真夜中マルチバース 【JC編】

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15歳くらいまでは娘が男親と温泉に入っても割と何とも思われない別宇宙

クレーンゲーム

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食後、祖父と部屋に戻ると、和テーブルと座椅子は既に片付けられ、布団が2組並べて整えられていた。

まだ濡れていた洗面室で髪を乾かして戻ると、祖父は既に奥の窓側の布団に入り、目を閉じていた。もう寝るつもりらしい。仕方ないので佳奈も部屋の明かりを消して布団の中に入った。まだ8時である。布団には入ったものの、うつ伏せの姿勢で、枕の上に両手を置き、その上に顎を乗せて、することもなく過ごしていた。実に退屈だ。

10分ほどそうしていただろうか。ドアがトントンと静かにノックされるのが聞こえた。佳奈は布団から出ると、玄関のドアをそっと開けた。廊下には例の男が立っていた。

「はい。」佳奈はひそっと言った。
祖父様じいさまと飲もうかと思って、部屋に遊びに来たんだけど…。」男は袋から焼酎の瓶を取り出して佳奈に見せた。ラベルには「異世界」と書かれていた。
「この様子だと、寝ちゃったか?」男は暗い室内の奥を覗きながら言った。
「はい。」佳奈が苦笑すると、「まだ8時だぜ。」と男も苦笑した。

「8時じゃ寝れねぇだろ。」男は佳奈に言った。佳奈はコクっと頷いた。
「じゃあ俺と遊ぶか。」
「どんな遊びですか?あたしは子どもだから、お酒は飲めませんよ。」
「うーん。」男は腕組みして考えていたが、「フロントで色々借りようぜ。」と言った。佳奈はついて行ってみることにした。

フロントでは様々なものが貸し出されていた。男はオセロと、何かボードゲーム風のものを適当に借り、ついでに卓球のラケットとボールのセットが入ったカゴを借りた。ホテルには卓球室があるそうだ。
「まずは卓球だな。」男は言い、佳奈と男は卓球室や麻雀室等がある階に上がった。

表示を頼りに卓球室を探すと、途中にちょっとしたゲームコーナーがあった。本日は年寄りしか泊まっていないため、中に客の姿はない。ゲーム台が出す景気の良い電子音がむしろ哀愁を誘っている。

廊下に近い最も目立つスペースには、グレーンゲーム機が設置されていた。景品はぬいぐるみだ。
「お嬢に何かとってやるよ。」男が言うので、二人はクレーンゲーム機に近づいた。
覗き込むとよくわからないぬいぐるみの山の他、今回来ているこの観光地のご当地キャラのぬいぐるみも相当数入っていた。
「これ欲しいです。」佳奈はご当地キャラのぬいぐるみを指差し、男に言った。
「任せろ。」男は早速100円玉を投入してクレーンを操作し始めたが、なかなかうまくいかない。瞬く間に100円玉が溶けていく。

「あ、それじゃ取れない。」横から見ながら佳奈は思うのだった。こういうのは空間認識能力がものを言う。
「あたしもやってみたいです。」佳奈が言うと、男が100円玉を投入してくれた。カチャンカチャンと硬貨が吸い込まれた後、ゲーム台が息を吹き返したように景気のいい音を立てた。

「勝ち筋が…見えた。」佳奈は呟くとクレーンを操作し、いいところにアームを食い込ませ、一発でものにした。
「やるなぁ、お嬢。」男が佳奈の頭を撫でた。とにもかくにも佳奈にご当地キャラを取らせることができて、男も嬉しそうだった。
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