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2話
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しかし、ルクレツオの家での生活はあまり良いものではなかった。
「あんた! 何さぼってんのよ!」
「すみません、ですが、言われていたお皿拭きをしていまして……」
「遅い!!」
「ええっ」
「そんなの十秒以内に終わらせなさいよ! ったく、これだからお嬢様は。いちいち遅いし甘いのよ」
ルクレツオの母親は感じの悪い人で。
ことあるごとに私に当たり散らしてくる。
しかも雑用を大量に押し付けてきた。
「まぁいいわ。取り敢えず、さっさと次の作業に移って」
「はい」
「返事が小さい!」
「はい!」
最初は真面目に言うことを聞いて働いていた。けれども段々何をしているのかよく分からなくなってきて。次第に嫌になってきた。ルクレツオは私が母親に厳しく当たられていても見て見ぬふりだし。味方がおらず虚しくなって。徐々に、一体何をしているのだろう、とばかり考えるようになっていってしまった。
そして私はある朝家から抜け出していた。
裸足で走った。
もう戻りたくない。
だから逃げた。
ルクレツオらには怒られるだろう、でも、それでもいい。
実家へ帰りたい。
「姉様!!」
「リーン!?」
家の前で姉に出会う。
彼女は朝の散歩をしているところだった。
「どうしたの!?」
「もう……もう、あんなところにいたくなくて、それで……ううっ」
姉を見たら安心して涙が出てきた。
「リーン!?」
「ううっ……」
「何か嫌なことがあったの? 取り合えず、中へ入りましょう」
こうして姉に連れられて家の中へ。
「――そんなことが」
私はすべてを話した。
ルクレツオの母親に家の仕事を押し付けられ理不尽に怒られたことや、それをルクレツオは見て見ぬふりしていることなど。
隠そうとは思わなかった。
それよりも早く全部話してしまいたかった。
痛みを吐き出したかったのかもしれない。
「いいわ、リーン、もうそんなところへ戻らないで。そして、彼との婚約は破棄しましょう」
「できる……?」
「もちろんよ! この姉に任せて、リーンを傷つけた輩は絶対に許さないわ」
「姉さまが言うと怖いわ」
「ふふ、ま、そうね。でも大丈夫。リーンに迷惑はかけないわよ」
翌日、姉は親と協力し、婚約の破棄をルクレツオに告げてくれた。
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