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優見18歳。恥ずかしいカッコウをアパートの管理人さんに見られたい。

えっ、これ露出癖なの?

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カラカラカラと外側の引き戸を静かに開けて、優見が部屋に戻ってきた。このアパートは四畳半・風呂無し・トイレ共同・流し共同、いわゆる下宿風の安アパートだ。築50年を誇る。平成初期には、まだこの手の安アパートがたくさん残っていた。廊下と部屋をつなぐ出入り口は、ドアではなくいわゆる引き戸になっている。室内から鍵をかけたいときは、内側からネジみたいなのをくるくる回してギュッと固定する、アレだ。在室中は、あまり鍵を掛ける住人はいない。

廊下と室内はダイレクトにつながっているわけではない。外側の引き戸を開けて踏み込むと右側が壁、左側が今風に言うとクローゼットになっており、コート、スーツ、掃除機などの長モノはここに収納すると都合がよい。この畳1枚分ほどのプチ廊下を進むと四畳半の居室空間になっているわけだが、このプチ廊下と居室空間の間にはもう一度引き戸があり、この内側の引き戸の上半分はすりガラスになっている。というわけで、意外にプライバシーは保たれている。この引き戸は、優見がトイレに行く時に開けっぱなしにしていったままだ。

戻ってきた優見は、居室空間にすぐには入ってこず、その手前で立ち止まり、何やら思い返している様子だ。左腕を背中から回した右腕で掴んで、プチ廊下にたったまま壁にもたれかかっている。女子がよくする姿勢で、優見の胸が強調される。

「ふぅ…。」ため息をつくその顔は、少し上気して赤らんでいる。
「遅かったね。迷った?戻る部屋がわからなくなっちゃったとか?」と優見に問いかける。
「そういうわけじゃないんだけど。あのね、あの人、大家さん?廊下で少し話してた。」
「あー、あの玄関の横の部屋の人?あれは管理人さんだね。大家さんは近所に住んでて、おばあちゃんだよ。」
「管理人さんって、どんな人?」
「なんか嫌なことでもあった?」
「ううん、別に。ただどんな人なのかなって。好奇心?」
「すごくいい人だよ。パーフェクト管理人、って感じ。」

なんとはなしに、管理人さんの話をする流れになった。

「うちのアパートは、玄関が引き戸になってて、開けて入ると土間っていうの?、そういう空間になってるよね。で、住人はそこで靴を脱いで、下足箱に入れて、もう一個引き戸を開けて廊下に上がるわけなんだけど。」
「でも配達の人とかは、管理人室の小窓を叩くと、たばこ屋のばーちゃんみたいに管理人さんが対応してくれるから、荷物を預かってもらったり、住人を呼び出してもらったりするわけ。」
「管理人さんの対応はすごくいいよ。荷物を預かったらすぐに部屋にメモを挟んでくれるし。」

ちなみにこの時代にはアマゾンも楽天市場もまだ無い。クール宅急便ですらサービス開始からまだ5年だ。そもそも配達というものがそれほど利用されていない時代である。配達は不在の場合隣人に預かってもらう習慣があった時代である。

「館内はいつも掃除が行き届いてて、トイレなんかピカピカだしね。」
「よく野菜とかくれるし。」
「おかげで築50年のボロアパートで、とても居心地良く暮らせてるよ。」

「そうなのね。そんな感じだったわ。」優見は何か納得したような表情を見せた。
「そういえば、廊下で少し話したんだよね。あのさ、その格好で話すの恥ずかしくない?下ノーブラだし。すごく見られたりしなかった?」
「すごく見られたよ。超恥ずかしかった」と優見ははにかんだ。
「それでさ…」優見は恥ずかしそうに言葉を止めた。
「もしかして、ちょっとエロい気持ちになっちゃった、とか?」優見の真っ白な太ももを眺めながらそう聞いてみると、彼女は恥ずかしそうにうなづいて微笑んだ。
「私って、露出癖とかあるのかなぁ…」あるんだと納得したように呟くのだった。
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