妹からいつも馬鹿にされていた姉ですが、婚約希望者が現れました!? ~これでもう妹は私を馬鹿にはできません~

四季

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2話

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「ミールお姉さまみたいな女性が大抵独身で生涯を終えるのでしょうねぇ~、うっふっふふ!」

 今日も妹はいつもと変わりなく私を馬鹿にしている。

 変わりないということ、つまり、健康の証とも言えるか。

 もっとも、そんなもの示されてもちっとも嬉しくないけれど……。


 ◆


 そんなある日のこと。
 私のもとへ一通の手紙が届いた。

 その中身は、婚約希望についてであった。

 差出人はそこそこ広い領地を持つ家の子息である青年ラヴィ。思えば前に一度とある会合にて喋ったことがあったような気がする。手紙に書かれていた文章によれば、彼はその時から私に興味を持ってくれていたようだ。

「お姉さまに婚約希望!?」
「そうなの」
「な、な、なななな……何かの間違いではありませんの!? あるいは詐欺とか!?」
「相変わらず酷いわね」
「だって! お姉さまにそのような良い家の者から婚約希望が届くなんて! おかしいではありませんの!」

 そうだろうか? ……いや、彼女にしてみればそうなのかもしれないが。

 そうして迎えたラヴィとの対面の日、妹は無理矢理私についてきた。あり得ないことだが「絶対! あたくしも同行しますわ!」とか言ってきて一歩も引いてはくれず、そのまま二人でラヴィと会うこととなってしまったのだ。

 災難でしかない……。

 これで彼が心変わりした日にはどうしようもない、なんて、内心不安を抱いていた。

「ラヴィ様! 初めまして! あたくし、ミールの妹ですわ!」
「ええと……君がどうしてここに来ているのかな」

 しかし、ラヴィの心はそう易々とは変わらなかった。

「え」
「僕が呼んだのはお姉さんだけなんだけど」

 彼は言葉で痛烈パンチを放つ。

 それも、何度も。

「あ……え、ええ! だって! こ~んな面白みのない女だけでは盛り上がらないですもの! だから同行して――」
「余計なお世話だよ」
「ど、どうして……」
「恐らく無理矢理ついてきたんだろう? 迷惑だから。帰ってくれるかな。僕が話をしたいのはミールさんだけだから」
「あ……」

 やがて、ラヴィは妹の心を折った。
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