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1話
しおりを挟む幼馴染みと婚約していたものの彼の心が他の女性に移ってしまい、想像していなかった形で婚約破棄を告げられた。
しかし、その数日後に、家に王城より遣いがやって来て。
「そちらのお嬢さま、聖女ではありませんか?」
遣いからかけられたのはそんな言葉であった。
私も、両親も、かなり戸惑ったし驚きもした。心当たりがまったくと言っても過言ではないほどなかったからである。しかし遣いは「お嬢さまは特殊な力を持っていらっしゃると思われます」と淡々と言ってきて、やむを得ず能力検査を受けることとなったのだが――その結果、私には『国護りの聖女の加護』という非常に珍しい能力があることが判明した。そしてそれは、私が聖女と呼ばれるに相応しい人間であるということの証明でもあった。
その後私は国王より頼まれ、王子フィヘットと婚約することとなる。
「僕は誰も愛さない。もちろん君のことも。君を傷つける気はないが――ただ、愛されることを望まないでいてくれ」
初めて対面した日、フィヘットはいきなりそんなことを言ってきた。
想定外の先制攻撃を仕掛けてきたのである。
「はい、承知しました」
だが私としてはそれでも良かった。
だってべつに愛されるためにここへ来たわけではないから。
国王が、国が、欲しているのは――あくまでこの身に宿っている能力。
そのことはしっかりと理解している。
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