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重力と社会格差が少しだけ大きい別宇宙
待合室
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「何かいい方法があるの?」依子は食いついた。
「はい…。実はわたしも時々行ってまして…。正直これが1番ですな。嘘のように凝りが吹っ飛びますだよ。」
「ねぇ、教えて。」依子はよし子にせがんだが、依子はなかなか口を割らない。
「あんまり、お嬢様みたいないいお家の子が行くところではないですし…。わたしらみたいな下々のものがいくところですから…」
なおも依子がずっとせがみ続けていると、奉公もどうせ今日までだしいいか…と半ば覚悟を決めたらしいよし子さんが、ついに重い口を割った。「マッサージでございますだよ。」
へっ、と依子は拍子抜けのする気がした。マッサージなど普通のことではないか。よし子さんは「下町の方にありますんで。」というと、紙に住所と地図を書きつけてくれた。そしてマッサージのことは人には言わないように、特に自分から聞いたというこては絶対に言わないようにと懇願し、依子邸を去っていった。
翌日。依子は早速、よし子が教えてくれたマッサージ院に行ってみた。院はよし子が言った通り、依子の自宅からは離れた下町の中にあった。非常に古い入り組んだ下町で、奥に進むと車が入れないような薄暗い細い路地ばかりになったが、治安が悪いという感じでは特になかった。
よし子の地図を頼りに、ようやくマッサージ院を見つけた。木造の、古ぼけた小さな院だった。営業しているのかいないのかわからないほどだったが、入り口のドアを押してみると、それはギィと開いた。依子は院の中に入った。
中は薄暗く古いが、意外に近代的なものも取り入れている。先生が一人で切り盛りしているのか、受付にはタブレット端末が備え付けられているだけだ。受付の周囲には待合スペースのようなものは特にない。依子はタブレット端末で受付を行い、タブレット端末に表示された指示に従い、「進路」と書かれたドアを開けて中に入った。
中に入ると長細いスペースになっていた。幅は2メートルほど、奥行きは4メートルほどだろうか。
片方の壁際には、よく診察室の入り口の横に置かれているような、背もたれのない長イスが置かれている。長イスは一脚しか置かれていない。詰めれば3~4人は座れそうではあるが、あまり来院者が来ないということなのだろう。
もう一方の壁際には、温泉の脱衣所にあるような木製のラックが置かれていて、やはり脱衣所にあるような籐製のカゴがいくつも置かれている。
木製のラックには白いプラスチックのパネルが貼られていて、注意書きが書き連ねられている。こう書かれている。「バスタオルを一枚おとりになってから、こちらで脱衣を行なってください。」
依子がカゴの中を覗くと、確かに清潔そうな白いバスタオルが畳まれて入れてあった。依子はバスタオルを取り、それを長イスの上に置いてから、注意書きの続きを読んだ。
「バスタオル以外のものは全て脱衣カゴに入れてください。」
「備え付けの錠剤を一錠服用してください。」
「そのまま呼び出しまでお待ちください。」
「はい…。実はわたしも時々行ってまして…。正直これが1番ですな。嘘のように凝りが吹っ飛びますだよ。」
「ねぇ、教えて。」依子はよし子にせがんだが、依子はなかなか口を割らない。
「あんまり、お嬢様みたいないいお家の子が行くところではないですし…。わたしらみたいな下々のものがいくところですから…」
なおも依子がずっとせがみ続けていると、奉公もどうせ今日までだしいいか…と半ば覚悟を決めたらしいよし子さんが、ついに重い口を割った。「マッサージでございますだよ。」
へっ、と依子は拍子抜けのする気がした。マッサージなど普通のことではないか。よし子さんは「下町の方にありますんで。」というと、紙に住所と地図を書きつけてくれた。そしてマッサージのことは人には言わないように、特に自分から聞いたというこては絶対に言わないようにと懇願し、依子邸を去っていった。
翌日。依子は早速、よし子が教えてくれたマッサージ院に行ってみた。院はよし子が言った通り、依子の自宅からは離れた下町の中にあった。非常に古い入り組んだ下町で、奥に進むと車が入れないような薄暗い細い路地ばかりになったが、治安が悪いという感じでは特になかった。
よし子の地図を頼りに、ようやくマッサージ院を見つけた。木造の、古ぼけた小さな院だった。営業しているのかいないのかわからないほどだったが、入り口のドアを押してみると、それはギィと開いた。依子は院の中に入った。
中は薄暗く古いが、意外に近代的なものも取り入れている。先生が一人で切り盛りしているのか、受付にはタブレット端末が備え付けられているだけだ。受付の周囲には待合スペースのようなものは特にない。依子はタブレット端末で受付を行い、タブレット端末に表示された指示に従い、「進路」と書かれたドアを開けて中に入った。
中に入ると長細いスペースになっていた。幅は2メートルほど、奥行きは4メートルほどだろうか。
片方の壁際には、よく診察室の入り口の横に置かれているような、背もたれのない長イスが置かれている。長イスは一脚しか置かれていない。詰めれば3~4人は座れそうではあるが、あまり来院者が来ないということなのだろう。
もう一方の壁際には、温泉の脱衣所にあるような木製のラックが置かれていて、やはり脱衣所にあるような籐製のカゴがいくつも置かれている。
木製のラックには白いプラスチックのパネルが貼られていて、注意書きが書き連ねられている。こう書かれている。「バスタオルを一枚おとりになってから、こちらで脱衣を行なってください。」
依子がカゴの中を覗くと、確かに清潔そうな白いバスタオルが畳まれて入れてあった。依子はバスタオルを取り、それを長イスの上に置いてから、注意書きの続きを読んだ。
「バスタオル以外のものは全て脱衣カゴに入れてください。」
「備え付けの錠剤を一錠服用してください。」
「そのまま呼び出しまでお待ちください。」
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