……なかなか怖い最期だ、川に落ちるなんて。~婚約破棄されるも良き居場所を手に入れることができた私と残念なことになった彼~

四季

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前編

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 人生が大きく方向転換する日は突然やって来た。

「お前とはもうやっていけない、だから婚約は破棄する!」
「どうして!?」

 まぁ、簡単に言えば、それは一種の災害のようなものだ。

 ある日突然やって来る。
 誰も想像していなくてもその瞬間は訪れる。

「は? どうしてって、もう言っただろ。お前とはもうやっていけない、って。それが理由だ。どんだけ理解力ないんだよお前」
「そういう意味じゃなくて……」
「じゃあ何なんだよ!」
「だから、どうしてそんな急に、って。驚いて、それで、聞いてしまったの」
「あ、馬鹿だからだな」
「失礼よ……それはさすがに……確かに賢くはないかもしれないけれど、それでも言っていいことと悪いことがあるわ……」
「何だ? これは言っていいことだろ、だって事実だからな」

 ……うーん、やっぱり彼とやっていくのは無理かも。

「分かったわ。婚約破棄、それでいいわ」
「言ったな?」
「ええ。私も今思ったの、貴方とやっていくのは無理そうだって」

 すると彼は怒で顔を赤くする。

「何だと!? 生意気な! そっちが捨てられる側だろうが! 俺は何も悪くないし、こうなったのも全部お前が能力不足なせいだ! 分かってるんだろうな!? 馬鹿でもいいがさすがにそこくらいは分かっていろよ!?」

 やれやれ、単純ね。

 そんなことを心の中で呟いて。

「何でもいいわよ。じゃ、さようなら」

 彼の前からは速やかに去った。
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