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4話
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後日婚約破棄に関する通知がラスクの家へ届いた。
エリアナの家から送られたものだ。
ラスクの両親はまさかの展開に驚いていたが、ラスク自身は欠片ほども驚かなかった。平静を保てていた。それは恐らく、心から「嫉妬している」と信じられたからだろう。
こうして、エリアナとラスクの縁は途切れた。
綺麗に決着がついたかのように思われたこの件だが、その後、ラスクは不運に巻き込まれることとなる。
エリアナがいなくなってからより一層積極的になったマリアベルは、定期的にラスクに欲しい物をねだるようになった。そして、お願いされるのが嬉しいラスクは、すぐにそれを買ってあげてしまう。その結果ラスクの懐はすっからかんに。それなりに持っていたはずの蓄えもあっという間になくなった。
また、自身の蓄えが尽きると、ラスクは家のお金にまで手をつけるようになる。
最初は親の財布からお金を抜いていた。が、徐々に積極的になり、しまいには金庫に忍び込んで大金を持ち出してしまう。もちろんそれらの金はマリアベルに流れた。
だが、金庫から物が減っていることに気づかれ、ラスクは両親からとてつもない迫力で怒られることとなる。また、その際にきちんと謝らなかったため、勘当されてしまった。
家から放り出されたラスクは、お金もろくに持たぬまま、マリアベルのところへ行く。
「すまない……お金がないので泊めてほしい……」
「お断りするわ、ラスク様」
「えっ……?」
「お金のないラスク様なんて、ただの馬鹿男じゃありませんか。正直関わりたくないです」
こうしてマリアベルからも見放されたラスクは路地裏でひっそりと暮らすようになり、十年後、誰にも見てもらえないまま息を引き取った。
◆終わり◆
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