妹からいつも馬鹿にされていた姉ですが、婚約希望者が現れました!? ～これでもう妹は私を馬鹿にはできません～

３話

「いいから帰ってくれるかな？　迷惑だよ」
「う……は、はい、分かりましたわ……」

　ようやく二人になれた。

「ミールさん、では行きましょう」
「どこへ？」
「お茶です」
「あ、そういえばそう仰っていましたね。すみません」
「謝らないでください。では、邪魔者もいなくなったところで、出発です」
「はい！」

　彼は妹ではなく私を見てくれている――その事実が何よりも嬉しい。


　◆


　その後話は順調に進み、私は無事ラヴィと結ばれることができた。

　しかし結婚式に妹は来なかった。

　なぜかというと、その時彼女は正気を失ってしまっていたのだ。

　私がラヴィと婚約した頃、妹は「あんな地味姉に先を越されるなんて許せない」と言い情緒不安定になっていた。そんな彼女を心配した両親は、必死に人を探して、十ほど年上の男性を妹の婚約者の座にあてがった。しかし妹はその男性を気に入らず。本人がいる前でも心ない言葉を繰り返し、また、やたらとわがままを言っていたようで。それで数週間くらいで婚約破棄されたのだ。

　以降妹は正気を失ってしまった。

　彼女は夜中ずっとよく分からないことを叫んでいたりするような状態で、とても人前に出られる精神状態ではなくて――それで、式への参加は、親が強制的に欠席させたのである。

「ラヴィ、これからもずっと……隣同士で歩んでいきましょうね」
「もちろんだよ」


◆終わり◆