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3話「魔王城だそうです」
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力尽きて倒れていたところに偶然ミャーウーが通りかかり、ここへ連れてきてくれたーーどうやらそういうことだったらしい。
それと、さらに驚いたこともあったのだが、聞いた話によればここは魔王城らしい。とても信じられない話なのだが、ミャーウーがふざけずに言っていたから、多分本当なのだろうと思う。ミャーウーの目は嘘つきの目ではなかった。
目覚めた私は、ミャーウーと会話した後に、食事を貰った。
そして、その内容がまた独特だった。
紫のリンゴをスライスしたものと水色の葉っぱを盛り付けたサラダ。半分溶けたような状態の赤いタレに浸かっている肉。五色くらいの層になっているゼリーのような物体。
これまで食べたことのないものばかりだったが、案外味は悪くなかった。
人を見た目で判断してはいけない、とはよく言うが、それは食べ物にも当てはまるのかもしれない。
そうして私は魔王のところへ連れていかれることとなった。
以前の私だったら強く拒否したかもしれない。魔王のところに連れていかれるなんて、と、きっと恐怖心を抱いたことだろう。けれども今は何も思わない。一度酷い目に遭ったからだろうか、まぁどうにでもなれと思えてしまう。
「魔王様のところへ行くミャウ!」
「……食べられますかね」
「それは隠喩かミャウ? 食べられるとは性的な意味かミャウ?」
「いえ、違います」
ミャーウーは見た目は可愛いのだが時折意味深なことを言うのでその相手をするのは少々面倒臭かったりする。
「ミャーウー、本当にこのままの格好で良かったのですか?」
「大丈夫ミャウ! 魔王様は心がお広いお方ミャウ!」
「そうですか。なら安心しました。怒らせないようにしないと……」
うっかり怒らせてしまったら命はない。できる限り刺激しないようにしなくては。当たり障りのないことだけを言うようにするべきだろうか。
「着いたミャウ! この扉の向こうに魔王様がいらっしゃるミャウ!」
「緊張してきました」
「大丈夫大丈夫! 気楽にいくミャウ!」
そうね、ここまで来たのだから進むしかないわよね。分かってる。今さら引き返すことなんてできないの。今の私に与えられた選択肢は一つ、この道を行くこと。どのみち私には、目の前にある道を進んでゆくことしかできないの。
それと、さらに驚いたこともあったのだが、聞いた話によればここは魔王城らしい。とても信じられない話なのだが、ミャーウーがふざけずに言っていたから、多分本当なのだろうと思う。ミャーウーの目は嘘つきの目ではなかった。
目覚めた私は、ミャーウーと会話した後に、食事を貰った。
そして、その内容がまた独特だった。
紫のリンゴをスライスしたものと水色の葉っぱを盛り付けたサラダ。半分溶けたような状態の赤いタレに浸かっている肉。五色くらいの層になっているゼリーのような物体。
これまで食べたことのないものばかりだったが、案外味は悪くなかった。
人を見た目で判断してはいけない、とはよく言うが、それは食べ物にも当てはまるのかもしれない。
そうして私は魔王のところへ連れていかれることとなった。
以前の私だったら強く拒否したかもしれない。魔王のところに連れていかれるなんて、と、きっと恐怖心を抱いたことだろう。けれども今は何も思わない。一度酷い目に遭ったからだろうか、まぁどうにでもなれと思えてしまう。
「魔王様のところへ行くミャウ!」
「……食べられますかね」
「それは隠喩かミャウ? 食べられるとは性的な意味かミャウ?」
「いえ、違います」
ミャーウーは見た目は可愛いのだが時折意味深なことを言うのでその相手をするのは少々面倒臭かったりする。
「ミャーウー、本当にこのままの格好で良かったのですか?」
「大丈夫ミャウ! 魔王様は心がお広いお方ミャウ!」
「そうですか。なら安心しました。怒らせないようにしないと……」
うっかり怒らせてしまったら命はない。できる限り刺激しないようにしなくては。当たり障りのないことだけを言うようにするべきだろうか。
「着いたミャウ! この扉の向こうに魔王様がいらっしゃるミャウ!」
「緊張してきました」
「大丈夫大丈夫! 気楽にいくミャウ!」
そうね、ここまで来たのだから進むしかないわよね。分かってる。今さら引き返すことなんてできないの。今の私に与えられた選択肢は一つ、この道を行くこと。どのみち私には、目の前にある道を進んでゆくことしかできないの。
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