ただの幼馴染みと寝室でいちゃつくのは普通ではないと思います

四季

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3話

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「でも貴女は愛されてはいませんわよね? 明らかにあたしの方が愛されていますわ」
「幼馴染みという立場を利用して婚約している男性に手を出す、そんな卑怯な貴女には何も言われたくありません」
「あら、意外と気がお強いんですのね」

 くすくす、と小さな笑みをこぼし、それからリシリアはフルベルへ視線を移した。

「フルベル様、この女、不愉快ですわ。さっさと帰らせて」
「あ、あぁ、そうだな」

 数秒の間を空け、続ける。

「すまない。アマレリス、今日は帰ってくれないか」

 私の発言にはろくに耳を貸さないのに、リシリアのお願いなら聞くの? そんなにリシリアが大切? 私よりリシリアの方が大事な存在なの?

「それと、今日のことは見なかったことにしてほしい」
「嫌よ」
「頼む。後で何か贈るから」
「何言ってるの、もう忘れられないわ」

 贈り物をすれば黙っていると思っているなら大間違い。
 当然世の中にはそういう女性もいるだろう。贈り物をすれば許してくれる、そういう人だっていないわけではない。ただ、私をそういう人と捉えるのはやめてほしい。不快になるだけだ。

「このことはうちの両親と貴方の両親に話すわ」
「ま、待ってくれ! それは駄目だ!」

 急に焦り出すフルベル。

「駄目? 私がすることに口出しする権利は貴方にはないわ」

 いざ親に言われそうになって慌てるのなら、最初からそんな危険なことはしなければ良かったのだ。そうすれば私だって、親に言いつけるようなことはせずに済んだ。すべては彼の行いが招いたことではないか。

「待ってくれ! 怒られる! だから、どうか、それだけは!」

 言いつけられたらそんなに困るのか。
 親が怖いのだろうか。

「そうね、なら、ここでリシリアさんに『絶交する』と言える?」
「なっ……ば、馬鹿なことを言うな! 幼馴染みに絶交なんて、そんなこと、言えるわけがないだろう……! 少し有利になったと思って、そんな酷いことを……」
「できないわよね?」
「あ、あぁ……」
「分かったわ。じゃ、私はこれで」

 悲しさはあった。辛さも、苦しさも、確かに存在していた。けれども、それらが存在するからこそ、この件をうやむやにすることはできないのだ。

 今回見逃してしまったら、彼は一生リシリアと会い続けるだろう。

 だから私は動く。
 未来の闇を払うために。
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