上 下
2 / 3

2話

しおりを挟む

 ――しかし、それから二ヶ月ほどが経って、エリカは婚約破棄された。

「聞いてよぉルルぅ! あの男ホント最低だったー!」
「そうなの?」
「あたしがさぁ、ちょっと男友達と遊んでたらさぁ、浮気だとか言って婚約破棄してきたってわけー! 酷くない!?」

 エリカはもともと男友達が多い。
 そして異性と接する時の距離感は非常に近いのも特徴的だ。

 婚約者に勘違いされるのも分からないではない。

「社長って言ってもさぁ、中小のくせに調子に乗んなよって感じー」
「し、失礼じゃない……?」
「はぁ!? 何それ!? あ、分かった。あたしがふられてざまぁとか思ってるんでしょ? ルル僻んでたもんねー」
「そんなのじゃないわ……」
「あーあーもう分かったよ、嬉しいんだよねルルはあたしが婚約破棄されて。でもまさかここまではっきり出されるとは思わなかったわー。あーあ、友だちとして信頼してたのに、がっかりー」

 それから数日が経った日のこと、散歩中に倒れている男性を偶然見かけて助けた。

 するとその男性が隣国の王子で。
 感謝され、また、親しくなることができた。

 だが。

「ルル最低! 裏切り者!」
「え……」

 それによってエリカは怒ってしまった。

「あんたみたいな地味女、愛されるわけない! それって遊ばれてるんだよ。だって相手王子なんでしょ? ルルとつり合わないじゃん!」

 それこそ僻みである。
しおりを挟む

処理中です...