幼い頃の誓いは最後までは守られませんでした、悲しいことですが。～花を育てたり近所の人と喋ったりのんびり暮らすのも悪くないですね～

２話

　思わぬ形で発覚したダットの浮気。

　真実を知ってもなお黙っているなんてことは私にはできなかった。

「残念だわダット、こんなことになるなんて。信じていたのに」
「ごめん……」
「幼き日の誓いは簡単に破れるようなものだったのね、馬鹿みたい。私だけが信じていた……自分でも自分が馬鹿だと思う。けど、これではっきりした。貴方は私のことも誓いのことも雑に扱っているのだと」
「ごめんなさい……つい、遊びで……」
「遊び？　そんなこと、言い訳にはならないわ」

　そう言うと。

「何なんだよフィール！　今日は偉そうだな！　上から目線とかやめてくれよ！　ずっと仲良しだったのに、仲良しだって思ってたのに……悪魔かよ！　悪女かよ！　フィールなんてもう大嫌いだッ!!」

　急に逆ギレしてきた。

　――ああこれはもう無理だな、と確信して。

「よって、婚約は破棄とします」

　私は決心を口から吐き出した。

「慰謝料だけ払って、私の前から消えて」
「え……な、何でだよ、今さら……もうすぐ結婚するってのに……」
「浮気した者が悪いのよ」
「で、でもさ、考え直してくれよ、今さら破棄されるなんて恥ずかしくて周りに言いづら――」
「貴方の行いが招いたことでしょう」

　怒りの炎は燃え盛る。
　でもなるべく表情には出さないようにしておこう。

　静かな怒り、出すのはそれだけでいい。

　話は淡々と進めよう。