聖女だった私は突然追放されましたが、運良く(?)魔王に保護してもらえることになりました。

四季

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4話「緊張しますが魔王と対面します」

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 扉を開けると、豪華絢爛な魔王の部屋が露わになる。
 ところどころおどろおどろしさを感じる内装ではあるが、全体的に見るととても綺麗だ。

「魔王様! お連れしたミャウ!」
「お邪魔します……」

 初めて見た部屋に入るというのはどうも緊張する。魔王の部屋だと聞くからなおさら、心が強張る。常に地雷を踏まないよう気をつけようとしていることも、この強い緊張感に関係しているかもしれない。

 しかし、魔王らしき人物は見当たらない。

 広い部屋だが誰もいない。もぬけの殻のよう。とにかく静か。こんなところに本当に魔王がいるのだろうか、と、疑問に思っていた時。

「ミャーウー、よく連れてきた」

 突然、どこからともなく男性の声がした。

 キョロキョロしていると、数秒後、目の前に一人の男性が現れる。

 美青年だ。人間の年齢と容姿を照らし合わせると、三十前くらいだろうか。これまで見たことがないくらい、凛々しく、整った顔立ちをしている。毒々しさや我が強そうな感じは特にない。髪は漆黒、上着は黒に近い紺色のダブルボタンのロングコート。

「彼女がアルベールの聖女ミャウ!」

 ミャーウーが私のことを代わりに紹介してくれた。
 すると青年の視線がこちらへ向く。

「初めまして、聖女」
「は……初めまして。フレイナ・カモミールといいます」

 漆黒の瞳で見つめられると、なぜか、あり得ないくらい心臓が激しく跳ねる。
 今さらこんなかっこ悪いことになるなら、もう少し男性経験を豊富にしておくべきだったかもしれない。

「ええと……貴方が、魔王様ですか……?」
「そうですね。私の家系は代々そう呼ばれています」

 自ら話を振っておいて、反応できなくなってしまった。何も返せない。気まずい沈黙がやって来てしまう。彼もべつに不快そうな顔はしていないのだが、とてつもなく気まずい。

「ところでお聞きしたいのですが」

 暫しの沈黙の後、魔王は話題を変えてきた。

「はい?」
「フレイナ聖女、貴女の能力はどのようなもので?」

 いきなりそんなことを聞いてどうするつもり? 私の力を利用でもする気? 疑問は尽きない。なぜいきなりそれを聞くのか? という疑問が脳内を満たす。が、今さら隠す必要もないだろう。アルベール王国とは既に縁が切れているのだから。魔王が私の能力を知ったとしても何ら問題ないはずだ。

「私には結界を張る力があります」
「結界?」
「はい。望まぬ者を寄せ付けないようにすることができるのです」
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