構ってるのかも。
でも、船長に構うのって守りたくなるからではないと思うけど…。なんならあまりいっしょにいたくないくらいだし。ほんとうに何でだろう。
「いつまで考えてんだよ?義理堅い奴だな。」
「ぎり?」
「マメってことだよ。恩義を感じてる時点でそうだ。挙げ句、そのせいで船長のことを考える機会が多いんだろ?ご苦労なこった。」
「ああ、なるほど…。」
「なるほどって何だよ?」
「え?わかった時の返事。」
「そうじゃねえって…!」
狼男が何か言いたそうだけど後でいいや…。
そうだな、ようやくわかったかも。他のモンスターが相手の時は、今みたいに「もういいや」って放り出すことはしょっちゅうだ。でも、船長のことは何度放り出してもまた考え込んでしまう。
いつかはいなくなるであろう船員と、ほぼ確実にいなくならない船長とではまともに考える大事さが全然ちがうからというのもあるんだろう。
でも、いなくならなそうなこの狼男に対しても放り出したんなら…今後の生活につきまとうイヤな問題はジブンのために無くしておきたいっていう思いから船長を構っているのかもしれない。
何であれ、ジブンにとって船長は特別だ。他のモンスターから見ても特別だけど、ジブンとは違う。
モンスターから見たあいつは、特別変なモンスターだ。変だから離れようとする船員と、変だからもっと知りたいと思うジブンとの違いがある。
ジブンでもなんでここまで船長なんかに歩み寄れるのかが不思議だったけど、たぶんそういう理由だからなんだろう。とはいえ、ジブンだけが船長に本気っていうのもヤだな。
「考え事もいいけどよ、話相手を無視するのはどうかと思うぜ。」
「ん?ああ、ごめん。なんだっけ?」
「いやあ、俺も覚えてないけどよ。」
「ええ…!?」
またいい加減なところが出た!モンスターのこういうところ、キラいなんだよな…。
「ミナライは結構、モンスターに話しかけてるよな。凄いことだと思うぜ。」
褒めるように言われるので、なんだか照れる。
「え、そう?話してるだけじゃない?キラいなヤツけっこういるし。」
「正直な奴だな…。でも本当、そういうところだよ。オマエは子どもな分正直だからモンスターに似てる。モンスターと平気で喋れる時点で歩み寄ってるしな。」
「ふうん。」
「何の話だって顔だな?」
「そりゃあね。」
「オマエが大好きな船長の話さ。」
「いや、大好きなんかじゃ…!」
「まあ聞けって。ミナライはモンスターに似てるって言ったろ?だから大人のニンゲンよりかは船長と分かり合えるんじゃないかって話だ。」
「そんなに似てるの?」
「モンスターは、ニンゲンみたいに細やかな配慮だの遠慮だのが無いだろ?大体、思ったことをそのまま言ってる。さすがにこれは言わないでおくかって考えることくらいはあるが、結局は直球になる。遠回しに言おうとしてもできないんだ。ミナライもそうなんじゃないか?」
決めつけられてイヤな気分になったけど、よくよく噛み砕いてみたらその通りだと思えた。
やっぱり、大人と子どものちがいって考え方だけなんじゃないか?人間とモンスターとの違いだってそうかもしれない…。
「つまり、似た者同士ならニンゲン相手でも俺たちも受け入れてみようって思えるよ。オマエと船長はきっと上手く行くさ。」
「そうかな…。」
「そうだよ。お互い子どもだから惹かれ合うんだろうな。」
「なにそれキモっ…!」
「おうおう、この手の話を照れるあたりやっぱガキだな。」
「村ではもうすぐ一人前って言われてたもん。」
「それはまだまだって意味だな。」
「はあ…!?」
ムカつく…!狼男はニヤニヤしっぱなしだ。
「まだまだ大人にはなれないみたいだな?その調子で船長と話つけといてくれよ。その方が俺も船下りやすくなって助かるわ。」
「もう、勝手にいなくなればいいでしょ!」
ちゃんとした話もできるのに、ケラケラ笑ってはからかってくる。モンスターってのはしっかりした大人のようで、ジブンの友だちに似てもいる。船長以外のモンスターも変なヤツばっかりじゃんか!先が思いやられるな。
まだヘラヘラしている狼男から離れて、風にあたる。
船長と、わかり合える時なんて来るのかな。そうなら良いけど。村に帰る前に、わかり合っておきたい。村より大事なわけじゃないけど、放っておいたら村に帰ったあとも追っかけてきそうだし。
そうだよ、船長のことが大事なわけじゃない。きっと、めんどくさいだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる