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後編

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「はぁぁ……はあああああああ!!」

 風が起こり、すべてが吹き飛ぶ。

 落ちていた葉っぱはすべてどこかへ飛んでいった。

「と……とりゃああああああああ! ふぅうううううぅぅぅぅぅぅ……そ、そ、そりゃああああああああ! ふりゅあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 彼女は雄叫びをあげながら何度も何度も魔法を放つ。
 そのたびに多くのものが空へ舞い上がった。
 山自体はさすがに飛んではいかないが太い木さえも数本は飛んでいってしまっていた。

「……ふぅ」

 やがて彼女は魔法を使うことをやめる。

 その時の彼女は晴れやかかつ穏やかな面持ちになっていた。

「さ、帰ろ」

 彼女は自宅へ戻る。
 その魔法が種となり巨大台風が育っていたことなんて彼女は知らない。


 ◆


 数日後、オポポトロフスが住む村を巨大台風が襲った。

 これはカンブリアが使った風魔法がきっかけとなって誕生した普通では発生することのない規模の台風。大きさ、威力、すべてが規格外だ。とはいえその事実を知る者はこの世には一人もおらず。誰もが単なる巨大な台風だと思っていた。

 多くの家が破壊されつくし、オポポトロフスは壊れた自宅だった瓦礫の下敷きとなって亡くなった。

 この巨大台風は、後百年以上にわたって、この国で最大の台風として認識されることとなる。


 ◆


 それから数ヶ月、カンブリアは良家の一人息子である青年と結婚した。

 子どもにも恵まれた。
 彼女は周りから期待されていた通り男児を生んだ。

 そうして彼女は穏やかに幸福に生きた。


◆終わり◆
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