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3話
しおりを挟む「しかもさ! あたしが婚約破棄されて傷ついてる時に王子なんかに出会うなんて、酷すぎ! ルルのくせに生意気だし、ふざけないでよ」
「えええ……」
「どーせ遊ばれるだけだって!」
「そうは思わないわ……」
「あんたは騙されてんの! 愛されたことがないから初めて愛されて浮かれてるだけでしょ!」
エリカの主張があまりにも酷いので。
「ごめんエリカ、もう会うのやめるわ」
私はついにそう言った。
決心したのだ。
彼女と一緒にいるのはもうやめよう、と。
幸せを手に入れるたび悪く言われるのはもう嫌だ。
だってそうだろう? 誰だって幸せは欲しいのだ。でも彼女と一緒にいたらそれを否定される壊そうとされる。心を折ろうとされるのだ。傷つけるような言葉で。そんな人と一緒にいて楽しい? そんなわけがないだろう。悪く言われ、見下され、否定され。そんな人と関わる時間なんて、ただただ不愉快な時間でしかない。
これまでは何となく付き合ってきたけれど、もう無理。
「じゃあね、さようなら」
「ちょ……待ってよルル! 話はまだ終わってな――」
「私は私で生きていくから」
「な、何なのそれ!? 感じ悪すぎなんだけど!?」
こうして私はエリカとは縁を切った。
その後王子の恋人となり、数年の交際の後に結婚。
一年ほどで第一子も誕生。
住む国は変わったけれど異国にも段々慣れて、今ではとても楽しく暮らせている。
エリカとはあれから一度も会っていない。
ただ、噂によれば、彼女は幸せにはなれなかったようだ。
彼女はあの後も何人かと婚約したそうだが、そのたびに男との関わりが多いことやだらしないことが問題となり婚約破棄される、といったことを繰り返していたそう。で、そのうちに次第に心を病んでいったそうだ。そしてある冬、風邪をこじらせて体調を崩し、そのまま帰らぬ人となったそうである。
派手で華やかな彼女だが、未来はそれと同じようなものではなかったみたいだ。
ただ、まぁ、あの性格だから……。
幸せを掴めなかったとしても自業自得、すべては日頃の行いである。
◆終わり◆
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