婚約者がやらかしています

四季

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4話

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 いきなり現れた私を見て、彼は瞳を震わせる。
 さすがに動揺しているようだ。

「アルベルト様ぁ、この人、だぁれ……?」
「アルベルトさんの婚約者です」

 女性の問いの答えるのは私。

「貴女はいつもアルベルトさんと今のような行為を繰り返していましたね」

 なるべく冷静に。落ち着きを保って。感情的になり過ぎないよう気をつけて、言葉を紡いでいく。たとえ腹が立ったとしても、すぐに怒ってはならない。感情を露わにしてしまったら負けだ。感情が込み上げる時だからこそ、冷静に、淡々と。

「なっ……何てことを言い出すのぅ……!?」
「お話があります。当然、貴女にも付き合っていただきます」
「何もしていないわよぅ! 罪人扱いするわけぇ!?」
「罪人扱いも何も、問題ある行動を繰り返していたことは事実ですよね」
「何もしてないわよぉ……!」

 今さら何を言っても無駄。
 私の婚約者に手を出したことは事実なのだから。


 ◆


 アルベルトと親密になっていた女性はなんたかんだ言い逃れをして罪から逃れた。

 婚約者がいると知らなかった、とか、何とか、そんなようなことを繰り返していたらしい。

 ただ、逃れられはしたけれど、それは単に罪には問われなかったというだけのこと。公に罰を与えられはしなかった、というだけのことだったようだ。

 彼女の人としての評判は、地に堕ちた。

 また、実は存在していた婚約者から、婚約破棄を告げられたそうだ。他の男と関係を持っていたらしい、という話を受けてのことである。

 公的な罰を受けることはなかったが、評判が落ちたことによる間接的な罰はあった。そう考えると、婚約者から婚約破棄を告げられることこそが彼女に相応しい結果だったかもしれない。

 そして、当人であるアルベルトには、慰謝料の支払いが命じられた。

 婚約者がいながら別の女性と関係を持っていた。その事実を知ったアルベルトの両親はアルベルトを厳しく叱り、さらに、アルベルトを勘当したそうだ。

 唐突に一人になってしまったアルベルト。

 彼はしばらく、働きながらも女性との関係を持つことを継続していたようだが、最終的には女性とも喧嘩別れ。私との関係を壊してまで手に入れた絆は、あっという間に消え去った。
 それからも一応働いてはいたそうだが、慰謝料の支払いがあるため給料だけでは生活できず、最後は自身の臓器を売って稼いだとか。恐らくそれしかやり方がなかったのだろう。

 その後、私は、リルナ夫婦と共に暮らした。


◆終わり◆
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感想 1

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みんなの感想(1件)

penpen
2021.05.12 penpen

すっごい話だなぁ(;゚д゚)ェ…

2021.05.12 四季

温かく見守っていただきありがとうございます!

解除

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